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「読書の面白さ」を教えてくれた一冊

本と読書を好きになった「きっかけ」について、振り返ってみました。

・高校の図書室で出会った、乙一さんの短編集『ZOO』
・書店で見かけてタイトルに惚れた、森博嗣さんの短編集『まどろみ消去』
・映画のように美しい構図と個性的な起承転結に驚かされた、道満晴明さんの漫画『ニッケルオデオン』シリーズ

などなど、いくつか思い浮かぶんですが。
そんな中でも、特に大きなターニングポイントだったのが、齋藤孝さんの『読書力』を手に取ったことだったと思っています。

岩波新書ですが、決して固い文章ではありません。
読みやすく、かつ読書の面白さ・奥深さを丁寧に解説してくれています。

そして発売は2002年ですが、今読んでも古さを感じない、普遍的なことを述べられています。むしろスマホやSNS全盛の現代だからこそ、重要視したほうが良い気付きをいくつも見つけられるはず。

特に、1章目【自分をつくる――自己形成としての読書】は、メモしたい箇所が多すぎて、私の手持ちの本は折り目だらけです。

読書の幅が狭いと、一つのものを絶対視するようになる。
(中略)
矛盾しあう複雑なものを心のなかに共存させること。読書で培われるのは、この複雑さの共存だ。

『複雑さを共存させる幅広い読書』の章より引用


人間の脳は、楽をしたがる仕組みになっていると聞いたことがあります。
わからないことを「わからない」ままにしておくこと。
曖昧なものを曖昧なままで抱えること。
それらは負荷が大きいので、できるだけ避けたがる。

しかし、安直な一般化が適さない物事もあれば、わかりやすい安易な回答に押し込めるのが危険な場面だってあるものです。

進む先に待つのが断崖絶壁でも、みんなが同じ方へ行くからという理由でまっすぐ進めば大惨事ですよね。
「たくさんリポストされているから」「専門家が言っているから」という思考停止に陥らないための基礎体力がつくのも、読書の効果だと思っています。

年明け直後のこの時期だからこそ、新しく本を読んでみようかな。
と、思い立ったらまず『読書力』を読めば、読書欲が一気に加速するはずです。全力でおすすめいたします。



最後に私自身の話。
2023年はnoteを始めた影響もあり、文章術や文章力に関する本を多く読みました。
2024年はそこから距離を置いて、小説にエッセイにノンフィクションにと、ジャンルを問わず興味のおもむくままに読むことを、強めに意識するようにしたいです。

役に立つことを度外視した好奇心をきっかけに、何かしら新しい気付きを得たらnoteにアウトプットする。
そういう良い循環をつくれたらいいなと思っています。



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