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人生における全ての事は物語

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芸術、生活、旅など、生きること全てについて想いの随に綴ります
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愛棋家、指宿に行く

愛棋家、指宿に行く

 将棋を指すのも、観るのも好き。愛棋家の私にとって薩摩半島南端の指宿(いぶすき)は、いつか行きたいけれど遠くて行けない、そんな場所だった。
 鹿児島砂むし温泉指宿白水館は竜王戦の舞台となることが多く、最近で言うと1年半前の第35期竜王戦、藤井聡太竜王と広瀬章人挑戦者が対局翌日に仲良く砂蒸されている写真が印象深い。

 そんな「行きたいけれど遠い場所」がグッと近づく機会があった。鹿児島市まで出張で来

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薩摩の外城、武家屋敷群「麓」を歩く

薩摩の外城、武家屋敷群「麓」を歩く

(外城は「とじょう」、麓は「ふもと」と読む)

薩摩藩の本城、鹿児島城(鶴山城)

 1601年、関ヶ原合戦のあと、島津家久が鹿児島城(鶴丸城)の建設に着手したとき、父義弘は「ここは海に近すぎる」と反対したという。しかし家久はそれを押し切って建設を進める。すぐ裏手にある城山の上に山城として築くのではなくその麓に平城とし、かつ天守閣を置かずに館とした家久。父の時代とは既にもう違う時代が来ている、それ

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知覧特攻平和会館

知覧特攻平和会館

 2024年7月の日曜日、12時間のレンタカー旅。主目的地である知覧特攻平和会館に到着。途中思わぬ寄り道で思索に耽った私だったが(下掲)、

朝早く8時過ぎには鹿児島市を出たのが功を奏して、10時半には着いたろうか。そこから気が付くと3~4時間をここで過ごしたのだった。

いまだ若き青年たち

 平和会館の中には特攻で命を落とした青年たちの写真が数多貼られている。それら1枚1枚を、顔立ち、年齢、出

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廃仏毀釈を逃れて -清水磨崖仏群-

廃仏毀釈を逃れて -清水磨崖仏群-

 昨日は夕刻に仕事を終えて数時間、鹿児島市内を散歩で旅した。

 明けて今日は1日オフ。薩摩半島を知覧・指宿を中心として巡るつもり。鹿児島中央駅そばでレンタカーを12時間借りて、さあ、出発。

 一路、知覧へ。指宿スカイラインで一気に南下したが、レンタカーのナビは知覧ICまで行かずに手前の川辺ICで下りるようにと指示を出す。素直に従って高速を下り、一般道を進んで行くと「清水(きよみず)磨崖仏群」と

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鹿児島市街散歩旅、西郷さんを中心に

鹿児島市街散歩旅、西郷さんを中心に

 出張で来た鹿児島、3日間にわたった業務が16時に終わった。7月も下旬、まだまだ日は長い。市街を巡ることとした。

鶴丸城(鹿児島城)

 まずは鶴丸城(鹿児島城)へ。御楼門を入ってすぐにあった西南戦争時の弾痕が無数に残る城壁に胸が痛む。

 城跡にある鹿児島県歴史・美術センター黎明館へ。常設展示室にて薩摩・鹿児島の古代から現代に至る展示をじっくり拝見。城跡には篤姫の銅像もあり。

西郷巡りスター

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『殺人狂時代』演説の典拠はいずこ?

『殺人狂時代』演説の典拠はいずこ?

 拙著『ことばがこどもの未来をつくる -谷川雁の教育活動から萌え出でしもの』(2020年8月 アーツアンドクラフツ)

初版の223ページ 注6で、私は以下のように記しています。

 ここには誤記があり、正しくは「オランダの哲学者エラスムスは」とすべきでした。謹んで訂正致します。エラスムスはギリシア語やラテン語で文筆活動をした人であったため、つい「ギリシアの」と誤記してしまったものと思われます。正

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著書「ことばがこどもの未来をつくる -谷川雁の教育活動から萌え出でしもの-」第二版が発行されました!

著書「ことばがこどもの未来をつくる -谷川雁の教育活動から萌え出でしもの-」第二版が発行されました!

 2020年9月15日に上梓となった初めての著書、このたび初版の誤記を修正した第二版としてアーツアンドクラフツから発行されました!版を重ねることが難しいこの時代に、このように第二版刊行を見て、嬉しい限りです!
掲げた画像はその表紙・背表紙・裏表紙です。以下改めて内容をご紹介します。ご興味有りましたら、書店、オンライン書店、あるいは後述する特別頒価直販サイトなどでお買い求めくださいませ。

ひとこと

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ジャズ喫茶 ベイシー -Swiftyの譚詩

ジャズ喫茶 ベイシー -Swiftyの譚詩

 土浦セントラルシネマズへ。ドキュメンタリー映画「ジャズ喫茶 ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)」を観た。土浦セントラルシネマズは、全国チェーンあるいは外資のシネマコンプレックス全盛の御時世のなか、単館で頑張ってくれている地元のミニシアター。一時期シネマ1~4の4スクリーンを擁するシネマコンプレックス様態になったりもした歴史もあるようだが、現在はシネマ1のみの1スクリーンでの営業になって

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「北脇昇 一粒の種に宇宙を視る」展

「北脇昇 一粒の種に宇宙を視る」展

 竹橋にある東京国立近代美術館へ。車で往復。お目当てはギャラリー4で開かれている「コレクションによる小企画」である「北脇昇 一粒の種に宇宙を視る」展。事前に東京国立近代美術館のWebサイトにて公開されている解説動画、NHKの「日曜美術館 アートシーン」にて予習してから出かけた。そのおかげで、より一層楽しめたし、そして思いがけぬ絵と出逢えた、大変収穫の多い美術展であった。

(東京国立近代美術館のサ

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映画「パリの恋人」

映画「パリの恋人」

 長女がオードリー・ヘップバーン好き、ということで一緒に観た。原題Fanny Face。1957年の映画。

Empathy 劇中のオードリー演じる書店員ジョーがかぶれているフランスの思想が「共感主義」として登場。ジョーが熱く語るには「Sympathy(同感)ではなくてEmpathy(共感)を大事にする思想なんだ!」と。最近も良く聞く考え方だな。63年前の映画で取り上げられていたとは驚き。
 結局

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著書「ことばがこどもの未来をつくる -谷川雁の教育活動から萌え出でしもの-」刊行!

著書「ことばがこどもの未来をつくる -谷川雁の教育活動から萌え出でしもの-」刊行!

 私の初めての著書が、2020年9月15日付で、アーツアンドクラフツ社から刊行されました。掲げた画像はその表紙・背表紙・裏表紙です。以下内容をご紹介します。

ひとことで言えばこんな本教育運動家・谷川雁の「ことば、物語、表現」活動で育った著者が世に問う生き方と実践、「谷川雁ラボ作品」体験記、同時代表現者論考

もうちょっと具体的に言えばこんな本 一般的には「詩人・思想家」として知られる谷川雁、その

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加波山事件/修験道の山、加波山に登る

加波山事件/修験道の山、加波山に登る

 秋の一日、小六息子Kと加波山に登った。このご時世、遠足も修学旅行もない六年生。せめて四連休に父と二人遠足を、と企画。
 茨城県南には小学生と、普段運動をしていない父親とに、ほどいい高さの山が豊富にある。丁度一年と一日前、去年の9月21日には当時小五だった双子息子KとTと三人で宝篋山(標高461m)に登ったっけ。
 今回は小六双子のうちKと二人。彼に一年前に買った登山靴はもう小さくて履けないという

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結城合戦/与謝蕪村青春の地、結城

結城合戦/与謝蕪村青春の地、結城

 秋の一日、小六息子Tと二人、結城市(茨城県)へ。
 小六双子、秋の遠足も宿泊学習も、何もかも無くなってしまってかわいそう。せめてお父さんとの秋遠足を企画しました。翌日は小六息子Kと別の企画。双子だからと一まとめにして扱うのも良くないなと別々に。

結城合戦に興味を持った息子T なぜ結城市か。それはTが集英社版・学習漫画「日本の歴史 9 室町幕府と一揆の世」で結城合戦を知り、興味を持ったから。全2

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カレル・チャペック『白い病』を読む

カレル・チャペック『白い病』を読む

 チェコの国民的作家カレル・チャペックの戯曲『白い病』を阿部賢一さんが訳出、無料公開して下さっていた。未読のチャペック作品、ありがたく、拝読した。しかも書き出しから「ペストったらペストだ」で始まるように、時宜にかなった今こそ読むべき内容だ。

 このnoteでの公開がきっかけとなって書籍化も決定、9月15日に岩波文庫として公刊された。

 なお、これに伴いnoteでの公開は終了している。書籍化に際

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