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【当店の組立】自転車組立の裏話を暴露します(一般車編)◎2024年10月04日更新

広島県広島市にある『動く自転車屋』『自転車の便利屋』サイクルサービストグトの公式noteをご覧いただきありがとうございます。

快適長持ち系自転車安全整備士のノーリー(店長)です。たまにメールで
「サイクルサービストグトさんはママチャリの整備もやってますか?」
「ママチャリはさすがに受付対象外ですか?」
なんてご質問をいただきます。

当店は一般軽快車(ママチャリ)もやっております!

この記事ではサイクルサービストグトが販売する自転車に対してどう向き合い、私がどのように組立をしているかを公開致します。
それではぜひ最後までご覧下さいませ。
裏話も暴露しちゃいます!


■トグトについて、連絡(利用)方法等

当店は出張修理等が多いため、決まった店休日や営業時間という概念がありません。
他店様が営業していない時間帯でも予約制にてご依頼等を承ります。
また、当店にて自転車の販売(防犯登録含む)も行っておりますが、他店様にてお買い上げの自転車の組立や点検及び調整、修理やカスタマイズ、オーバーホール等のアフターケアも大歓迎です。

当店についてはコチラをご覧下さいませ。

当店に利用予約や注文・依頼等の相談連絡をいただく場合はコチラ↓

https://note.com/togt24/n/n56ab0347f829

↑をご覧いただき、ご理解いただいた上でご連絡いただけますと幸いです。

■ママチャリはバカにされる?

日本国内では自転車のカテゴリーを大きく分けると一般車(『軽快車』いわゆる『ママチャリ』)とスポーツ車に分かれます。
ユーザーさんの使用環境や使用目的によって合うものを選べば良いだけなので、そこに本来は優劣なんてありません。
高級車に乗っている一部の人が安価なクルマ(またはそれに乗っている人)を見下すのと似ているかもしれませんね。
極論を言ってしまえば自転車は道具であり、人の命も乗せる『くるま』の仲間です。
ただ、あらゆる部分の『精度』については、スポーツ車の方が優れている場合が多く、
「ママチャリの精度はクソ」
なんて言われているのは否定できません。
当然ながら販売価格の違いも影響していますが、実は『スポーツタイプ』として売られている自転車であっても精度が悪すぎるものはたくさん世に出回っています。
そして恐ろしいことに、差が生じやすい部分の多くは外からは見えません。
組立担当者が手を抜こうと思えばいくらでも手抜きができてしまします。
例えば同じプラモデルのキットをAさんとBさんが、それぞれ買って組み立てたとして、その出来栄えが違うというのと似ているかもしてませんね。

どんな工場で製造され、どんな部品が使われているかでも出来上がりの差が生じますが、結局はどんなメカニックがどういう最終組立をしたかによって、同じ車種で仕上がりや車体寿命に大きな差が生じます。
しかし残念ながら、多くの販売店ではこんな細かい部分にまで手を入れません。
儲けにならないのに手間だけかかり、時間をかければかけるほど利益が溶けるからです。

■From メーカー(製造工場)

今では完組状態と呼ばれ、メーカーさんから届いたままの状態で『とりあえず乗れる』仕様のものが増えています。
販売店としては組み立てる手間を省けるので喜ばれがちです。
一方、梱包サイズをコンパクトにすることで輸送費用を抑えられる『九分組』や『七分組』という仕様のものもあります。

おそらく多くの販売店の立場で言えば面倒ですが、保管が楽になるのはメリットです。
また、輸送費用が抑えられるので、その分、販売価格を抑えることにも繋がります。

これが七分組です。

梱包を解いたらこうなります。

ここから販売店で残りの組立をすればOKということですが、実際はOKではないことも多いです。
新品なのにベアリングの球数が足りないとか、ネジがダメになっていたとか、チェック項目を増やせばどんどん問題が見えてきます。
特に重要な問題は分解してみないとわかりません。
なので当店では梱包を解いた状態から、さらに各部をできるだけ分解チェックしていきます。

もはや『バラ完』状態です。
いや、むしろバラ完組みの方が楽かもしれません。
当店では一旦分解してからの組み直しが当たり前なので、『完組』状態で納品されるよりもできるだけ分解してある状態で納品された方が素直に喜べます。
分解する手間が省けるのがその理由ですね。

何はともあれフレームの状態が悪いと、組み上がった車体の仕上がりに影響します。

まずはシートチューブ(『縦パイプ』とも言う)のフチや内部のバリを取り除きます。

こうすることで、シートポスト(サドルをくっつける支柱)にダメージが入りにくくなり、微々たる差ではありますがシートポストの寿命を長くすることに繋がるからです。
傷だらけのシートポストは見栄えも悪くなってしまいます。

金属フレームに金属シートポストなので、固着防止のグリスもうっすらと塗っておきます。

■よくあること

わざわざ分解チェックしないとわかりにくい部分の例がこちら。

クランクとクランクを繋ぐBB(ボトムブラケット)シェルは部品を外さなければ見えません。
そしてここは水が溜まりやすい場所、つまり、サビやすい場所でもあります。
錆びによって固着してしまうと、部品交換ができず、最悪の場合は車体交換(=買い替え)となり、大きな出費が発生するかもしれません。
ユーザーさんにとっては嬉しくないニュースでしょう。

回転部分というのも消耗品ですから、いつかは部品交換をするようになります。
その作業を当たり前に行うことができるよう、下処理にも手を抜きません。

ネジ部分の精度が向上し、『修理可能であるということ』を当たり前にしてみました。
この車体の想定される使用用途や保管場所を考慮すると、BBシェルのフェイシングまではしない方がいいかなと思いました。
塗装が残っていることで、サビの防止にも多少は役立つからです。
フェイシングによってスチール(フレームの下地)が露出すると、そこからサビが発生しやすくなります。
ついでにフレームの洗浄もやっちゃいましょう。

分解してみなければわかりにくい部分の、また別の例がヘッドベアリングです。
ベアリング(玉)が1球欠損していました。
こういう事例は一般車では珍しいものではなく、『よくあること』として片づけられてしまいがちです。
むしろ、販売店が組立でここまで分解することはほぼ無いので気付かれてもいないかもしれません。
実際に運転してみて、ただちに不具合が出るというものでもなく、
「ハンドル操作をするとなんかゴリゴリするけど、ママチャリなんてこんなもんでしょ。」
こういう状態のものが多く出回っているため、異常が正常だと誤解されがちなのかもしれません。
もちろん、サイクルサービストグトでは見逃さず、きちんと正常な状態にして組み立て直します
ベアリングのストックを補充して組み直しました。

■当店は長持ち処理をしてから組み立てる

ヘッドカップさえも一旦抜き取り、フレームだけの状態に分解した状態です。

クリア系の車体ならWAKO's(ワコーズ)のバリアスコートも施工します。
こうすることで新車の輝きが長持ちするだけでなく、ユーザーさんが愛車の掃除をする時に楽になるからです。
今後、新車のコーティングサービスに使うケミカル商品は変えるかもしれませんが、美しい仕上がりにもこだわります。

◆車輪まわり

メーカーが組み付けた車輪も一旦外し、内部をチェックします。
自転車は分解してみなければわからないことだらけですね。

リムバンド(チューブをホイールのニップルから守るプロテクター)の状態がやや不安です。

製造段階で生じたものと思われるバリも気になります。

汚れが残っていることもあるので掃除も欠かせません。
ニップルが製造段階で変形して尖っていることもあり、そういう場合はヤスリで処理します。

ホイールのセンターが出ているかをチェックし、出ていなければ可能な範囲で修正します。

値段の差は精度の差でもあります。
精度が悪すぎるとお手上げ状態になりますが、当店は仕上がりを良くするためにできることはなるべくやる方針です。

スポークの初期馴染みもできるだけ出しながら、センター出し(芯出し)も行います。
こうしてビシッとセンターが出ると気持ちもいいです。

気になっていたバリも落とします。
パンクの原因はさまざまですが、製造や組み付け不良によるパンクは避けたいものです。
ここまでやっておけば、さすがにその心配も無用でしょう。

リムバンドに不安要素があったので、リムテープを使って防御力を上げます。

リムテープが使用中に途中で無くなった場合は、このように足せばOKです。
テープの先端処理をしっかりやっておけば何の問題もありません。
チューブレスタイプだと良くないですが、この車種はチューブドクリンチャータイプ、しかもリムテープの上にリムバンドも使用するので気にしなくてOKです。
もっと言うと追加料金も発生しない、当店からのプレゼントみたいなものなので。

純正のリムバンドもフチの部分が尖り過ぎていると良くないので、尖った部分をマイルドにするためにハサミで整えます。

リムテープだけでも十分ですがせっかく純正のリムバンドが残っているので併用します。
ここまでやればホイールの製造不良や組み付け不良によるパンクは生じないでしょう。
もちろん、経年劣化によるものは避けられませんが、それを除けば安心してお使いいただける状態になります。

タイヤの製造段階で発生する通称『ヒゲ』を処理します。
接地面は無視しても問題ありませんが、側面のヒゲはフレームやフォークに当たることで異音の原因になりかねません。
ヴィジュアル的にもよろしくないので、脱毛しましょう。

スッキリサッパリ!
比べるとこうも違います。

タイヤの処理、ホイールの下処理が済んだら、いよいよタイヤを組み付けます。
虫ゴムと呼ばれるものが付いているタイプのチューブを使う場合、この虫ゴムの劣化が無いかをこまめにチェックしましょう。
車体を購入して間もない場合でも、この虫ゴムがいつ製造されたものかは不明です。
当然、製造から時間がたったゴムは劣化が見られます。
タイヤにも言えることですね。
新車だからといって油断はできません。

見栄えの良さを狙って、タイヤのロゴの真ん中からバルブが出るように組み付けてみました。
当店では仕様によってどこで合わせるかを変えたりしますが、美しい仕上げにもこだわります。

◆ドロヨケ(フェンダー)

ドロヨケもここからさらに分解します。

サビ防止が目的のグリスなのでここで使うグリスは何でもOKです。

ドロヨケ(フェンダー)を固定する小部品にまでサビ防止の油分を含ませます。

ドロヨケ本体の穴付近にもこうしてグリスを塗布しておくことで、ドロヨケそのものも長持ちします。
サビてしまうと割れたり裂けたりするので本当に厄介です。

◆ヘッドまわり

ヘッドカップを抜いた状態がこちらです。

どうしても汚れが残っているので一旦キレイにします。

ピカピカになりました。

水に強いグリスを使い、必要部分全体に伸ばします。

専用工具を使って正確に圧入してヘッドまわりの準備は完了です。

↑左側が1球欠損しているもの、右側が正常なものです。
不具合は見つけ次第、ただちに対処しなければなりません。

正常なベアリングリテーナーでも一旦洗浄します。

そしてグリスをタップリ!
長持ちさせるためにここはケチらない方が良いでしょう。

ヘッドカップ(ワン)にも溢れるほどのグリスを。
余ったグリス、はみ出たグリスは拭い去ればノープロォブレム!

ベアリングの当たり具合を調整する役割を果たすこの『玉押し』にも、ベアリングが当たる部分にはグリスをタップリ使います。
(グリス代は当然、お客さんには請求できないんですけどね)
全ては快適長持ちのため
サイクルサービストグトで買って良かった。
サイクルサービストグトに依頼して良かった。
そう思っていただければ嬉しいものです。

◆駆動系

当店では車種によって、または使用用途によってグリスを使い分けます。
このBBシェルはその最たる例です。

余談ですが、スクエアタイプのBBは軸長にも要注意です。
初期アッセンブル品なら概ね問題ありませんが、後々交換する時には気を付けないといけません。

まずは全体をキレイに掃除して、それから防錆効果を狙って油分を含ませます。

ネジ切りタイプのBBは素手でもすんなりとネジが回るのが理想です。
下処理をやっておいて本当に良かったと思えます。

チェーンケースを付けるので、一旦仮止めです。

チェーンケースを取り付ける前にまとめてネジ類にサビ防止目的の油分をなじませておきます。

前輪用。

後輪に使うCTA(チェーン引き)。

下処理を済ませたドロヨケです。

BBのロックリングはチェーンケース固定用に使われます。

専用工具で丁寧かつ慎重に組み付けます。

キズ防止にタオルを使うことも忘れません。
そもそも入荷して来た時点で多少のキズや塗りむらはどうしてもあります。
1万5千円の自転車でも150万円の自転車でも、その事実はかわりません。
工業製品である以上、やむを得ないのかなとも思います。
だとしても、当店でキズを増やすわけにはいきません。
高い自転車だから養生するんじゃなくて、大切な自転車だから養生もちゃんと行います。

なかなか一発では決まらないものです。
組み付けながら位置や角度に不満があればその都度修正していきます。

とは言うものの位置や角度が美しいだけではいけません。
正しく固定され、正しく機能することが最優先です。

そこまできちんと確認してから、美しい仕上げを目指して微調整を繰り返します。
トライ&エラーを繰り返しながら、ようやく納得のいく仕上がりになりました。

クランクのペダル受け部分の雌ネジの精度が気になったので、ここも再タッピングしました。
ペダルも消耗品、ということはいつかは交換時が来ます。
当たり前に部品交換で修理ができるように、今のうちに下処理を済ませておくわけです。
軽快車は特にクランクの精度が良くない気がします。

右クランクを仮装着!

左クランクも仮装着!

後輪を仮止めしてからチェーンを通します。

フルカバータイプのチェーン交換は手間がかかります。
チェーン交換の工賃が仕様によって異なるのはそのためです。

リアブレーキ固定用小部品。

まずは仮止めから行います。

チェーンの張り具合を手の感触で確かめながら、なおかつ車輪がフレームに対してセンターに収まるように微調整をしていきます。

チェーンテンションとホイールの位置が決まったら、さらに微調整を繰り返しながら少しずつ本締めしていきます。

車輪を本締めするとセンターが微妙に合っていないこともあるので要注意です。

フルカバーのリアキャップをビスで固定します。

フロントギヤのカバー(通称『目玉』)もビスで固定します。
このネジももちろんサビ止め効果を狙って油分を含ませてあります。

◆ハンドルまわり

ハンドルバーと車体を繋ぐステムもサビやすい部品のひとつです。
サビ防止の油分を含ませます。

斜臼(シャウス)部分には固着防止も兼ねて、適切にグリスを塗布していきます。

前カゴ固定用のネジ類にもサビ防止の油分を含ませてあります。

角度や位置に気をつかいながら、美しい仕上げを心がけます。

ブレーキレバー側のアウター受けもサビやすいので下処理をします。

ブレーキインナーワイヤーは動きを良くするためと、サビにくくすることで長持ちするように油分を含ませます。

◆他

ペタルにも余分な汚れが残っているので、キレイに掃除します。
その後に固着防止のための専用ケミカルを使用し…

しっかりと組み付けます。
クランクとペダルの間にバリが発生することもあるので、念入りに取り除きます。

サドルの角度も良い感じに合わせて完了です。

■「普通、こんなに手間かけられるか」

これはビジネス的な観点での話ですが、コストパフォーマンス(費用対効果)やタイムパフォーマンス(時間対効果)を意識するとどうなのかと。

時間工賃¥9,000-~¥12,000-と言われる自転車業界において、ここまで分解する時間とさらに組み直す時間を考えると、販売価格の安い車体であれば、車体の販売による利益は溶けてしまいます。
さらに長持ちしてしまうということはその後の修理などでの収益が見込めず、まさに『骨折り損のくたびれ儲け』になりがちです。
では、企業がそれを許すでしょうか?
大手企業は多くの従業員に膨大な給与等を支払うため、とにかく効率良くお金を稼ぐ必要があります。
ビジネスとしてそれは正しいことでしょうし、そうなると1台1台をこんなに分解して丁寧に組み直すなんてことはなかなかできるものではありません
効率こそが正義なわけです。
ましてや販売価格が比較的安い部類の自転車に対して、こんなに手間をかけようものなら『給料泥棒』と言われてしまうかもしれません。
実際、ネット通販や大手の自転車販売店チェーン等を見てみると定価よりかなり安く販売されている場合もあります。
となると、後々のユーザーさんの出費を抑えられるような組立なんてしている場合ではありません

■当店だからこそできること

販売台数が大手と雲泥の差があるということもありますが、当店は最初から価格(安さ)で勝負はしておりません。
というか、正直に言うと大手企業と価格勝負なんてできるハズもなく、同じ土俵に上がることすらできないでしょう。
ではどうするか?
品質で勝負するしかありません。
自転車を購入する初期費用としては安くなくても、後々の維持費などを抑えることで、ユーザーさんの負担を減らしたいとも考えています。

例えば同じ車種を
①A店で¥45,000-(割引)
②B店で¥50,000-(定価)
で購入したとして。
①は3年間で修理代が¥30,000-
②は3年間で修理代が¥20,000-
かかったとしましょう。
その3年間のトータルの自転車費用は②の方が安いわけです。
当店はまさに②のパターンを目指します。

全く同じ条件の車体・部品・仕様環境であれば、当店で組んだ車体は圧倒的に長持ちするでしょう。
使用環境によっても車体の寿命は異なり、使うパーツでも維持費は異なりますが、同じ車種で同じ部品構成で同じ使用環境だとしたら、自信を持って
「サイクルサービストグトで組み立てられた車体は長持ちしやすい」
と言えます。

職人の意地みたいな部分もありますが、長持ちして快適に使える方がユーザーさんにとっては大きなメリットでしょう。
当店はこれからもこの方針で自転車組立に向き合い、取り組む所存です。

■シメ

当店にてお買い上げいただいた自転車は、追加料金無しでこのクオリティーの組立を行うキャンペーン実施中です。
(キャンペーン終了の際は事前に別途告知します。)
また、有料ではありますが、ネット通販や他店様にてお買い求めの車体でもこのクオリティーの組立が可能です。
せっかく買った愛車を少しでも長持ちさせたい方は、ぜひ当店にご相談下さいませ。

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