転職・転職後に悩む人にこそ知ってほしい「コンサルの始まりと終わり」
私は大手のコンサル会社に勤めている訳ではなく、基本は1人で活動しているコンサルタントです。キャリアとしては13年目となります。
活動しているジャンルとしては、私がアパレル出身で、かつ元販売員であり、外食や雑貨店アルバイトの経験があることも手伝い「小売業」「衣食住関連企業」が支援活動が中心となっています。
支援先に、中小企業が多いため「MD(マーチャンダイジング)」「在庫コントロール」「EC」「マーケティング」等、ある程度は何でもやります。
それは、成長期の企業での実務経験が私の中心軸にあり、人が足りない状況で、出来ることは何でもやる必要もあり、
さらに中小企業&成長期の企業は、そもそも「業務内容を縦割りしすぎる or しよう」としても、元々仕組みが整備されていないので、上手くいかないという所が要因となっています。
ただ、その弊害として見事な「おせっかい」キャラクターになってしまいました。これはある意味マイナススキルですね。
ともかく、私自身のキャリアとして「たとえ浅くても広くスキルを積み上げようとする思想」が強く、何でもやりたがる傾向を持っています。
ただし、当然ながら「ここは究極の専業プロに任せるべき」と判断すれば、潔く身を引きますし、必要であれば、その支援側にまわることもあります。
ともあれ、考え方としては、仮に自分の仕事が無くなる可能性があったとしても、クライアント(支援先)のためになる判断をするようにしています。
本題は、事業会社への転職活動についての内容となりますが、基礎的な話のために回り道をさせてください。
私の契約形態について
コンサルタントとして「業務委託契約」を企業と結び、設定した目標に対して、期間を決めて成果を出し、報酬を頂戴する事が基本となります。
これはつまり「始まりの段階から、すでに終わりのタイミングが決まっている」ということになります。
開始時の契約は、稼働期間を3ヶ月~半年くらいで結ぶことが多いのですが(先方からの様子見もあるかと)、掲げたミッションをやりきるためには3年は欲しいと思ってはいますし、そのイメージは常に持っています。
そのため、契約は更新していくことになりますが、それでも卒業すべき時はやってきます。課題の範囲が広がり、一番長くて約7~8年続くという案件もありましたが、上記のように一つのミッションであれば、3年くらいで終了するようにしています。
(ちなみに私は1社固定の業務委託ではなく、通常複数の支援先と同時契約をして動いています)
私自身は、事業会社…普通の会社員として仕事をしてきたのは、大学卒業後の23歳~30歳までの約7年間となり、正社員として勤務した経験は「2社」です。新卒で入社後、転職活動を経て、2社目に入社した形となります。
(以下リンクに具体的な話もありますが、特に読まずとも大丈夫です)
つまりは「転職活動後、中途入社した経験は1回」となります。(その後退職の後に、現在のコンサルティング業の開始となりますので、退職経験は2回、となります。)
転職活動に悩む中で、出来ればヒントを知りたいと思ったとき、どんな情報を参考にするのか。これはかなり難しいことだと思っています。
何処かの誰かの、1回限りの転職活動、成功事例を学んでも、自分にも当てはまる内容かどうかは解らないですし、
何処かの誰かの、複数回の転職活動経験を学んでも、その転職活動があまりに高頻度であったりすると、経験は豊富かもしれないですが、入社した企業で上手くいっていない可能性を想像してしまいます。そうなるとそれは、学ぶべき経験ではないかもしれません。
そこで、正社員とはまったく状況は違うけれど「業務委託契約」で「複数の会社」を経験した話が、もしかすると参考になるかもと思って、私の経験を書いてみたいと思った次第です。
少しは参考になるかな、という理由のひとつに、私はコンサルタントと言いつつも、先生的な動きはしておらず(苦手)、
「デスクを借りて一緒に終日仕事をする」「ランチも一緒に」、さらには「朝礼にもでる」「掃除も一緒する(これは止められるパターンもありますが)」とか、
変わったところでは「朝、ラジオ体操を一緒にする」とか、大きい声で「企業理念を唱和する」など、なるべく社員のように、みんなと同じ時間の過ごし方を心がけています。
前提として、私はどちらにせよ内部の人間ではありませんし、私も基本的にはコンサルタントとしての成果を意識しているため、内部っぽい動きを心がけていても、目線は俯瞰している状況にあります。
ですが中途採用で入社した人間、というくらいの気持ちで、みなさんに接して、取り組んでいますので、今回の内容がまったく見当違い、ということにはならないかな、と考えています。
多分普通のコンサルさんと比べると、スマートではないし、邪道というか亜流というか、このスタイルを嫌う方もいると思います。残念ながら、私はこういうやり方しか出来ないので、ご容赦ください。
とはいえ、業務のラインに入っているわけではない
平たくいうと、上司も部下もいないので、やはり純粋な社員ではありません。
ただ、クライアント先の役員は基本上司的な存在となりますし決裁者でもあります。また、部長課長クラスが同等的、一般社員はキャリア年数としても後輩的(もちろん敬語で接しますが)な感じに落ち着くことが多いです。
私から「提案」は出来ますが、現場は「嫌なら、やらなくてもよい」
そこが強制力を持たない立場の良い所であり悪い所でしょうか。
早期に存在感を出さなければならない
また、コンサルが中途の正社員と違うのは、良くも悪くも直接的にチームに属していないので、通常とは動き方が違います。
良い部分としては「初期状態では、ある程度空気を読まなくても許される」ことがあります。
もう少し詳しくいうと、いきなりに「あるべき論」を言うことは、少し許されます。そしてその「あるべき と あるがまま」のギャップをヒアリングして、解決していくという動きを許容されます。
私自身の転職経験だと、中途入社の場合、いきなりそういうことを言うと「生意気」だとか、「何も解ってないのに」となりますが、
(痛い目にあっています)
業務を改善することがミッションとなっているので、それはコンサルタントとしての仕事を全うすることと捉えてくれます。
逆に悪い部分の事例としては、比較的マシな部類だと「お手並み拝見」「何だか一挙手一投足、常に見られている」ことですし、
さらに厳しいコンディションだと、「非協力的」なマイナス・スタートの場合もあります。
上記の記事にそのあたりの、私なりの解消の仕方は書いたこともあります(こちらは有料記事なのですが、無料部分ですべて網羅しています)
さて、ここから本題です。そして、これは業務委託契約者の視点だけではなく、実際の中途社員のイメージを重視して書いています。
それが書ける理由として、私の終日入り込むコンサルスタイルだと、社員ではない「一歩引いた立場」で、実際の中途入社の方々を、入社直後から客観的にも見ることができるためです。
上手くなじむケース、既存社員とのハレーションを起こすケース、様々みてきましたので、その経験こそがみなさんのお役に立つのでは、と思っています。
また内容的には30歳以上の、潜在的・ポテンシャルよりも、実際のスキル・経験値をそれなりに期待されているパターンに当てはまりやすいものだと思います。
既存のメンバーを尊重しつつも、早めにアピールすべきこと
これは、コンサルに限らず、すべての仕事に共通すると思うのですが「入ったばかりの時が、組織の問題や課題に一番気づける」ということです。
その組織に長く入ればいるほど「当たり前化」が進んでしまい、問題点の背景を理解に留まらず、「これは仕方ない」と受け入れるようになります。
また周りのメンバーへの「間違った遠慮」をしてしまいがちなので、どんどん課題が見えなくなったり、見えていても「そういうものだ」になってしまいがちです。
正しく「課題」や「不思議」として認識出来ている間に、その内容をいつでも出せるように、暖めておくことが重要だと思います。
入社して一週間の「はてな?」をメモする
転職直後であれば、必ず前職とのギャップを感じる場面があるはずです。特に、前職よりも劣っている状態を感じやすいと思います。
重要なのは、それをいきなり「この会社は変だ」「レベルが低い」という表現で発信しないことです。特に口頭でベラベラと求められていないのに話すのは悪手です。
また、一番反感を買いやすいのは「自ら、以前の勤務先との比較で、今の自社の悪いところをベラベラ話す」です。
これは、改善のために発言しているという聞こえ方にはなりづらく「入社してきたクセに、今は私達の一員なのに、今の会社を下に見ている」ように聞こえます。
また、前職のことを聴かれた時も「守秘義務もあるので、ここだけの話にしたいのですが…」「こういうところは、アレンジして取り入れられるといいと思っています」のように、謙虚さが大事です。(実際に守秘義務は守る必要もありますし、そのスタンスは信頼性が高まります)
とにかく、いきなり「ココが変だよ、この会社」を発信するのではなく、手元に書き留めておくことです。そしていつでも取り出せるように準備しておくのをお勧めします。
「この会社はどう?」と聴かれるタイミングは、必ず来ます
実は、ココのタイミングが「自分の評価のターニングポイント」になりやすいと思っています。
おおよそ1ヶ月以内には、ほとんどの場合には聴かれるように思います。
これは、試されていると思った方がいいです。
課題の無い会社や組織は、私の知る限り無いです。そしてその課題を認識する力があるのかないのか、は上長の関心でもあります。
ここで「実は、気になったことを簡単にまとめていますので、聴いていただけますか?」と、正しく切り込めれば、その後の展開は大きく変わることになります。
入社1ヶ月後の評価
前述のような流れで、一目おかれていると、相談が舞い込むようになります。入社1ヶ月後の中途入社の社員というのは、かなり中立的に見えるので、ここで自分の考えはドンドン発信していけば、後は比較的スムーズに自分のポジションを確立することが出来ます。
逆にココで、的外れだったり、自分が思う課題が整理出来ていない状態になると、巻き返すのは結構苦しいものがあり、
どちらかというと、真面目で勤勉とか、率先して雑務をやるなど、人間性をアピールしてから仲間を作って、順番に進める必要性が高まりますが、かなり時間がかかります。
外様(とざま)でグループを組まない
どうしても前職との違いで、現職のレベルの低さを感じる場面などがあると、それを愚痴っぽく言いたい気持ちになるかもしれません。
とはいえ、既存の社員からすれば当たり前だったり、仕方ない事情があったりなど、なかなかストレートに伝えられない場面は多くあります。
その時に、転職組・中途入社組でグループを組む、もしくは自分の後から中途入社した人間を、自分の元に引き入れようとする動きが時々見られます。
コレが最悪の手で、既存の社員からの信頼を大きく損なうどころか、その人を採用した人間は、そもそもそれを改善して欲しくて採用している可能性も高いので、ただただ愚痴っているだけに見えます。
また、その引き込もうとした人間が、その人よりも一枚上手だと、表面的には「うんうん」と聞いてくれていますが、裏では冷静に見られてしまっていると思った方がいいです。
表面的でもなく、密にコミュニケーションを取るべきは、元々いる社員です。そこを間違う人を結構見ました。
課題発信後も大事
入社1ヶ月後に、一目置かれたとしても、そこからのアクションがないと「口だけ」「他人事」「ただの批評家」になってしまいますので、
なるべく早く、小さな成果を出すことをおすすめします。
どんな会社に、どんな職種で採用されたかによって、ここでの内容は変わりますので、一概には言えないのですが、
「課題」と思っていることに、ひとつだけ手をつけてみるのをおすすめしたいです。
入社1ヶ月程度の場合は、仕事を任せる側としても「任せきれない」ので、そこそこ業務にも慣れてきて、そこそこ余裕があるベストタイミングです。
慎重に社内の空気を読む動きもあると思いますが、この入社後1ヶ月のタイミングでアクションをすることで、その後の社内での立ち位置が大きく変わるように感じています。
一度小さくても成果を出した人は、今後への期待値が生まれ、何かミスがあっても、印象が大きく違います。不思議なもので、もっと会社に慣れてきたら、よりスゴイ改善をしてくれるはずだ、というある意味バイアスがかかりますので、
『なるべく早く、小さな成果』は、是非おすすめしたいです。
おまけ:業務委託の話「契約終了の日」
こちらは、私のようなお仕事を目指す方への話です。
業務委託契約の辛いところではあるのですが、必ず「契約が終わる日」があります。多くの場合は、1ヶ月から数ヶ月前に確定します。
契約が終わるくらいなら、契約終了までに一個でも改善して終わりたいというのは、実はエネルギーを出しやすいです。
リミットが決まっているからこそ、思い切ってやれる、という側面があるので、実は普通の中途社員よりも有利だと思っています。
ちなみに、今までの経験では契約終了要因は、大きく三つが理由です。
「長く契約を続けてきて、やれることが無くなった」
「全社としての業績が悪化し、コストカットのため」
「経営の体制が変わって仕切り直すため」
どれもこれも、もはやどうすることも出来ませんので、きっちりクロージングの報告の場をもらい、積み残し課題を提示しましょう。
経験上、最後こそ一番のパフォーマンスを出せると、もし途中段階で何か上手くいかなかったことがあっても、どちらかというと、最初と最後の印象が一番強く残るようです。
実際にこのクロージングの手を抜かないことが、「もう一回お願い」に繋がります。私自身もカムバック案件というものは結構多く、何かあった場合に、「こういうの出来ます?」と、再度お声掛けいただくケースは比較的多いです。
20代の頃、私が会社を辞める時には、跡が濁った辞め方ばかりだったと思っています。ですので、自戒と反省を込めて、終わりが次の始まりになるように、最近になってようやく動けるようになったかな、という感じです。
コジマサトシ/トナリコネクト
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