犬大学

音楽、家にいる犬、友達、恋人、好きな人へ

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最近の記事

ほしいままのきみ

時計はたぶん随分前にとまったし、食器は洗ってカゴに入れたまま埃をかぶっている。洗面所のタオルはずっと変わってないし、来るたびに悲しい思いをする。きっとこの先も変わらない。 友達はいるし、妻もいる。父母はいない。 いないことの悲しさはわたしには計り知れない。 計り知れないながらにも、わたしは悲しい。 能天気で絵も裁縫も工作も老人の相手さえも上手な彼女は、この先しばらくはわたしにたくさんのことを教えてくれると思っていた。終わりはあっけなかった。 月日は何も解決してくれなかった。逆

    • 新春

      暖かすぎて春の匂いがした気がしました。 2日後にはまた元いた冬に戻ってゆきました。 まだ、雀の声しかしなかった。 待ち望んでいるそれは、あとどれくらいで、だろうか。 死ぬなら昼間がいいな。 浮かれ顔の君と15時の天国みたいな太陽の輪。 ここにいる自分と道路を歩いてる自分は、ずいぶん違うような感じがします。 ちょっと照れくさくてどきまぎな関係の君とか、散々言われてしおれてしまったあの子も。 愛おしいとはちょっと違ったなにかがあるかもなあ。

      • 冬のピリピリした冷たい空気の中、どこかで誰かが吸ったタバコの匂いがしてきたとき、嫌なことを思い出して下を向いてしまう

        • におい また冬

          東京を歩いていたら、よく知っている匂いがして、焦って振り返った。 去年の今ごろの匂いだった気がする。 去年の今ごろ、わたしは全部がダメだった気がする。 全部がダメで、それはそれは最悪だった気がする。 でもその頃のわたしは、なにも最悪だとは思ってなかった気がする。 自由だった気がする。 今が不自由というわけでもない気がする。 東京の街で振り返っても誰もいなかったけど、わたしの中で去年のわたしが生きている気がする。 今年も去年と同じような冬が来たのだ。

        ほしいままのきみ

          暮らしてるところ

           わたしは、そこで足踏みしてるお前たちを見て、にんやりしながらスキップで前に進んでった。 ずっとそこにいればいいよ、わたしは先行くから。 そう言った記憶がある。  気づいたら、わたしだけが後ろにいた。のに気づいたのは最近のことだ。 お前たちは前にいたけど、別ににんやりしてないし、それなりにやってる。  わたしは、後ろに向かってスキップしていたわけじゃないのに、なんで、なんで、なんで。 考えてもわからなかった。焦っていたし。  わたしが気づかず立ち止まっている間に、お前た

          暮らしてるところ

          かわりゆくあなた、わたし、ひとびと

          あなたは誰よりも楽しんでいた。 ずっと、今も昔も。あなたの昔のことは知らないけれど。 あなたの全てを知ったふりをしているの。 にんげんってかわるのが当たり前だからね、それは知っている。 わたしは誰よりもよく知ったふりをしていた。 この世のしくみとか、他人の恋愛とか、洋楽のこととか。 本当はなにも知らないこと、気がつくまでずいぶん時間がかかった。 かわることが怖かった。このままなくなりたかった。 ひとびとは知らなかった。 じぶん自身がかわりゆくことに。 暮らしとか、お金とか

          かわりゆくあなた、わたし、ひとびと

          20年、わたしの知見

          わたしにだって20年生きてきた知見がある。 圧倒的なヒエラルキーを見せつけられたあの時のことは忘れないし、本は読めば賢くなれた気がする。のどかなところで日暮れとともに寝て朝日とともに起きてゆきたいと願う日もある。 そんなことはどうでもよくて、そんなことではないけど、今わたしがあなたに話したいことは。 夏の暮れの夕方、生温かい風が体を横切った時の話。お気に入りのハンカチを失くした。 このろくでもない世界に終止符を打つと。 今日も母たちは人々の屋根として息をしている。 わたし

          20年、わたしの知見

          生活が丸残りしたキッチンに寂しく鳴る洗濯機の音と俯くあなた、私はこっそりと泣きながらタバコを吸うことしかできないのかな。

          生活が丸残りしたキッチンに寂しく鳴る洗濯機の音と俯くあなた、私はこっそりと泣きながらタバコを吸うことしかできないのかな。

          ゆくえ

          この夏の1番の思い出になるだろうと思っていた予定が消えた。 でも、いつも元気をもらっていたから今度はわたしが元気をあげる番だね。

          (しゅうげき)(りゃくだつ)(ぼうどう)

          これは夏の暑さの形容 嫌だなって思いながら学校へ行ったり 文句を携帯や友達にこぼしたりする夏のこと みんながバラバラと夏休みになったり 社会人に夏休みはありませんとか言う大人だったり 来年は会えたらいいねと言い合ったあの人のこと 気づいたらありえないくらい暑くなっている襲撃 毎朝の楽しみだった散歩をやめてしまった略奪 うだるような暑さに嫌気がさして暴動 そうやってそのまま会えずにいなくなってしまった去年の夏のこと 私は忘れないから うらみをこめて

          (しゅうげき)(りゃくだつ)(ぼうどう)

          その島に一つしかない火葬場

          祖父はそこで灰になった わたしは特に考えることをやめていたからなにも思わなかったけれど、たしかに一つしかない火葬場だった。 この世が終わる前日みたいに無機質で、まあそれが火葬場なのかもしれないけれど、もう今からあの世へ行くんだったらもう少しくらいかわいくったっていいのになとか思ってた気がする。 それからちょうど1年後、祖母もそこで灰になった。 死ぬような器の人ではないと、勝手に思っていた。 わたしは、祖母によく顔が似ていて、特にメガネをかけるとそっくりだったから、みん

          その島に一つしかない火葬場

          ひとりで焼肉をたべた日

          私は少し早く着いてしまったからね、たまにいく喫茶店に座ったんだ。タバコが吸えるから好きなんだよね。とかツイッターに喋りかけながら。 元々、約束をしてもなかなか来ないのが彼だったので、今度もそんな調子だってすぐに分かるからなんとも思わなかった。 今は便利な位置情報共有アプリがあるから、それを見れば彼がどこにいるかなんてすぐに分かる。動かない彼のアイコンを2秒くらい見つめてすぐにアプリを閉じた 寝ているのか。とか女が家にいるのか。とか推測することは思ったより簡単だったし、そ

          ひとりで焼肉をたべた日

          違うところが好き

          わたしは彼女と全然違った。 全然違うところが好きだった。 考え方とか、今までの生き方とか、利き足とか。 自分にないものってたいてい面白いから。 でも、わたしはこれから先、彼女と一緒に居れないことに気づいていた。 パパとママみたいになるから。 それは嫌だった。 反面教師にして生きていくと決めていたから。 わたしが小さい頃、パパに、ママのどこが好きなの?と聞いた。 パパは、「俺と考え方が全然違うところだよ」と答えた。

          違うところが好き

          第二志望

          . わたしの通った大学は第二志望のところだった。 あなたの誕生日が本当に3月11日だったのか、わたしは知らない。 あなたが昔、住んでいたところに帰ったのか、それともまた違うところへ行ったのか、わたしは知らない。 不要不急が叫ばれる中で、あなたの生活がどれほど変わってしまったのか、わたしは知らない。 決してあなたと同じ苦しみは味わえないことだけ、わたしは知っている。 わたしは、わたしの通っていた大学が第二志望だったということを思い出すたびにあなたのことも同時に思い出

          第二志望

          自己紹介

          音楽、家にいる犬、友達、恋人、好きな人へみなさん元気にしてましたか? わたしはぼちぼちです。 わたしは平成14年生まれ、ツイッターでは平成14年生まれはいろいろな災難に見舞われたと嘆かれているけれど。 田舎でも都会でもないかっこ悪い街に住んでいます。 犬を撫でながら音楽を聴いて、たまに友達や恋人に手紙を書いて、もっとたまに好きな人のことを思い出す。 ただ生きているだけでよくなればいいのにと思って暮らしています。

          自己紹介