ランデブーのコピー

詩 56〜60

  ランデブー

まっ赤なコートの裾と袖
鉄の車輪に巻きこまれ
頭を つむじを かきむしり
ランチは一時 間に合わない

バレンタインデー みどりの日
結婚記念日 誕生日
いつか地球の終わる日に
メリーゴーランド おだやかに

誘拐している 小犬たち
通信している ハロー ハロー
どこにも行くな ここにいるから

流星が来る きみが行く
置き去りのハート 隅々に
照りわたる 青 わたしまで 青




  一週間

窒息寸前 あたらしい
理由を見つけ だらしない
つづきは あなたの 願望に
まかせて 終わる この質問

振りほどく 腕 まちがいの
理想が枯れた はじめから
そんなことだと思ったよ
怪物の背骨 未解決

鍵盤の上 ねころんで
やれやれ これで 異端者か
あじさいが好きなだけだったのに

ふたりの電話は排泄で
暗号解読 不可能な
つま先立ちの 偉大な歩み




  判決

視線は正確 身動きも
できず ボレロは 別世界
すすり泣く人 笑う人
門の前 穴 潜水艦

言いたいことを言ったけど
それで 苦しい 凍る人
次の時報で 痛みだす
盲腸かかえ 生きていく

ごまかせないのは嫌悪感
貯金箱にも病気だけ
わたし 苦しい 近道したい

スカーレットとビリジアン
掘りすすむ人 写生会
いつまでつづく 賛成多数




  ひとつ

あなたは必死に拒絶した
音と匂いはちがうもの
理由はいらない 光るもの
あなたは決して認めない

へたな皮肉を覚えては
わたしの背中にぽたぽたと
こぼす気持ちがまるで雨
なにが起きたか知らないで

うたがうことをやめないで
戦う 歌う 泣く はねる
巣箱のなかで こわい顔して

指輪か砂糖で振りむかせ
こちらに帰る あと五分
話を聞いて こわくないから




  ナミダメアゲハ

いつものような いつもの日
ふつうの花が摘まれても
あなたは願う あたらしい
見たこともない太陽を

水や炎と引き換えに
考えること 許されて
あなたは話す 無我夢中
誰も知らない物語

ひとみは黒く 紙の上
一生懸命 虫を追う
文字でふとった ナミダメアゲハ

火事のサイレン 救急車
ヘリコプターも近づけず
抱いた卵の中身が わたし


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