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川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu
2018年12月29日 00:14
雑音ふしぎな時間 浮遊するはげた塗装のドラム缶泥水 流れて だけど きみ平和のなかで 窒息死花瓶の首を移植してくるぶし こすって マッチの火不幸の銃弾 のがれられおかしを食べて昼寝する風見鶏さん 御影石タールの海も ごうごう と運ぶ 汽笛と 瓶詰手紙粉ミルクさえ十分で吸血鬼 埋め 平和の 実撃たない 笑顔 嫉妬しそうだ ものわれらの真夜中 奪還せよ
2018年12月28日 01:12
不死鳥ほんのわずかな気持ちでもなにかの光になれるはずたとえば 花火 また ネオンスポットライトの下の国誰もあなたを傷つけない小川も塀も つまらない人を寄せない いつだってたとえば 彗星 世界へと声なき声に着火して胸は こがねに 命 焦げあなたに届けば 愛と呼びたい空き地のまんなか 舞い上がるほの暗い嘘 つかまえよう遠いかなたに ときはなつため おしまい
2018年12月26日 10:56
いばら歌待たせているからしかたなく元気がないけどやってきた栄養失調 流星雨シアンとブルーに汚染されミシンを踏んで かた かたん拍子をつけて はげませばからまる からまる 絹の糸いい人だから 急ぐんだたった五秒の真空にむくんで つらい もう イナゴきみの握手はまるで魚雷だタツノオトシゴ 来客を侮辱するため 生みだされ満月なんか 見むきもしない エピタフ
2018年12月22日 11:55
エレジーおびえた目のなか 羽虫がときには あばれ ときには 実みっつ数える その前に首をかしげて 傷だらけいつからペンキ 塗りたてだ清涼飲料水 こぼしほころぶ さかいめ エレベーターうすぎたない血を材料に十年前からそうだった傷だらけの手 ばんざいができない だから 仲間はずれでおなかがすいた あなたなら地盤沈下の下心別世界では 息もしてない 鳥風
2018年12月20日 23:32
雪女寒いところで目を覚ましさなぎのままに育てられ結局なんにもなれなくてぼんやりしてたらひからびた連休明けに目を閉じておなかの皮を顔にはり無表情でもいとおしいめがねのレンズにまつ毛ふれなんでもないからなにもせずそれが罪ならしかたないあきらめるのかもう消えるのをとなりにいればヒロインで楽器をかまえてきつねの子冬は寒いし夏は暑いし 朝顔ヶ丘テトラポッドが
2018年12月20日 02:10
入浴禁止自問自答の沈黙が誤解を生んで 放置されいまや血みどろ シャンプーで落とせる色はそこにない愛し合うのに 疲れはて列車もろとも分離され軽蔑 密告 予防した緊急包囲のスフィンクス上目づかいに見なおせばやっぱり幻滅 いいかげん紙くず燃やして 正当化する心は近く 住みながら妥協は成立 おめでとう脳裏に面影 石鹸 剥奪 失恋臆面もなく 偶然とよそおう
2018年12月16日 03:15
赤道切断炎暑の海に ハリネズミ熱にうかされ 船酔いで洗濯さえもままならずあせりといらだち どんよりと雲は黒々 もう残照挿絵のような この苦痛無限の未来に複製を許可した罰で音を立て崩壊したのは蚊帳の檻コンパスにぎった羊飼い蚊とり線香 けむる 中庭わたしは消しゴム 捨てられる解剖しても鋭角でざまみろ なんて 笑える特権 双生児あなたの骨がもろいから窓
2018年12月12日 18:07
レミニセンス歌 よみがえる 前のめり青モザイクの花束に編まれて嫉妬 でも感謝いま なつかしい ただ すわる波紋の輪郭 消えないでとらえられない それが 水いやでも分かる ふるさとを人質にする ぬいぐるみ味方がいるなら単純に伴奏をして なにくわぬ顔は もういい オーケストラはだまっていたら また 荒廃殺人事件 きりがない感傷的に思い出させて オベリスク
2018年12月10日 20:59
家路退屈だけど やめておこうひとりよがりの刻印に一喜一憂 ターコイズ顔から襟まで鮮明にうつる 色 影 イチョウ型たなびく うねる アラベスク道をはさんで 夏木立隠れてしまえば 見つからずもう 鬼ごっこ 終わらない砂漠 花畑 縫いあわせ編みこむ 静脈 さびたレールが欠陥だらけで あまりにも立体的で とぎれ なぜ金魚草の露 その信号 赤 明晰夢電車の光
2018年12月9日 00:16
微熱クモの巣ばかりの路地裏に指おり数える室外機五十二個目であらわれた夏の日の海 たぶん 朝髪型変えて努力しただけどすぐには のびなくて結局帽子で蓋をするわたしの思いが飛びたてない葉っぱを集めてつみかさね少しのずれを繰り返し双子の月だ こんなに 大きい完璧なもの ここにある靴の底から のぼれ 種のがれられない 微熱 わたしは 人畜無害人影 すさぶ 風
2018年12月8日 00:39
蒸留実験メランコリーは生まれつきまばたきの闇 一瞬にオーロラ 浮かぶらしいってそんなうわさを信じたい大きな声で誓いたいきっと失敗するでしょういまではきみも共犯者死んだふりして逃げないで拍手のかわりに石がふる月をむかえる唾の雨無力の証明 わたしはあおむけ空の現象 ひとりじめこの場所だけはわたさない悪口の日々 わたしはそれでも ファウストまた来る季節
2018年12月2日 22:56
ランデブーまっ赤なコートの裾と袖鉄の車輪に巻きこまれ頭を つむじを かきむしりランチは一時 間に合わないバレンタインデー みどりの日結婚記念日 誕生日いつか地球の終わる日にメリーゴーランド おだやかに誘拐している 小犬たち通信している ハロー ハローどこにも行くな ここにいるから流星が来る きみが行く置き去りのハート 隅々に照りわたる 青 わたしまで 青
2018年12月1日 22:31
盗賊夜にさえずる 雪の日々足場は ただれ ぶつぶつと弱音を はいて マゼンタのコスモスが咲く つまさきに赤毛 からんで 月の道はしごをのぼって まだ遠い努力をしても むくわれず不眠不休の幼虫で明日はどこなの 切株に会釈している かんちがいねえ お姫さま まねをしないでまばゆい光 いたずらも名誉の怒り はい いいえいいえ それでも 反省してます 夜明け