【勝因】『最強の矛が3つの要素で最強の盾を打ち破る』~セリエA第18節ナポリVSユベントス~

試合結果

2022‐23 セリエA 第18節
1/14 4:45K.O. @スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ
ナポリ(5-1)ユベントス
14分 ヴィクター・オシムヘン
39分 クヴィチャ・クワラツヘリア
42分 アンヘル・ディ・マリア
55分 アミル・ラフマニ
72分 エリフ・エルマス

スタメン

3つの要素で押し込み続けるナポリの矛

最強の矛が最強の盾を打ち破った。

リーグ最多得点(39)を記録する1位のナポリが、リーグ最少失点(7)を誇る2位のユベントスを完膚なきまで叩きのめした。

ナポリが5得点を奪う大勝を収めることができた要因は、相手を押し込み続けることができたから。首位を走るチームは3つの要素で、相手コートでサッカーをし続けた。

1つ目の要素は、位置的優位がもたらす数的優位を活用したビルドアップである。基本システムは[4-1-2-3]。そこからSBが内側に絞り、WGが外側に張り出して3トップと2IHが敵陣の5レーンを埋める。そして、アンカーとCBの3人でビルドアップを行って敵陣へ進入していく。このとき、ユベントスが自陣の低い位置に[3-5-2]のブロックをセットしたことで、ナポリはプレスを受けることなく敵陣にボールを運ぶ回数を増やした。その中で相手2トップが単発的にプレスを仕掛けてくることもあったが、最後尾での数的優位を生かして容易にかわしていく。敵陣に入った後も、SBがWGやIHをサポートすることで数的優位を作ってゴールに向かった。

2つ目の要素は、迅速な即時奪回である。全体を敵陣まで押し上げて攻撃を展開し、常にコンパクトさを保つ。したがって、誰かがボールを失ってもすぐにカバーに入ることができるため、敵陣から相手を逃がす前にすぐにボールを回収することが可能だ。例えば、左WGクヴィチャ・クワラツヘリアが敵陣左サイドでボールを奪われても、後方支援をする左SBマリオ・ルイと横のパスコースを作る左IHピオトル・ジエリンスキがすぐに挟み込んでボールを奪い返し、再び攻撃を展開していた。

3つ目の要素は、最前線に入るヴィクター・オシムヘンのボールキープ力である。186cm75 kgのナイジェリア代表FWの持ち味は屈強なフィジカルだ。前線の中央で相手DFと競り合いながらボールをキープすることで、味方にスペースと時間をもたらしていく。少々アバウトなボールでも収めてしまう力強さがあり、ボールの逃がし所の役割も果たす。それに加えて機動力も兼ね備える。自らがサイドのスペースに流れて起点になることでも相手を押し込んでいく。彼が静的なポストプレーと動的なポストプレーを織り交ぜることで、相手に的を絞らせずにゴールに向かっていた。

3つの要素でユベントスを自陣に閉じ込めると、14分、右サイドからマッテオ・ポリターノのクロスから最後はオシムヘンがこぼれ球をゴールに蹴り込み、39分にロングボールを右サイドで収めたオシムヘンが相手をなぎ倒して突破していきフリーのクワラツヘリアが流し込んだ。42分に失点を喫するも、55分、65分、72分と立て続けに相手を押し込んだ状態からネットを揺らして5得点の大爆発。

相手を押し込み続ける力強さとそれを得点へと結びつける質を持ったナポリの矛が、8試合連続無失点を記録していたユベントスの盾を打ち砕いた。

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