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【活動レビュー】高校野球部への指導を開始して1ヶ月。体の土台が投球障害を予防する理由について解説します

はじめに

フリーランスのアスレティックトレーナーとして活動する、徳田晴宣(トクダハルノブ)です。プロアスリートのケア&コンディショニングや都内の大学パフォーマンスセンター、静岡県の野球振興活動、県内の高校野球チームなどに携わっています。

高校野球部への指導を始めて1ヶ月が経ちました。チームから任されている主な業務は以下の通りです。

・冒頭1時間半ほどの時間を使ってのコンディショニング指導
・ピッチャー陣へのコンディショニング
・ケガ人へのリハビリテーション指導

これまでの臨床経験や肩肘診療に特化した医療機関で得た知見を活かして、ケガ予防やパフォーマンス向上のために必要なコンディショニングを行っています。

今回はこの1ヶ月での指導を振り返った上で、投球障害を防ぐために必要な体作りについて解説したいと思います。

体の胴体部分を安定させる重要性

私がコンディショニング指導を行う上で必ず伝えることは、「体の胴体部分を安定させましょう。」ということです。

下の資料に記載があるように、みぞおちの下~大腿骨上1/3までの範囲を1つのユニットとして捉えて、それぞれの筋肉や関節がタイミングよく力を発揮することが非常に重要です。

ただ力を発揮するだけではなく、体の中心部を土台にして四肢末端を協調的に動かすことも大きなポイントで、それができると効率的に力を伝えられます。

そのためには、

・お尻やハムストリングスなどの下肢の筋肉を柔軟にする
・骨盤周囲の筋肉を活動させて、骨盤を土台に四肢を動かす感覚を養う
・背骨の配列を正して、重力に抗って力を発揮できる環境を作る

ことが必要です。

前述したチームにおいても選手それぞれの姿勢や歩き方、走り方などを注意深く観察し、これらの機能性がどの程度備わっているかを丁寧に確認しました。

骨盤後傾位での運動がもたらす影響とは?

全体に共通した課題は、骨盤後傾位での運動が習慣付いており、効率的な力発揮をできていないことでした。

特に投手は下半身から生まれた力を漏れなく指先に伝える必要がありますが、今の状態では効率的に力を伝えることが難しく、肩肘の障害を起こす危険性が非常に高いです。

また骨盤後傾位での動きが常態化することで胸郭の運動性が減少し、肩甲骨と背骨の連動性が失われていたことも大きな課題でした。

お尻やハムストリングス、背骨の柔軟性向上や胸郭・肩甲帯の機能改善を目標に、コンディショニングの指導を行いました。

実際の取り組み

私が実際にチームで指導したエクササイズをいくつか紹介したいと思います。

指導を始めて1ヶ月が経ち、いま行っているコンディショニングに大きな成果を感じています。

選手たちやチームスタッフの方々にも運動効果を感じてもらっており、前向きな気持ちでエクササイズを日々実践できることが何よりです。

1.テニスボールを使ったセルフケア

テニスボールを2つ連結させて、ピーナッツ型にしたものを背骨のセルフケア用品として使用します。

真ん中のくぼみを背骨の中央部にセットし、仰向けの状態でゆっくりほぐします。

みぞおちの真裏から首の付け根までがとても硬くなりやすいため、少しずつ場所をずらして行いましょう。

【注意点】
・硬いところを無理にほぐそうとせず、痛すぎない範囲で行ってください。
・1箇所につき、長くても20秒程度とし、場所を変えながらまんべんなくほぐしましょう。

2.Re:style poleを使った胸郭のコンディショニング

Re:style poleを使用したエクササイズを行い、背骨の配列を整えて、肩甲骨と胸郭との連動性を少しでも出せるようにしました。

Re:style poleを使ったエクササイズは、投手に必要な胸郭・肩甲帯の機能を獲得するために欠かせません。

実際にエクササイズを行った選手からは、

「背筋がまっすぐ伸びる感じがして、体がすごく楽になります。」
「投げ終わった翌日または2日後の疲労感がこれまでとまったく違います。」
「肩甲骨の動きがよくなり、肘への負担が少ないと感じます。」

という声を聞くことができ、その効果の高さを再認識しました。

今年1月のプロ野球選手の自主トレでも使用しました。
ポールを肩甲骨の下に入れた状態で、脇腹をストレッチ!

Re:style poleに関する記事はこちらから↓

3.スクワットエクササイズ

隣接し合う関節をよい位置に保ち、スクワット動作において【地面を押す感覚】を得ることが非常に重要です。

指導し始めた頃は、ほとんどの選手たちができておらず、地面からの力をうまく伝えられていませんでした。

股関節を柔らかくしたうえで、胴体部分を1つのユニットとしてそれぞれの筋肉をよいタイミングで使うことができると、効率的に力を伝えられます。

特に投手は投球時の股関節の安定化に直結するため、スクワット動作における代償動作を極力少なくすることが重要です。

・立ち上がるときに、股関節を中心に地面を押せているか
・しゃがんだときに体を外に逃がしたり、骨盤が挙上したりしていないか
・胸椎が後弯し、骨盤が後傾していないか
・骨盤が回旋し、どちらか一方の足に体重が偏っていないか

などを確認しながら、スクワット動作の質をできるだけ上げられるように指導しました。

指導を行った当初は何も負荷をかけずに自体重のみで行っていましたが、現在は自体重の10~15%程度の負荷を加えて行えるようになりました。

ただ、回数やセット数を重ねた終盤で、良い形での運動を持続できなくなるため、筋肉量を増やすこともこれからの課題です。

おわりに

実際の指導内容を交えながら、体作りにおける考え方を解説しました。

野球に限らず全てのスポーツは全身動作のため、局所的なアプローチではケガを防ぐことができません。

関節のアライメントを整えて、隣接する関節との協調性を高めることがケガの予防のために必要だからです。

筋肉や関節を柔らかくするだけではなく、重力下において力を適切に発揮できることがとても重要です。

今後もチームへの指導を定期的に行い、少しでも選手たちの体作りやパフォーマンスにつながればうれしく思います。

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