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幸福論

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幸せになるために生まれてきたのではなく、美しく生きるために生まれてきた私たちの、だからこそ目指すべき幸福のために書いていきます。不定期。
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#戸田真琴

私は100年生きるのだから

私は100年生きるのだから


今、私のインタビューが少しバズっている。
(と、書いている間にあまり跳ねないまま忘れられているかもしれないけれど)

宗教3世とか、毒親とか、そんな感じの生い立ちを語る内容だけれど、正直そんなことはどうでもいい。
近しい境遇の人がいたらその人に届くといいなと思うし、想像すらしたことない人が読んで他者への想像の一助になればいいなと思うけれど、そんなことは実際、今の私の人生の本題ではない。

無邪気

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親友みたいになろう

※Instagramに投稿した文章の完全版です

2022年もお世話になりました!

昨年末にアダルト女優業の引退を表明してから、みなさんとの思い出づくりに明け暮れた一年でした。

1月から12ヶ月連続刊行ZINEシリーズを始めたり、FALENOさんから毎月新作を出すたびに店舗さんでサイン会を行ったり、これまでで一番頻繁にオフ会を開催したりもしました。
引退を決めたからこそ自分のやりたいことをぎゅ

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写真集『神画』が8月29日に発売します。

写真集『神画』が8月29日に発売します。

「神様になるための旅をしようかな。」

 初監督した映画の上映が一息ついたとき、帰りの車の中で、街の灯りを見ながら思いました。
 ちょうど、AV女優の戸田真琴として肌を晒して活動するのも、来年の1月で終わりにすると決めていました。丸6年以上の間、私は主に男性の性的好奇心をそそるための作品に出続け、ほんとうに様々な言葉を聞きました。その中には、私のことをすでに穢れているという前提で発せられる言葉もあ

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賛歌/上映最終日の夜に

賛歌/上映最終日の夜に

2019年に監督した、『永遠が通り過ぎていく』という映画が、昨日まで吉祥寺の映画館でかかっていた。3週間。もともと仕事が入っていた日以外は毎日劇場に行って、ゲストを招いて、話した。そのあと物販を買った人にサインをして、ひとりひとりと更に話した。人と出会って対話をすることは、自分の銀河とは別の銀河を覗き込む行為だから、ずっと脳がチカチカした。みんなぜんぜん違うんだ。しかも、それがそれぞれすごくよくて

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映画『永遠が通り過ぎていく』に寄せて

映画『永遠が通り過ぎていく』に寄せて

あらゆる再生への道のりは構造が似ている。
小さな破壊を繰り返し、プロセスなら幾度となく知っていた。たとえこれが命の質を変えてしまうような悲しみでも、目だけは見えている。空気を読まずにラメ入りの、この糸を正しく辿りさえすれば、たった一瞬、叶うことがある。
それは億千光年の片想いが一度だけ、届いたような朝だった。

君の目は黒く、君以外のすべては最悪で眩しい。あと何度傷付いたら神様の気持ちがわかるの

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私のエピソード・ゼロが終わった──映画『永遠が通り過ぎていく』監督・戸田真琴と振り返る3年間

私のエピソード・ゼロが終わった──映画『永遠が通り過ぎていく』監督・戸田真琴と振り返る3年間

2022年4月1日より、映画『永遠が通り過ぎていく』が、東京・アップリンク吉祥寺のほか全国の劇場でロードショーされます。上映を前に振り返る、制作スタートからの約3年間。幾度も編集が施されてきたのは、作品だけではありませんでした。監督を務めた戸田真琴も、一時は自信をうしない、また再生しつつある心で、次なる光を手にしつつあります。

「これまでが、私のエピソード・ゼロでした」──“戸田真琴”の変化を今

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あと1年でAV女優を引退します。

あと1年でAV女優を引退します。

タイトルの通り、本日発売の「FLASH」にて掲載のグラビア内にて、AVメーカー「FALENO」への移籍と、1年後にAV女優としての活動を引退する旨を発表させていただきました。

先月、デビューから丸5年以上お世話になった元いたメーカーの専属を卒業するという発表があってから、メーカーを移籍することはお察しの方も多かったと思いますが、これから丸1年間、FALENOの専属として月に1本のペースで作品を1

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ノウハウ

ノウハウ

 何か失敗をするたびに、人生が終わってしまうような気持ちになる。例えば仕事の日にカラコンを忘れるとか、メイクポーチを置いてくるとか、撮影の日にちを間違えて現場に着くまで気づかないとか、そういう些細なものをはじめ、対人関係に臆病すぎるがゆえに連絡を後回しにしていたら仕事に影響が出るとか、自分のキャパシティを正しく把握できずにパンクしてしまうとか、そういう実害の大きいものまで私の失敗遍歴はバリエーショ

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最近のいろいろまとめ

最近のいろいろまとめ

★「I’m a Lover, not a Fighter.」少女写真家の飯田エリカさんとともにつくっているグラビア写真作品を発表するプロジェクト「I’m a Lover, not a Fighter.」(意味:私は平和主義者)のsecond season がひきつづき更新されています。

Podcast[戸田真琴と飯田エリカの保健室]#44でも話題に出た通り、女の子がセクシーさを求められる業種の中

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#44絶対彼女

#44絶対彼女

飯田エリカさんと共にやっているPodcast"保健室"に、「ほろ酔いのまいぷにさんと世の中の歪みや女の子の仕事の誇りについて語らう、保健室」というエピソードが更新されました。

前回、前々回から引き続き塚本舞さん(まいぷにさん)がゲストに来てくださっていて、これまで恋愛観を中心に楽しくトークをしていただいていました。3回目の今回は、そこからまたもう一歩深いところへいって、性的な話題を含む女性の方か

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日々と音楽

日々と音楽

 ずっと昔に聴いていたCDを引っ張りだす。春の空気を煮詰めて美化と真逆の処理をしてもなお胸を透くような美しさがあった音楽に、敬意を込めて再生する、口ずさむ。同じ名前のミュージシャンでも、今はあんまり好きじゃない。偽善者みたいになっちゃってつまんない、なんて消費者みたいなことを思う。大きな音でイヤフォンに流す。体液を煮詰めたような声、という概念がここにあって、チェンソーマンの悪魔のひとつのデザインと

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「耐え抜く」以外のボタンを押せない日々で

「耐え抜く」以外のボタンを押せない日々で

時間通りに家を出ることもできない私は、それでも再度の緊急事態宣言を受けて自分が一体どう振る舞うべきなのか、頭が悪いなりに考えていた。拙い想像力でまず心配になったのは近所の飲食店。カフェやレストラン、前回の宣言の間に消耗し切って店をたたんでしまったお店がいくつもあった。人に好きになって、繰り返し訪れてもらってやっとなんとか続いていく、というのは私のしている仕事も少し似たようなところがあって、完全

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写真展「Golden dust」を開催します。

写真展「Golden dust」を開催します。

お久しぶりです。
今まさに準備中なのですが、来週の10月20日(月)から25日(日)の6日間にかけて、写真展を開催することになったので、そのことをお知らせさせてください。

「Golden dust」というタイトルを掲げて、とある森の中の一軒家で暮らす3人の女性の物語を写真と映像で展示します。

「Golden dust」は、小さな一軒家を舞台に展開される、誰も知ることのなかった物語です。
自分た

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PINK MAZE

PINK MAZE

noteの更新が滞っていてすみません。

最近、新しく写真集を自主制作しました。飯田エリカさんとずっと写真を撮ってきてもう3年くらいたち、被写体としての自分も、一枚皮が剥けたような気がした撮影でした。

そんな気持ちで愛おしくなってしまい、72pの大ボリュームとなってしまいました。もはやZINEとは呼べず、作りはZINEですが、写真集と呼んでいます。

写真に合わせて私が書き下ろした詩が4編収録さ

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