川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu

第24回太宰治賞 最終候補 『夏の魔法と少年』 / 第6回林芙美子文学賞 最終候補 『…

川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu

第24回太宰治賞 最終候補 『夏の魔法と少年』 / 第6回林芙美子文学賞 最終候補 『水族館で鬼ごっこ』 / 脚本 舞台『銀河英雄伝説』シリーズ他 / 二松學舍大学文学部国文学科 講師 / ポストメタルバンドlantanaquamara / Twitter @TKawamitsu

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自己紹介

あらためて 私のやっていることを 自己紹介させてください。   1 脚本家   舞台「銀河英雄伝説」シリーズ他 商業演劇で脚本を担当してきました。 原作から脚色する仕事が多かったためか 構成は得意です。 企画書、プロット、脚本など 執筆のスピードには定評があります。     2 講師・先生   二松學舍大学で脚本の書き方、読み方を教えています。 個人でも創作教室を開講しています。 単なる「添削」ではない、共同制作者としての 有益なアドバイスができるよう心がけています。  

    • アルタイルの詩(笑) (11)

      3−3   永井、拍手しながら、登場。 永井 見せてもらいましたよ。聞かせてもらいましたよ。 咲希 あ、ヤクザ。 永井 誰がヤクザだ。    老婆心ながら、ひとつ、よろしいかな? 本当に夢を夢だと思っているの? 夢……あえて夢をいうことばをつかうが、夢なんて、神さまの神殿や、幽霊のすみかや、天国や、もしかしたら地獄のような場所にあるものさ。漠然とした、つかみどころのない、抽象的でたどりついたものなんていない。こう言えばいいのかな? 今度は、目的、ということばをつかってみよ

      • アルタイルの詩(笑) (10)

        3−2   渉、咲希。 咲希 どうしたの? 渉  なんか…… 咲希 楽じゃん。自由にやらせてくれるんだってさ。 渉  なんか…… 咲希 なに? 渉  役者って、そういうものかな、って。 咲希 どういうもの? 渉  ……   沈黙 咲希 きみもオーディション? 渉  まあ。 咲希 で、受かったわけだ。 渉  きみも。 咲希 わたしはさ、電話が来たとき……   咲希、正面をむく。オーデションでうかったときのことを再現する。 咲希 めちゃくちゃうれしいです。    はい

        • アルタイルの詩(笑) (9)

          3−1   神崎以外。 大輔 好きに、自由にって……どこまでやっていいんですかね? 松岡 思うにね、遠慮しすぎてたんですよ。 洋子 もっと、思ったことを言ってもよかったですよね。 松岡 ぼくね、72歳なんですって。    おかしいじゃないですか。日中戦争がどうの、「いのちみじかし」のゴンドラの歌、軽く120歳を越えてないと、口に出ないですよ。    渉の年齢設定で1歳ちがうとかどころじゃないって。 永井 あいつの老人イメージって、そんなもんなんですね。    戦争を体験し

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        • 舞台企画/戯曲「アルタイルの詩(笑)」
          17本
        • 小説「千人の女の子の夜になっちゃんは死んだ」
          32本
        • 戯曲「モノクロ同盟」/詩の書き方
          50本
        • 口語散文集/小説「水族館で鬼ごっこ」
          31本
        • 創作教室
          187本
        • 小説の書き方
          264本

        記事

          アルタイルの詩(笑) (8)

          2−1 神崎 カット!   神崎、登場。   緊張がとける。 神崎 おつかれさまでした。じゃあ、打ち上げのほうに。 松岡 セリフ、長いですよ。 洋子 クッソ長い。 大輔 誰が書いたんです? 神崎 ぼくですけど。 みんな えっ。 由紀子 才能あるじゃないですか。 永井 もっと書いてもよかったと思うな。 奈津美 そうそう。長いけど……おぼえやすい、言いやすいっていうか。 大輔 なんていうの? 現代のシェイクスピア? 松岡 バーナード・ショー? 洋子 三島由紀夫よ。 神崎 本

          アルタイルの詩(笑) (8)

          アルタイルの詩(笑) (7)

          1−13   永井、由紀子、登場。 永井 ここだと聞いたよ。 由紀子 あなた…… 永井 (手で制す)きみに、ひとつ忠告がある。もう来るな。理由は分かるな。 渉  分かりません。 永井 しずかに、最期を看とりたい……あの子の心を、みださずに。きみは、咲 希のなにを知っている?    病室のベッドで、月に顔を照らされながら、かすかな声で、わたしには聞こえた。「大嫌い……渉なんて……大嫌い」 渉  え…… 永井 ひとすじの涙も、青白く染まっていた。はかなく落ちた……落ちたんだよ

          アルタイルの詩(笑) (7)

          アルタイルの詩(笑) (6)

          1− 11   大輔、奈津美。 奈津美 大輔。ありがとう。 大輔 なんだよ、そんなこと……結局…… 奈津美 うん。ふられちゃった。 大輔 やけ食いでもするか? 奈津美 ……焼肉とかさ。 大輔 おまえのおごりな。 奈津美 えー。 大輔 ありがとう、って言ったよな。ちゃんとかたちで示せ。 奈津美 カラオケとかね。   ふたり、笑う。   沈黙。 奈津美 本当に……なんて言ったらいいか…… 大輔 おさななじみの一大事だ。助けないわけにはいかないだろ。 奈津美 おさななじみ

          アルタイルの詩(笑) (6)

          アルタイルの詩(笑) (5)

          1−8   渉、大輔、登場。   大輔、渉を突き飛ばす。 大輔 おれは、おまえをなぐらなきゃいけない。 渉  ……どうして。 大輔 ……一生分からねえよ……   大輔、なぐりかかろうとする。 奈津美 やめて、大輔。   奈津美、登場。   大輔、手をとめる。 大輔 ……でも、こいつが…… 奈津美 どうしたの? 大輔 ……なんでもない。   大輔、去る。 1−9   夕焼け。   渉、奈津美。 渉  なんだ……あいつ……(奈津美へ)見舞い? 咲希の。 奈津

          アルタイルの詩(笑) (5)

          アルタイルの詩(笑) (4)

          1−6   医者・神崎、ナース・洋子、登場。 咲希 洋子ちゃん。 洋子 探したわよ。 渉  ……(会釈する) 洋子 もしかして、彼氏? 咲希 うん。渉くん。 神崎 主治医として、ひとこと……接触するなら、消毒してから。接触してしま    ったら、あとで消毒。特に、この指。   神崎、小指を立てる。渉、咲希、照れる。 洋子 そろそろ検温の時間よ。    咲希を病室までエスコートしてくれる? ……渉くん。 咲希 はい(手を出す) 渉  ……接触するなら、消毒してから。 咲

          アルタイルの詩(笑) (4)

          アルタイルの詩(笑) (3)

          1−4   千秋、登場。 千秋 (さえぎって)患者さんに迷惑ですよ。 渉  あ…… 千秋 (笑う)おじいちゃんは、置いてきました。    自分ではらうんだって聞かなくて。 渉  そうですか。 千秋 言い忘れたことがあって。    ……変に思いませんでした? 渉  ……お名前、ですか? 千秋さん…… 千秋 そう。清子は、わたしの亡くなったおばさんです。    ……亡くなる前、清子は、おじいちゃんに言いました。外国の……難民の男性と結婚する、と……    清子にふりそそいだの

          アルタイルの詩(笑) (3)

          アルタイルの詩(笑) (2)

          1− 1   昼さがり。   病院の中庭、常夜灯とベンチがひとつ。   老人・松岡、孫・千秋に車椅子を押されて、登場。   松岡、ゴンドラの歌を歌う。   松岡 いのち短し、戀(こひ)せよ、少女(をとめ)、    朱(あか)き唇、褪(あ)せぬ間(ま)に、    熱き血液(ちしほ)の冷えぬ間(ま)に    明日(あす)の月日(つきひ)のないものを。 松岡 日中戦争。大東亜戦争。太平洋戦争。    永遠につづくかと思われた、火の雨、血の川、不毛の荒野、また荒野……    死

          アルタイルの詩(笑) (2)

          アルタイルの詩(笑) (1)

          登場人物 渉 17歳、高校2年生。愛する咲希のためになにかしてやりたいが、なにもできない無力をなげいている。 咲希 16歳、高校2年生。愛する渉を残して逝ってしまうことが気がかりでならない。渉にきらわれようとする。 神崎 42歳、医者。咲希の主治医。妻子があるが、洋子と不倫の関係にある。 洋子 28歳、ナース。神崎の不倫相手。このままではいけないと思っている。 松岡 72歳、入院患者。娘のことで後悔している。 千秋 23歳、松岡の孫。足の悪い松岡を心身ともにささえ

          アルタイルの詩(笑) (1)

          モノクロ同盟 (16) 終

          3−4   福永、登場。 福永   先生! ……大森さん。 大森   どうも…… 福永   先生、いま、先生の本、読み終わったんですよ。      おもしろいじゃないですか。やっと、先生も小説の書きかたが分かったんですね。 岩谷   どうも…… 福永   早く感想を伝えたくて!      つづきは、いつ書けるんですか? 岩谷   つづき? 福永   つづき! 岸田   それは…… 三上   ぼくも気になっていました。 大森   つづくんですか? 福永   先生。 皆々  

          モノクロ同盟 (16) 終

          モノクロ同盟 (15)

          3−1   書斎。   岩谷、ひとり。   本棚、机の上、がらんとしている。   チャイムが鳴る。 岩谷   はい。   伊藤、登場。 伊藤   ……ずいぶん…… 岩谷   きれいになったか? 伊藤   ……さみしくなった。 岩谷   引っ越し、するんだ。 伊藤   そう。 岩谷   処分した。 伊藤   本、全部? 岩谷   ほとんどね。 伊藤   命より大切なんだと思ってた。 岩谷   …… 伊藤   わたしがなにを言っても、ああ、とか、そう、とか、てきとうな返

          モノクロ同盟 (14)

          2−8   岩谷、くろかわ、はいじま、しろい。 岩谷   おまえら…… 三人   はい! 岩谷   なにがしたいんだ? 三人   はい? 岩谷   なにしてたんだ? くろかわ 先生に…… はいじま よろこんで…… しろい  もらうため! 岩谷   …… くろかわ さあ! はいじま どうです! しろい  さあ! 三人   さあ!   沈黙。 岩谷   おれにどうしろというんだ…… 三人   さあ! 岩谷   …… くろかわ 選んで! はいじま 誰? しろい  さあ! 三

          モノクロ同盟 (13)

          2―4   岩谷、篠原、登場。 岩谷   道、覚えた? 篠原   弟子は? 岩谷   知らん。 篠原   いないのか? 岩谷   そういえば、一週間か十日くらい見ていない気がする。 篠原   なにかあったのか? 岩谷   なにも。突然。なにも言わず。 篠原   ……それで? 岩谷   そのうち帰ってくるだろ。 篠原   いや、おまえだ。なんの用かと思って。 岩谷   ……引っ越す。 篠原   急だな。 岩谷   ずっとそうしようと思ってた。 篠原   どうして? 岩谷