川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu

第24回太宰治賞 最終候補 『夏の魔法と少年』 / 第6回林芙美子文学賞 最終候補 『…

川光 俊哉 Toshiya Kawamitsu

第24回太宰治賞 最終候補 『夏の魔法と少年』 / 第6回林芙美子文学賞 最終候補 『水族館で鬼ごっこ』 / 脚本 舞台『銀河英雄伝説』シリーズ他 / 二松學舍大学文学部国文学科 講師 / ポストメタルバンドlantanaquamara / Twitter @TKawamitsu

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自己紹介

あらためて 私のやっていることを 自己紹介させてください。   1 脚本家   舞台「銀河英雄伝説」シリーズ他 商業演劇で脚本を担当してきました。 原作から脚色する仕…

アルタイルの詩(笑) (13) 終

4−6   咲希、登場。ウェディングベールをかぶっている。 咲希 むかしむかし、天の川のそばには天の神様が住んでいました。 渉  天の神様のひとり娘は、織姫と言…

アルタイルの詩(笑) (12)

4−1 松岡 (声)いのち短し、戀(こひ)せよ、少女(をとめ)、    波にたゞよひ波の様(よ)に、    君が柔手(やはて)を我が肩に     こゝには人目ないも…

アルタイルの詩(笑) (11)

3−3   永井、拍手しながら、登場。 永井 見せてもらいましたよ。聞かせてもらいましたよ。 咲希 あ、ヤクザ。 永井 誰がヤクザだ。    老婆心ながら、ひとつ…

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3−1   神崎以外。 大輔 好きに、自由にって……どこまでやっていいんですかね? 松岡 思うにね、遠慮しすぎてたんですよ。 洋子 もっと、思ったことを言ってもよ…

アルタイルの詩(笑) (8)

2−1 神崎 カット!   神崎、登場。   緊張がとける。 神崎 おつかれさまでした。じゃあ、打ち上げのほうに。 松岡 セリフ、長いですよ。 洋子 クッソ長い。 …

アルタイルの詩(笑) (7)

1−13   永井、由紀子、登場。 永井 ここだと聞いたよ。 由紀子 あなた…… 永井 (手で制す)きみに、ひとつ忠告がある。もう来るな。理由は分かるな。 渉  分…

アルタイルの詩(笑) (6)

1− 11   大輔、奈津美。 奈津美 大輔。ありがとう。 大輔 なんだよ、そんなこと……結局…… 奈津美 うん。ふられちゃった。 大輔 やけ食いでもするか? 奈津…

アルタイルの詩(笑) (5)

1−8   渉、大輔、登場。   大輔、渉を突き飛ばす。 大輔 おれは、おまえをなぐらなきゃいけない。 渉  ……どうして。 大輔 ……一生分からねえよ……   …

アルタイルの詩(笑) (4)

1−6   医者・神崎、ナース・洋子、登場。 咲希 洋子ちゃん。 洋子 探したわよ。 渉  ……(会釈する) 洋子 もしかして、彼氏? 咲希 うん。渉くん。 神崎 主…

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1−4   千秋、登場。 千秋 (さえぎって)患者さんに迷惑ですよ。 渉  あ…… 千秋 (笑う)おじいちゃんは、置いてきました。    自分ではらうんだって聞かなく…

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1− 1   昼さがり。   病院の中庭、常夜灯とベンチがひとつ。   老人・松岡、孫・千秋に車椅子を押されて、登場。   松岡、ゴンドラの歌を歌う。   松岡 い…

アルタイルの詩(笑) (1)

登場人物 渉 17歳、高校2年生。愛する咲希のためになにかしてやりたいが、なにもできない無力をなげいている。 咲希 16歳、高校2年生。愛する渉を残して逝ってし…

モノクロ同盟 (16) 終

3−4   福永、登場。 福永   先生! ……大森さん。 大森   どうも…… 福永   先生、いま、先生の本、読み終わったんですよ。      おもしろいじゃな…

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自己紹介

自己紹介

あらためて
私のやっていることを
自己紹介させてください。  

1 脚本家
 
舞台「銀河英雄伝説」シリーズ他
商業演劇で脚本を担当してきました。
原作から脚色する仕事が多かったためか
構成は得意です。
企画書、プロット、脚本など
執筆のスピードには定評があります。
 
 

2 講師・先生
 
二松學舍大学で脚本の書き方、読み方を教えています。
個人でも創作教室を開講しています。
単なる「添削

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アルタイルの詩(笑) (13) 終

アルタイルの詩(笑) (13) 終

4−6

  咲希、登場。ウェディングベールをかぶっている。

咲希 むかしむかし、天の川のそばには天の神様が住んでいました。
渉  天の神様のひとり娘は、織姫と言いました。織姫がやがて年ごろになり、
咲希 天の神様は、娘に、天の川の岸で天の牛を飼っている、彦星というお婿さ
   んをむかえてやりました。
渉  ふたりは、たのしい生活を送るようになりました。
咲希 でも、仕事を忘れて、遊んでばかり

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アルタイルの詩(笑) (12)

アルタイルの詩(笑) (12)

4−1

松岡 (声)いのち短し、戀(こひ)せよ、少女(をとめ)、
   波にたゞよひ波の様(よ)に、
   君が柔手(やはて)を我が肩に 
   こゝには人目ないものを。

  松岡、千秋、登場。
  千秋は車椅子に乗っている。松岡が押している。

渉  ……
千秋 〽︎いのち短し、
渉  ……やめてください。
松岡 なぜ。
渉  いや……千秋さん。
千秋 なぜ。
松岡 患者さんたちに迷惑だから

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アルタイルの詩(笑) (11)

アルタイルの詩(笑) (11)

3−3

  永井、拍手しながら、登場。

永井 見せてもらいましたよ。聞かせてもらいましたよ。
咲希 あ、ヤクザ。
永井 誰がヤクザだ。
   老婆心ながら、ひとつ、よろしいかな? 本当に夢を夢だと思っているの? 夢……あえて夢をいうことばをつかうが、夢なんて、神さまの神殿や、幽霊のすみかや、天国や、もしかしたら地獄のような場所にあるものさ。漠然とした、つかみどころのない、抽象的でたどりついたも

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アルタイルの詩(笑) (10)

アルタイルの詩(笑) (10)

3−2

  渉、咲希。

咲希 どうしたの?
渉  なんか……
咲希 楽じゃん。自由にやらせてくれるんだってさ。
渉  なんか……
咲希 なに?
渉  役者って、そういうものかな、って。
咲希 どういうもの?
渉  ……

  沈黙

咲希 きみもオーディション?
渉  まあ。
咲希 で、受かったわけだ。
渉  きみも。
咲希 わたしはさ、電話が来たとき……

  咲希、正面をむく。オーデション

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アルタイルの詩(笑) (9)

アルタイルの詩(笑) (9)

3−1

  神崎以外。

大輔 好きに、自由にって……どこまでやっていいんですかね?
松岡 思うにね、遠慮しすぎてたんですよ。
洋子 もっと、思ったことを言ってもよかったですよね。
松岡 ぼくね、72歳なんですって。
   おかしいじゃないですか。日中戦争がどうの、「いのちみじかし」のゴンドラの歌、軽く120歳を越えてないと、口に出ないですよ。
   渉の年齢設定で1歳ちがうとかどころじゃないっ

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アルタイルの詩(笑) (8)

アルタイルの詩(笑) (8)

2−1

神崎 カット!

  神崎、登場。
  緊張がとける。

神崎 おつかれさまでした。じゃあ、打ち上げのほうに。
松岡 セリフ、長いですよ。
洋子 クッソ長い。
大輔 誰が書いたんです?
神崎 ぼくですけど。
みんな えっ。
由紀子 才能あるじゃないですか。
永井 もっと書いてもよかったと思うな。
奈津美 そうそう。長いけど……おぼえやすい、言いやすいっていうか。
大輔 なんていうの? 現

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アルタイルの詩(笑) (7)

アルタイルの詩(笑) (7)

1−13

  永井、由紀子、登場。

永井 ここだと聞いたよ。
由紀子 あなた……
永井 (手で制す)きみに、ひとつ忠告がある。もう来るな。理由は分かるな。
渉  分かりません。
永井 しずかに、最期を看とりたい……あの子の心を、みださずに。きみは、咲
希のなにを知っている?
   病室のベッドで、月に顔を照らされながら、かすかな声で、わたしには聞こえた。「大嫌い……渉なんて……大嫌い」
渉  

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アルタイルの詩(笑) (6)

アルタイルの詩(笑) (6)

1− 11

  大輔、奈津美。

奈津美 大輔。ありがとう。
大輔 なんだよ、そんなこと……結局……
奈津美 うん。ふられちゃった。
大輔 やけ食いでもするか?
奈津美 ……焼肉とかさ。
大輔 おまえのおごりな。
奈津美 えー。
大輔 ありがとう、って言ったよな。ちゃんとかたちで示せ。
奈津美 カラオケとかね。

  ふたり、笑う。
  沈黙。

奈津美 本当に……なんて言ったらいいか……
大輔

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アルタイルの詩(笑) (5)

アルタイルの詩(笑) (5)

1−8

  渉、大輔、登場。
  大輔、渉を突き飛ばす。

大輔 おれは、おまえをなぐらなきゃいけない。
渉  ……どうして。
大輔 ……一生分からねえよ……

  大輔、なぐりかかろうとする。

奈津美 やめて、大輔。

  奈津美、登場。
  大輔、手をとめる。

大輔 ……でも、こいつが……
奈津美 どうしたの?
大輔 ……なんでもない。

  大輔、去る。

1−9

  夕焼け。

 

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アルタイルの詩(笑) (4)

アルタイルの詩(笑) (4)

1−6

  医者・神崎、ナース・洋子、登場。

咲希 洋子ちゃん。
洋子 探したわよ。
渉  ……(会釈する)
洋子 もしかして、彼氏?
咲希 うん。渉くん。
神崎 主治医として、ひとこと……接触するなら、消毒してから。接触してしま
   ったら、あとで消毒。特に、この指。

  神崎、小指を立てる。渉、咲希、照れる。

洋子 そろそろ検温の時間よ。
   咲希を病室までエスコートしてくれる?

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アルタイルの詩(笑) (3)

アルタイルの詩(笑) (3)

1−4

  千秋、登場。

千秋 (さえぎって)患者さんに迷惑ですよ。
渉  あ……
千秋 (笑う)おじいちゃんは、置いてきました。
   自分ではらうんだって聞かなくて。
渉  そうですか。
千秋 言い忘れたことがあって。
   ……変に思いませんでした?
渉  ……お名前、ですか? 千秋さん……
千秋 そう。清子は、わたしの亡くなったおばさんです。
   ……亡くなる前、清子は、おじいちゃん

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アルタイルの詩(笑) (2)

アルタイルの詩(笑) (2)

1− 1

  昼さがり。
  病院の中庭、常夜灯とベンチがひとつ。
  老人・松岡、孫・千秋に車椅子を押されて、登場。
  松岡、ゴンドラの歌を歌う。  

松岡 いのち短し、戀(こひ)せよ、少女(をとめ)、
   朱(あか)き唇、褪(あ)せぬ間(ま)に、
   熱き血液(ちしほ)の冷えぬ間(ま)に
   明日(あす)の月日(つきひ)のないものを。

松岡 日中戦争。大東亜戦争。太平洋戦争。
 

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アルタイルの詩(笑)  (1)

アルタイルの詩(笑) (1)

登場人物

渉 17歳、高校2年生。愛する咲希のためになにかしてやりたいが、なにもできない無力をなげいている。

咲希 16歳、高校2年生。愛する渉を残して逝ってしまうことが気がかりでならない。渉にきらわれようとする。

神崎 42歳、医者。咲希の主治医。妻子があるが、洋子と不倫の関係にある。

洋子 28歳、ナース。神崎の不倫相手。このままではいけないと思っている。

松岡 72歳、入院患者。娘

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モノクロ同盟 (16) 終

モノクロ同盟 (16) 終

3−4

  福永、登場。

福永   先生! ……大森さん。
大森   どうも……
福永   先生、いま、先生の本、読み終わったんですよ。
     おもしろいじゃないですか。やっと、先生も小説の書きかたが分かったんですね。
岩谷   どうも……
福永   早く感想を伝えたくて!
     つづきは、いつ書けるんですか?
岩谷   つづき?
福永   つづき!
岸田   それは……
三上   ぼ

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モノクロ同盟 (15)

モノクロ同盟 (15)

3−1

  書斎。
  岩谷、ひとり。
  本棚、机の上、がらんとしている。
  チャイムが鳴る。

岩谷   はい。

  伊藤、登場。

伊藤   ……ずいぶん……
岩谷   きれいになったか?
伊藤   ……さみしくなった。
岩谷   引っ越し、するんだ。
伊藤   そう。
岩谷   処分した。
伊藤   本、全部?
岩谷   ほとんどね。
伊藤   命より大切なんだと思ってた。
岩谷  

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