フィンランドでは学生ビザでも働ける?日本とは少し異なる採用プロセスや退職について
はてなブログ「フィンランドで働くー労働文化編ー」の前半部分を書き終えました。折角なのでブログの各記事をnoteでも紹介してみます。
フィンランドの学生ビザは結構働ける
他の国では大きく制限されていることもある外国人留学生の就労ですが、フィンランドではそこまで大きな制限がありません。
インターンシップなど学位取得に関連があれば就労の制限はありません。
また賃金目的では週30時間以内と制限はあるものの「今週は働きすぎちゃったかも?」といった場合でも大きな問題にはなりません。
というのも、この週30時間以内は年単位の平均で考えればいいのです。
つまり夏季の間だけ働く場合はフルタイムでだって働けます。
1年間は約52週間、30時間とかけると52*30=1560時間となります。
つまり1年で最大約1560時間が留学生の就労可能時間です。
(ちなみにこの"1年間"は1/1から12/31のようです。)
例えば大学の夏休みの3ヶ月(約90日)だけ働く場合はどうでしょう。
1560/90=17,3…毎日休みなく働いても最大17時間/日はいける計算になるってことでしょうか。
長期休暇中に集中的に稼ぎたい人はダブルワークをしてもいいのかも。
ただ体調管理だけは気を付けましょう。倒れたら元も子もありません。
正規留学生であれば卒業後も滞在許可が貰いやすい
フィンランドの大学を卒業し学位を取得した後、引き続きフィンランドに住みたいと考えている人はいらっしゃると思います。
永住権がまだ貰える状況ではない、仕事が見つかっていない、そんな方達でもフィンランド滞在を諦める必要はありません。
フィンランドではEU外からの学生達を対象に、職探しもしくは起業準備のための滞在許可が最大で2年間発給されます。
つまり卒業して学生ではなくなった、しかも仕事が見つかってない状態。
それでも滞在許可を切り替えそのままフィンランドで就職活動ができます。
優秀な人材はどこの国でも欲しがるものです。彼らにフィンランドの社会で能力を発揮してもらうための滞在許可と言えますね。
なお下記の記事ではビザ以外に学生の仕事探しに関してもほんの少しだけ触れています。興味のある方は読んでみてください。
※この仕事探し用滞在許可はフィンランドの学校で学位を取得した人のみが対象のようです。残念ながら交換留学生は対象外となるでしょう。
フィンランドで初めて働くなら事前に納税額を申請しておくこと
なおフィンランドで働く際は税金に関して注意が必要です。
就労先が決まったら年間収入予定額を元に納税額(%)を計算し、税務局に申告する必要があります。税金カード(Verokortti)と言われています。
これを怠ると税率60%、つまり給料の約6割が徴税されることになりかねません。気を付けましょう。
この納税に関する申告は雇用主ではなく被雇用者、つまり雇われている人が行うものです。雇用主はやってくれません。
ここは日本とは大きく異なるので気を付けておきましょう。
フィンランドの採用プロセス
フィンランドで働くってどんな感じでしょうか?
自営業として働く人もいるでしょうが、フィンランドに住む大半の人は雇われ、つまり会社員であることでしょう。
雇われるメリットというのはお金を安定して稼げる安心感だけでないと思っています。学生生活では知り合えないような人達と一緒に仕事をするというのはとても面白い経験だと思いませんか?
そんな考えを元に「フィンランドで留学中に働いてみたい人」もターゲットとしつつ、一般的な採用プロセスを知ってもらうための記事を書きました。
「フィンランドにおける会社の人事部は採用にそこまで関わらない」
「フィンランドでは面接が2回以上行われるのは稀である」
このように日本とはちょっと違うんですよ。
フィンランドの退職プロセスと解雇について
入る時のことを書いたのなら、出ていく時のことも!ということで退職プロセスについて書いてみました。
退職プロセスにおいてはある程度知っておかないとトラブルの元になりかねません。そのため法律関係の話も少し付け加えました。
またトラブルの鉄板でもある「解雇」についても記事後半で語っています。
フィンランドと日本では退職の際どのような違いがあるのでしょうか。
例を挙げてみましょう。
日本では有給の買い取りは原則禁止とあるため、退職前までに出来るだけ有給を消費しようとしますよね。
一方でフィンランドでは退職時に有給は買い上げされることが一般的です。また有給の取得には雇用主の許諾が必要のため、退職届提出後に有給申請した場合受理されないこともあります。
(退職届提出前に合意した有給は問題なく取れますのでご安心を。)
ちなみにフィンランドでは退職届を出してから実際に退職するまでの期間が明確に決められています。なあなあで退職を先延ばしにされることはありません。この点は安心ですよね。
以上が日本とちょっと違う点でした。
採用プロセスに比べると記事内容は長く複雑です。
気が向いた時や困った時に搔い摘むように読んでみてください。
フィンランドで働くときに一番気を付けること
最後にこれからフィンランドに来て働いてみたいと考えている人に伝えたいことです。
フィンランドは日本人にとってみれば異国の地であるわけですよね。
つまり日本人の移住者はフィンランドにおいて「移民」「外国人」のカテゴリに入ります。
移民は言ってしまえば社会的弱者の部類に入ってしまうカテゴリです。
ではどういうことなのかというと移民は何も知らない、つまり情報弱者となりやすいことです。
言葉が通じないのはもちろん、生まれ育った国でもないわけですから文化や習慣、一般常識も日本と同じレベルで分かっているとは言い難いでしょう。
「知らなかった」が引き起こす弊害はどんなものがあるでしょうか。
分かりやすいものだと、悪意ある人間に知らず知らずの内に搾取されてたり騙されてしまう可能性があります。
先ほど紹介したはてなブログの記事には「労働協約による決まり」「解雇や無給の休暇」制度などを紹介しています。
これについては働き盛りのフィンランド人ならばほぼ全員知っています。
もしくは知らなくても自分で調べられる能力があるでしょう。
しかし非フィンランド人となる方達はどうでしょうか?
これを防ぐには正しい適切な情報を得ることです。
「現地民に比べ、自分たちは知らないことが多い」を知っているのは大切な一歩です。常日頃から知るように心がけましょう。分からないことは調べたり人に聞いたりするだけです、難しいことではありませんね。
また自分の発信しているブログ情報も含め、ネットの情報はあくまでも参考程度にすることです。鵜呑みは危ないので止めましょう。そして「この情報は本当なのだろうか?」と自身で調べる癖をつけてください。
問題が起きてから考えるのではなく、問題を事前に防ぐべく情報収集を怠らないようにしましょう。失敗をしてからでは遅い時だってあるのです。
少々長くなってしまいました。紹介は以上になります。
「フィンランドで働くー労働文化編ー」後半戦は入社後について、以下の項目を色々と書いていく予定です。
会社指定医制度(Työterveys lääkäri)※
福利厚生(Henkilökuntaedut)
昇給(Palkankorotus)
面談(Kehityskeskustelu/Arviointikeskustelu)
うーん、長くなりそう。
おまけのつぶやき
散々偉そうに書いてきましたが、世の中には「実際に経験しないと分からないこと」も存在します。
例えば冬の季節性うつ病についてがそうじゃないでしょうか。
日本にしか住んだことのない人に「太陽光がないのがどれだけ辛いか」を説いてもあまり伝わらないと思っています。
もうすぐ夏も終わるので「フィンランド冬の鬱対策!」みたいな記事も書きたいところです。
フィンランドでは冬になると体がだるい・疲れ・倦怠感の症状を訴える人が増えてきます。
酷く落ち込み、自身を卑下し、他人を羨んだり、意欲がなくなったり、映画や本を見ても内容が頭に入ってこない、なんてこともあります。
もちろん「自分は大丈夫!」と考える人もいるかもしれません。
鬱が進行し思考力が低下した状態で、精神科の専門医に英語かフィンランド語で状況を説明できる自信があるならそう考えても不思議ではありません。
もしくは鬱の治療が困難になり日本に強制帰国となったら、それはそれでフィンランドらしい思い出になるので挑戦してみるのもありでしょう。
この手の対策に大切なのは日々の習慣ではあるものの、新しいことを習慣化するには多少の時間がかかるものです。そのためフィンランドで新しいことを始めるなら秋から実践したほうがいいのかもしれません。
おしまい!