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私の論語教室

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孔子と論語の魅力をお伝えします。
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私の論語教室 1.文なるかな。

私の論語教室 1.文なるかな。

八佾第三、第十四章、「文なるかな」を読み解きます。

【原文】
子曰、
周監於二代、
郁郁乎文哉、
吾従周矣。

【書き下し文】
子いわく、
周は二代に監(み)て、
郁郁乎(いくいくこ)として文なるかな、
吾は周に従わん、と。

【現代語訳】
ある時孔子が言った、
周は先行する二代の王朝を参考にして、
華やかな文化を築き上げた、
私は周に従うよ、と。

孔子の言葉は、世間話をするかのような口ぶりで

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私の論語教室 総論、孔子について。

私の論語教室 総論、孔子について。

今日の話は、この先、繰り返し立ち戻るであろう大事な話です。お聞き漏らしのないよう、切にお願い申し上げます。

実際に孔子の言葉に触れる前に持っておくべき、いくつかの前提知識について話します。古代と現代の隔たりは、私たちが想像するより大きいからです。この隔たりを無視して、「同じ人間だから」は通用しません。なかには、「前回序章で述べていたことと違うじゃないか。素直に読むのだったら前提知識など持たずに読

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私の論語教室 序章、堀川をたずねて。

私の論語教室 序章、堀川をたずねて。

ささいな風景についての印象から始めます。

2023年の大晦日は、ひとりで京都で過ごしました。母校同志社大学の構内にある教会で、無性に祈りたくなったからです。寒空の下、固く閉ざされた母校の門に立ち尽くし、ふと思い付いた私の足は、江戸時代の儒学者伊藤仁斎が300年ほど前に開いた、堀川の塾に向かって歩き始めていました。

大学から歩いて30分とかからない、ずっと気になっていた学舎は、思ったよりだいぶ小

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