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私信 いつか飽きるまで

あなたは
旧知の友が
あなたの元を去り始めた頃
匿名と年齢不詳を認め合う場で
あなただけが「善」かのように語りはじめ
時には諭し
時には罵倒し
常に「あなたの正しさ」を
認める事を強いていた

あなたは
あなたの語りに対して
言葉が返ってこなくなった頃
穏やかな口調に変節し
不気味な敬語を多用して
一つの価値の
わずかな一面にしがみつき
仮面のような
体温の無い言葉づかいで
あなたを知る
あなたを去った者たちとは
決してしない会話を続け
 
傷つけそうな言葉を間引き
時々地雷を踏みながら
「御愛嬌」と自虐して
痛々しい無邪気を披露した
 
それでも
誰も
あなたの語りに向き合わない

誰もが
書き込むどんな言葉も
その時々の行動も
あなたの事など念頭になくて
あなたのためであるはずもないのに
あなたは
寛大な教師となって
児童の日記に赤ペンで
「・・・というのは良いですね
「・・・は誰かのヒントになりますよ
「・・・は気持ちのいい方法ですね
「・・・は心に残るでしょう
「・・・しているのだなと実感しました
「・・・一生懸命さが伝わってきますよ
「・・・なんともうれしく感じました
・・・
添削するように
一々の文を指摘しながら
必ずお褒めの評価を下して周る
そうして
「ありがとう」を差しはさみ
「お疲れ様」で締めくくり
「皆様の行いを見ていますよ」
と自分語りへ引き寄せる

自らの「尊さ」を承認させたい
あなたは
アマテラスの血統を守る
「崇高な任務」に在るという
あなただけの設定を
臆面もなく公にして
永遠に承認されない思い込みの
陶酔の時間に呼吸する

たぶん
いつか飽きるまで

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