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#15 適当すぎる!中南米のおおらかさから学ぶべきもの
特派員として、4年間ニューヨークに住んでいました。北米のほか、中南米も担当エリアです。なので、全米のみならず、中南米も行ける非常に魅力的な仕事でした。もちろん旅行で行くのもOK。夏休みと冬休みがありますので、せっかくこんないいところにいるんだから、とあちこちいきました。
日本から中南米いくと大変ですからね。1日がかりどころじゃないですよ。たぶん場所によっては2日3日かかる。
皆さんご存知、イグアスの滝も行ってきました。でもね、南米ほどいい加減な国はありません。ちょっと語弊があるかな。南米ほど自由な感じの国はない。日本と比べた場合ですね。
日本の場合、飛行機はオンスケジュール、荷物が手元に届く、が大前提じゃないですか。直行便で荷物が届かないなんてことはまずない、中南米は、まず荷物が届かないと思って動いた方がいい。それをね、まざまざと痛感させられました。
同じ大陸に夏と冬がある
南米は南の方に氷河があるんですね。氷河トレッキングとかできたりする。
イグアスまでいくんだから、もっと南の氷河トレッキングできるところまで行っちゃおう、というプランをたてました。でも、イグアスは真夏だから夏用の服と冬用の服両方とも持っていかなきゃいけなかったので、トランク二つに分けたんですね。
でもなんせ南米。旅程が長くなるほどトラブルが頻発します。
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道中、アルゼンチンの首都に到着するはずが、予定時刻になっても飛行機はまだ飛んでいる。おかしいな、遅れてるのかな。そんなことを思っていたら、やっと着陸。でも、着陸してみたら、見渡す限り砂漠。どこだここは!?僕が写真で見てきたブエノスアイレスではない!混乱ですよ。
さらに機内アナウンスが全部スペイン語で何言ってるかさっぱりわからない。iPhoneで地図を見てみました。チリのイキケという砂漠にいました。
どこだここは。そしてこの後どうなるんだ。訳がわかりません。隣の人に聞いても何が起こってるのかよくわからない。
その後、しばらくしたのちに飛行機が飛び立ちました。後から聞いたところ、天候の問題だったようなんですけれども、こっちはさっぱりわからない状態ですから、で、無事アルゼンチンに着きましたが、その日は飛行機を乗り換えてブラジルまで行く予定だったのに、もうその便は出てしまっている。
ブラジル行きは明日になる、と言われて、チケット手渡されました。
ホテルは手配してくれました。そこはしっかりしていました。ただ、自力で行かなきゃいけなかったんですけれども。しょうがない。これはもう楽しむしかないということで、タンゴのバーにいきました。意外にこれが思い出深かったりするんですけど。
やっと着いたと思ったら…
さあそして次の日。早朝、本来ならもうイグアスの滝を堪能してるはずなのに、移動日となってしまいました。飛行機が飛びだします。しばらくしたのち着陸。「やっと着いたよ!」なんて思いながら外に出てみると、なんかちょっと「地球の歩き方」で見た空港と違う。
空港内に入ると、天井から吊り下げられた巨大なアルゼンチンの国旗。「まだアルゼンチンかよ!」心の中で叫びましたよ。手配されていた飛行機は、ブラジルのちょっと手前の空港に着陸してたんです。
でも調べてみると、タクシーでね、30分ぐらいかけるとブラジル側に回れるんですね。
日本だったらありえないクレームものです。そもそも目的地にしていた国と到着する国が違うんですから。でもね、そんなことはあるさと、ケセラセラじゃないですけれども、南米の場合は全てを楽しむしかありません。
悲劇は続く
さあ荷物のピックアップだ。ずっとターンテーブルの前で待ってましたが、待てど暮らせど、二つあるうちの一つしか出てこない。いわゆるロストバゲッジですね。
直行便ですら荷物が載ってないことがあるお国柄でございますから。何回もそんな乗り換えたうえに、砂漠なんて寄っちゃってるんですから、荷物が来るはずがない。残念。
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しかしもっと残念だったのは、イグアスは真夏。その次に行こうとしていたもっともっと南の方。そっちは冬。トランクは夏用と冬用に分けてました。もうなんとなく察しがついてるとは思いますが、真夏のイグアスに届いた荷物は、よりによって冬のダウンコートなどをガンガン詰め込んだ冬用のトランクのみ。荷物はね。そんな綺麗に分けちゃいけません。
どっちかがなくなることを想定して、ちゃんと仕分けしなきゃいけないんだなと痛感しました。何事もリスク分散が必要です。
空港でTシャツを買ってそのTシャツ1枚で過ごしましたけれども、3日後に荷物が届きましたということで、感動して思わず一緒に写真撮りました。
エスカレーターを人生で初めてみたとき少女は
南米での衝撃事件簿はまだまだあります。
皆さんご存知、マチュピチュ。ペルーのクスコという町まで飛行機で行かなくてはいけません。そこからは陸路になります。鉄道に乗っていくんですけれども、まずそのクスコの空港に到着したとき、石造りの、何と言いますかね。このアンデス文明を思わせるような石造りの壁に、大きいものじゃないけれども「神様」みたいなでかい顔の飾りがあったりして、ああ、ペルーに来たんだな、なんて思っていたのですが、そのときはね、ロストバゲッジはしなかったんですよ。
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パスポートコントロール出て、外に出てみました。何やら人だかりがちょっとできて、わいわいガヤガヤ騒いでるんです。空港の片隅で。やっぱり興味あるじゃないですか。
するとそこには、民族衣装を着た、中学生ぐらいの女の子、その子が囲まれてるんですね。大人の皆さんに。
始めはね、空港とかでよく民族衣装とか来た人との記念撮影!みたいなのあるじゃないですか。あれか、と思ったんですけど、近づいてみるとその観光客目当てとかじゃなくて、本当の民族衣装。つまり、現地の先住民代々伝わる服を着たホンモノ。
その子が上りのエスカレーターの乗り口、下のところでずっと立ちすくんでるわけです。聞いてみると、その子は初めて村から出てきて空港にやってきて、生まれて初めて、10何歳にしてエスカレーターを見たわけです。怖くて乗れないんです。
周りの人はみんなでスペイン語で「3、2、1、はい!」なんて、掛け声をかけてあげるんだけれども、女の子もちょっとハニカミながらその一歩が出ないんですよ、あれを見たときにですね、世界は広いなと。
生まれて初めて出てきた大都市、そして空港の中で動く階段初めて目にするわけですよ。そして、「それ!それ行け!」みたいな感じでまりの見ず知らずの大人たちが応援してるわけですよ。
思わず僕もちょっと手を握りしめて「頑張れ!」なんてね、心で思ってたんですが、そのうち業を煮やした大きな大人の男性の方がですね、そのこの腰を掴んでポンって無理やり乗せてあげたら「あっ、なんてことない」みたいな感じでエスカレーターにのってましたけども。拍手がわきおこりました。
世界は広いんです。
ぜひね、コロナが収束したら、もしくは収束せずとももう少しね、症状がもっともっと軽くなったりして、いわゆる季節性インフルエンザと同じような扱いになったりして、自由に世界中を旅することができるようになりましたら、皆様もまだ足を伸ばしたことのない地域にちょっと頑張って行ってみてください。
いい意味でも、悪い意味でも「カルチャーショック」は思い出に残ります。
(voicy 2022年4月11日配信)
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