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あの綺麗な耳飾りのように


ある素敵な横顔を見かけたのは
旅先のパリで
列車に揺られていた時のことでした。

すらりとした姿の女性がひとり、
同じ車両へ乗車されて
私の席から見て斜め向かいのところに
場所を取られました。


30代ほどに見えるその方は、
ダークブロンドの豊かな髪を
つむじの辺りでゆるく団子にまとめています。
眉は、堂々と凛々しく
そばかすの乗った白い肌です。

手元のほうへ
視線を落としているその横顔に、
私がはっと目を奪われたのは、
耳元に咲く
綺麗な、きれいな耳飾りが
その方に本当によく似合っていたからです。

耳飾りは
直径3センチほどの円形。
ゴールドの薄いプレートで
繊細な花の絵図が透かし彫りにされています。

花は、百合の花でしょうか。
可愛らしいというより
エレガントな、落ち着きのあるデザインで
ステンドグラスの図案を想起させます。

シュッとした顎、長い首、丸い耳飾りという
シルエットの美しさ。
ダークブロンドの髪、緑がかった栗色の瞳に
ゴールドの耳飾りという配色の良さ。

大ぶりなサイズ感も
目鼻立ちのはっきりしたお顔には
相応しく感じられました。


その方が着ているのは
薄手の黒いニットとトレンチコート、
深いブルーのジーンズと
至ってシンプルです。
ですけれど、そのおかげで
自然と目線は
耳飾りへと誘導されます。

ひらりと耳飾りが揺れるたび、
ゴールドがサッときらめいて
一見なんということの無いスタイルに
華やかさを演出するのです。

足し引き上手。
彼女自身の自然な美しさが映える
過不足のないスタイリングでした。



下品な服装は服だけが目につき、
上品な服装は女を引き立たせる。

ココ・シャネル

ひとりのパリジェンヌの姿に
ココ・シャネルの言葉を思いました。

あの綺麗な耳飾りのように
自分に似合うアクセサリが
ひとつ、ほしくなりました。


これからもあたたかい記事をお届けします🕊🤍🌿