その島に一つしかない火葬場


祖父はそこで灰になった

わたしは特に考えることをやめていたからなにも思わなかったけれど、たしかに一つしかない火葬場だった。

この世が終わる前日みたいに無機質で、まあそれが火葬場なのかもしれないけれど、もう今からあの世へ行くんだったらもう少しくらいかわいくったっていいのになとか思ってた気がする。




それからちょうど1年後、祖母もそこで灰になった。
死ぬような器の人ではないと、勝手に思っていた。

わたしは、祖母によく顔が似ていて、特にメガネをかけるとそっくりだったから、みんなに似てるとかたくさん言われたけど。

わたしも大人になったらああなるのかと考えてしまって、こわくなった。


1年経ったいまも、火葬場は無機質なコンクリートの床のままだった。

よく考えたら島ではなくって、半島だったのかもしれない。

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