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 将棋を指すのも、観るのも好き。愛棋家の私にとって薩摩半島南端の指宿(いぶすき)は、いつか行きたいけれど遠くて行けない、そんな場所だった。
 鹿児島砂むし温泉指宿白水館は竜王戦の舞台となることが多く、最近で言うと1年半前の第35期竜王戦、藤井聡太竜王と広瀬章人挑戦者が対局翌日に仲良く砂蒸されている写真が印象深い。

 そんな「行きたいけれど遠い場所」がグッと近づく機会があった。鹿児島市まで出張で来たのだ。何とか指宿までは足を延ばせそう。本当は白水館に宿泊したいところだが、あいにくそこまでの旅程的余裕がない。とんぼ返りでその日のうちに鹿児島に戻らねばならぬ。しかし、砂むし温泉体験だけはしておきたいな、と思っていた。

砂むし会館「砂楽(さらく)」

 日帰りでしか指宿に行けない…そんな場合にありがたいのが砂むし会館「砂楽」だ。

 一般財団法人指宿温泉まちづくり公社が運営してくれていて日帰りでも砂むし体験ができる!ありがたや…。そして実際に体験!実に驚きの効果だった。砂をかけていただいた時点で既に足の裏が心臓のように脈を打っている感覚。じっとり汗をかきながら約10分。身体中の血流が促進された実感がある。仕事で3日間立ちっぱなしだったために浮腫んで重く感じていた脚が、たった10分でほぐれて軽快!
 シャワーで砂を落としたのちに入った温泉も気持ちよく、湯上がりの気分・体調は爽快そのもの。温泉はそれなりに多く入ってきたけれど、三本の指に入る温泉体験だったと思う。いやあ、来て良かった。
 惜しむらくは自分が入っているところの写真を記念に撮ることはかなわなかったこと。ただそれは宿泊者のみができることという線引きがある模様。公社がまちづくりするのはいいけど、民業圧迫になってもいけないしね。
 なので200円で買ったタオルとパンフレットの写真を置いておこう。

砂むし会館「砂楽」のタオルとパンフレット

 今度は泊まりがけで来たいな…。3日も泊まって何度も蒸されたらきっと体調ばっちりの湯治となること間違いなしだろうな。

指宿白水館さんに立ち寄る

 泊まりたかったけれど泊まれない指宿白水館さん。しかしひと目その外観だけでも目に焼き付けて帰ろう、そう思い立ち寄った私。立ち寄ったと云っても駐車場まで。
 遠くから建物を観て、「ここであの激戦も、かの激戦も行われたのだなぁ、と感慨に耽ったのだった。
 そんな私の視野にどうも気になる五角形があると脳が呼び掛ける…目を転じて嬉しくなった!

羽生善治さん永世七冠達成の碑

 羽生善治さんが永世七冠達成をここで決めたことを記念する石碑だったのだ。ありがたく目に刻ませていただきました…。
 本当は併設されている薩摩伝承館には入場料を払って入りたいと思っていたのだが、訪れた時間帯はもう夕暮れ。入館時刻は過ぎてしまっていた。
 やはりいつかは指宿白水館に泊まりに来なければ、そう思いながら名残惜しくも鹿児島への帰途に就いた夏の夕べ。

追記:冒頭写真は道の駅いぶすきから撮った桜島。今日は噴煙が上がっていた。まさに活火山。
追記:もう一つの心残りは開聞岳を見られなかったこと。もうちょっとだけ足を延ばして「たまて箱温泉」か「池田湖」あたりから開聞岳を拝みたかった…。

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