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冬のピリピリした冷たい空気の中、どこかで誰かが吸ったタバコの匂いがしてきたとき、嫌なことを思い出して下を向いてしまう
生活が丸残りしたキッチンに寂しく鳴る洗濯機の音と俯くあなた、私はこっそりと泣きながらタバコを吸うことしかできないのかな。
(しゅうげき)(りゃくだつ)(ぼうどう)
これは夏の暑さの形容
嫌だなって思いながら学校へ行ったり
文句を携帯や友達にこぼしたりする夏のこと
みんながバラバラと夏休みになったり
社会人に夏休みはありませんとか言う大人だったり
来年は会えたらいいねと言い合ったあの人のこと
気づいたらありえないくらい暑くなっている襲撃
毎朝の楽しみだった散歩をやめてしまった略奪
うだるような暑さに嫌気がさして暴動
そうやってそのまま会えずにいなくなって
その島に一つしかない火葬場
祖父はそこで灰になった
わたしは特に考えることをやめていたからなにも思わなかったけれど、たしかに一つしかない火葬場だった。
この世が終わる前日みたいに無機質で、まあそれが火葬場なのかもしれないけれど、もう今からあの世へ行くんだったらもう少しくらいかわいくったっていいのになとか思ってた気がする。
それからちょうど1年後、祖母もそこで灰になった。
死ぬような器の人ではないと、勝手に思っていた。
ひとりで焼肉をたべた日
私は少し早く着いてしまったからね、たまにいく喫茶店に座ったんだ。タバコが吸えるから好きなんだよね。とかツイッターに喋りかけながら。
元々、約束をしてもなかなか来ないのが彼だったので、今度もそんな調子だってすぐに分かるからなんとも思わなかった。
今は便利な位置情報共有アプリがあるから、それを見れば彼がどこにいるかなんてすぐに分かる。動かない彼のアイコンを2秒くらい見つめてすぐにアプリを閉じた