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「落語」を知らない人は人生の何割かを損していると思う話(THE偏見)

おはようございます。百井桃太です。

最近、本当に新型コロナも大ごとになってきて、なかなか外出もできなくなって参りました。僕はそもそも結構インドア派なので、特に困るようなことはないのですが、休日をお家で過ごすってことがあまりない人にとっては苦痛な時間かもしれません。

うーむ。何か、そういった人のためにおすすめできる時間つぶしはないだろうか?

なんとなく思ったゴッドオブインドアの僕。しかし、映画とか漫画とか本とかは、定番で紹介している人も多いし僕がわざわざ取り上げても意味がなさそう。音楽も好き嫌いがあるしなぁと色々考えていましたが、とりあえず全く触れたことがない人もいるのではないかと思い僕の大好きな「落語」を紹介することにしました。


【そもそも落語って何? 日曜夕方のあれ?】

まず、みなさん「落語」と聞くと日曜の夕方に放送されている「笑点」が思い浮かぶかもしれませんが、あれは「落語」ではありません。あれは「落語家が出ているゆっるゆるの大喜利」です。ですので笑点をイメージして「いや、落語って全然笑えないじゃん?あそこの会場にいるのおじいちゃんおばあちゃんばっかだし、そういう人しか笑えないでしょ?」って言うのはそもそもが間違いです。僕も笑点ではあまり笑えませんが落語ではマジで笑います(失礼)

では「落語」って何なのかと言うと、一言で言えば「話芸」です。基本的には落語家さんが一人で座布団の上に座って、一人何役もこなしながら演じる物語です。話の種類によって方向性も多少変わりますが、基本的にはその物語の中で笑えるようになっています。そして、何よりもこれが面白い。

僕も最初は「そんなおっさんたちが着物着て正座して話す話なんて絶対笑えないだろ」と落語に対して斜に構えていましたが、実際に聞いたり見たりしてみると想像の100倍面白くて普通に爆笑できることに気付いて本当に驚きました。

百聞は一見に如かずと言うように文章でつらつら説明してもあんまり意味がないので、みなさんも聞いたことのあるのではないかと言う有名な落語をあげると「寿限無」「まんじゅうこわい」がありますね。ただ、それらは入門編といった話で、面白いだけの話ならまだまだたくさんあります。とりあえず個人的に好きな話の動画を三つあげて、簡単に説明を書いてみますので気になったものは聞いてみてください。

【初天神/柳家小三治】

あまり一般には知られていないかもしれませんが、この「柳家小三治」と言う方は落語家として史上三人目の人間国宝であり、現在の落語界の重鎮でございます。近年はご高齢ということもあり、高座に上がるのも喋るのもなかなか大変そうですが、昔のものをCDで聴くと本当に吹き出してしまうくらい面白いです。というわけで僕も実物を観に行くくらい大好きな落語家さんの一人です。

そんな小三治師匠の落語はどれも大好きなのですが、入門編ということで落語の中でも定番と呼べる「初天神」を選んでみました。

この話は、年の初めのお参りに出かけたお父さんと子供の話です。

お父さんは一人で天神様にお参りをしに行こうとするのですが、女房から「息子も一緒に連れて行ってやってよ。家にいられちゃたまんないよ」と言われます。そんなことを言うのでわかると思いますが、この息子がまた聞かん坊。お父さんもそんな聞かん坊の息子を連れて行くとお祭りの出店でまたいろんなものを買わされるんじゃないかと思い、嫌がります。しかし息子が「あれ買ってくれこれ買ってくれなんて今日は言わない」と言うので、しぶしぶ一緒に出かけることにします。そしてその先……どうなるかは是非とも動画でみてください。

いやぁ、この話の素晴らしいところは分かりやすく、笑える箇所も多く、オチも秀逸で、また息子とお父さんのキャラが人によって少しずつ違っていて面白いところですね。僕は他の落語家さんの初天神も見たことありますが、やはり小三治師匠の初天神が一番好きです。小三治師匠の演じる金坊のうまさと言ったらもう……。


【猫の皿/立川志の輔】

「ためしてガッテン!」とか「龍角散のCM」でお馴染みの志の輔師匠のお話です。いや、あの志の輔師匠はただの地味なおじさんタレントじゃないですからね?ゴリゴリの実力派ベテラン落語家なんです。

そしてこの「猫の皿」と言う話ですが

今の現代にも「せどり」と言う職業がありますが、その昔にも「道具屋」と言う名前でそういった職業がありました。簡単に言えば、中古屋なんかで価値のあるものを探して安く書い、別の人に高く売って差額で儲ける商売です。今でも時々いるんです。ブックオフとかツタヤにセールの時行くと、バーコードスキャナーみたいな機械を持ち込んで片っ端から本のバーコードを読み込んでいる人見たことありませんか?あれがまさにせどりですね。ネットで高く売れる本を探していたのでしょう。

この話ではそんな「道具屋」が主人公です。安くものを仕入れようと旅に出た道具屋ですが、なかなか掘り出し物が見つからず旅も終盤となってしまいました。「あーあ、今回はダメだったな」と何となく休憩がてら近くの団子屋(現在で言うところの喫茶店)に入って一服しようとすると、そこにはたくさんの猫が。

猫嫌いの道具屋はブツブツと文句を言いますが、そんな中、猫にエサをあげるために置いてある皿がとんでもなく高価なお皿であることに気が付きます。「こんな高価なお皿を猫にエサをやる皿に使っていると言うことは、この団子屋の主人はこの皿の価値を知らないんだ!」と思った道具屋はどうにかその皿を手に入れるために作戦を考えます。

この話、すごく好きなのですが何が好きかと言うと何よりもめちゃめちゃ美しい「オチの一言」です。落語って言うのは基本的に最後、一言でオチがつくものが多いですがその中でもこの「猫の皿」のオチの美しさは突出しています。この話がいつから語られているものなのか分かりませんけど、昔の人もこんな話を思いつくなんて頭がいいなと素直に感心させられるばかりです。

僕は「タイガー&ドラゴン」という長瀬智也、岡田准一主演、宮藤官九郎脚本のドラマを見て落語が好きになったのですが、特にこの「猫の皿」に感銘を受けました。結局、その後落語を始めてしまうくらいハマってしまうのですが、その話はまた別の機会にでも。とにかく、落語を始めるきっかけになったくらい落語に驚かされた話です。ぜひ、聞いてみて下さい。

【純情日記横浜篇/柳家喬太郎】

落語初心者の方でも一番とっつきやすいのがこの「柳家喬太郎」師匠だと思います。もしかするとテレビで見かけたことある方もいらっしゃるかもしれません。

そもそもですが、落語というのは「殿様」「お侍」「花魁」「ご隠居さん」なんかが出てくる、つまり「落語」=「江戸時代」がテーマの話なんだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、そういうわけではありません。

落語の中にも大きく分けて二つあり、前述したような江戸時代のような場所が舞台の話を「古典落語」、普通に現代をテーマにしたような話を「新作落語」と言います。

「落語って殿様とかお侍さんとか出てくるあれでしょ? なんか言葉遣いとかが古臭いし、時代設定に入り込めないから聴く気にならないんだよね」という方もいるかなと思い、今回紹介するものの最後に「現代をテーマにした新作落語」である「純情日記横浜篇」を挙げました。

この話ね、もうめちゃくちゃ良いんですよ。

あらすじは一言で言えば「大学生の恋愛」です。この作品に関しては現代の話なので多くを語る必要はないかと思いますので是非聞いて下さい。

何が良いかというと、恋愛したての頃を思い起こさせるドキドキ感あり、しっかり笑える部分もあり、そして話をうまくまとめる綺麗なオチあり。

もうね、素晴らしいです。この話は何度聞いても「はぁ〜ん好きぃ〜」ってなります。

喬太郎師匠は僕も大好きで色々な話を聞いていますが、他のおすすめでいうと「バイオレンスチワワ」「孫帰る」「夜の慣用句」「鬼背参り(泣けるやつ)」「午後の保健室」などがあります。この柳家喬太郎師匠は落語家さんの中でも「新作落語」に定評のある方なので、江戸時代みたいな話が苦手な方は是非とも喬太郎師匠の新作落語を聞いてみて下さい。きっと落語に対するイメージが変わると思います。

あと一個落語を聴く利点を言いますと「落語好き」っていうとなんか知的でおしゃれじゃないですか?「おしゃれ」というワードにクソ弱い僕はそういった理由でも落語を嗜んでいます(不純すぎる最悪の動機)


というわけで今回は柄にもなく笑い要素はほとんどなしで落語を紹介してみました。

そのうち、僕が落語を始めて、30歳以上上の方達とお腹に手当てながら「あー!えー!いー!うー!えー!おー!あー!おー!」と発声練習をしたり、しのぎを削りあったりしたという謎の時代の話をしたいと思います。

みんなも落語を聞いて好きになってプライベートの時に「するってえと、何かい!?」と言っちゃうっていう落語好きあるあるを体験して下さい。(そんなあるあるはない)

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