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恋と学問

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もののあはれとは何か?本居宣長「紫文要領」から読み解く、源氏物語の魅力と本質。
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2022年11月の記事一覧

恋と学問 第23夜、セックスの癒しについて。

恋と学問 第23夜、セックスの癒しについて。

諸説ありますが、紫式部の生まれた年は西暦970年という説が有力です。この説に従えば彼女が14才の時(984年)、日本最古の医学書「医心方」が朝廷に献上されました。今夜は、この本を手がかりに紫文要領を読み解き、恋の意味について考えます。

著者の丹波康頼(912-995)は宮廷に仕える医師として、隋唐時代の中国医学は言うに及ばず、僧侶が仏教に付随してもらたらしたインド医学や、朝鮮で独自に発達した処方

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恋と学問 第22夜、走り出した足が止まらない。

恋と学問 第22夜、走り出した足が止まらない。

今夜から第3部「恋愛と物の哀れ」に入ります。紫文要領の読解も、いよいよ大詰めです。

本居宣長は、第3部の冒頭でこのように述べています。物の哀れという言葉の意味合いは充分伝わったはずだから、次なる段階として、物の哀れを知らせる目的で書かれた源氏物語が、どうして恋愛中心の物語になったのかを考えてみよう。第3部の主題である「恋愛論」の幕開けを宣言したわけです。

まず第1章「なぜ恋が物語の中心なのか」

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