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#9 (後編)アナ試験倍率1300倍を突破 「奇跡」の起こし方

その後の展開がすごくドラマティックでした。何が起きたのか。

大体1週間か2週間ほどたったでしょうか。大学のサークルの合宿に向かうバスの中で自分の持っている携帯電話が鳴ったんです。「小渕恵三です」と。
おお!!と思ったのですが、よく聞いたら小渕恵三事務所です、とおっしゃっていたんですけど、その相手の方が「手紙を読みました。お会いしましょう」というじゃないですか!
いまでも高速のSAで手に汗にぎるほど緊張しながら電話していたのを思い出します。

すぐさま日にちを決めて、合宿から帰った後またスーツに着替えて当時は門前払いだった議員会館に今度は堂々と入館。秘書の男性の方とお会いすることができました。

ただ、先方としては「君は一体何がしたいんだ」という感じだったと思うんですよね。

「総理の夢を聞きたい」なんて僕が言い出したら、秘書さんから「森下くんはなにをしたいんだ」と聞かれて、「僕の夢はアナウンサーになることです」なんて答えたら「こんなところに来ている時間があったら、漢字のひとつでも覚えた方がいいんじゃないか」なんてこと言われてしまい、ま、相当イライラしてたんだと思います。

でもそれに対して僕は「こうして実際に現場に来て話を聞くのも大事なんです」なって言ってしまったものですから、秘書さんのイライラはピークに達して「そんなことはなってから言ってくれ!」きれられて、終わったわけです。

47全都道府県知事対談の夢は、残念ながら小渕首相に会うことが叶わず、出だしから最悪の結末を迎えたんですが、実は話には続きがあるんです。

対談は失敗だったが「奇跡」が起きた

僕の時のフジテレビのアナウンサー試験では全員まず面接があって、8000人受けたんですけど、1次は2対1でした。そこをクリアしてその先に進み、3次くらいだったかな。作文のテストがありました。
作文のテーマは当日、その場で発表という「即興生」を求めるものだったのですが、そうして迎えた作文の時間。人事の担当者がホワイトボードにおもむろに書いた、作文のテーマが「小渕総理への手紙」だったんです。

もうこれは運命だな、と震えました。だって、その手紙書いて、会いに行っているわけですから。実際に。

作文には、「先日はお会いすることができず、残念でしてが、今フジテレビのアナウンサー試験を受けています。無事受かることができれば、テレビを通じてお会いできることを楽しみにしています」なんて趣旨のことを書いたのですが、当然、面接官からするとでびっくりですよ。ほんとに書いたの?会いに行ったの?と。

普通ですと、ちょっとおかしな人だと思うんですけれども、今22年働いているからこそ思うんですが、テレビの場合ですとこんな面白いことされると落とせないですよ。
何より、やった内容と言うよりも、行動力とか企画力を評価してくれたのかな、なんて思います。

とにかく叶えたい夢、目標に向かって、死ぬ気で、本気で本気で頑張れば、こうした信じられないような奇跡がおこることがあるんだな、と当時思いました。

いまでは、そのくらい強い思いを抱いている子供たちがいたとしたら、それは全力でサポートして、その夢を叶えるためにやってみようとおもっていることを、やらせてあげることが大事なのかなと思っています。本人たちが考えているものを大人目線で見ると、くだらない、と思ってしまうこともあると思うのですが。まずはすべてをやらせてあげる、そして支えてあげるのが親としての役目なのかなと。そんなことを思っています。

(voicy 2022年3月29日配信) 

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