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ピノとお散歩シリーズ

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愛犬のパピヨン「ピノ」と毎日お散歩するボク。するといろんな出来事が起こる、楽しくて心温まるお話です。
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2021年1月の記事一覧

ピノとお散歩シリーズ「ポルターガイスト騒動」

ピノとお散歩シリーズ「ポルターガイスト騒動」

『コツコツ、コツコツ』深夜ふと目が覚めると、暗闇の中で音がしていた。それほど大きな音ではなく、どこからともなく聞こえてきた。なんの音だろ、と思ったのだが、あまり気にもせずにまた寝てしまった。翌日は、何だかバタバタと忙しかったので、謎の音は忘れていた。
その日の深夜、ボクはベッドの中で寝かかっている時だった。再びどこからかコツコツと何かを叩くような音が聞こえてきた。家の外からではなさそうだ。寝室の中

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ピノとお散歩シリーズ「ママはスーパー戦隊ヒーロー」

ピノとお散歩シリーズ「ママはスーパー戦隊ヒーロー」

8月になった頃から、赤ちゃんをおんぶして、右手に幼児左手で犬を連れ、早朝の公園を散歩している親子を見かけるようになった。

夏は暑い。当たり前なのだが、それにしても最近はひどい暑さだ。猛暑、酷暑、炎暑。地球温暖化は、言葉まで進化させている。おかげでパピヨンの愛犬「ピノ」と散歩する時間は、どんどん朝早くなってきた。ボクは毎日2回、朝と夕方にピノと散歩をしている。雨が降らない限り、これがボクとピノの長

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ピノとお散歩シリーズ「老人とヤンキー」

ピノとお散歩シリーズ「老人とヤンキー」

まったくもって、犬も人間も見た目では分からないもんだ、というお話。

ボクの愛犬ピノは、パピヨンのメス犬で、片手でも簡単に抱えられる小型犬だ。耳がやたら大きく、正面から見ると蝶が羽を広げているように見えるので、フランス語で蝶の「パピヨン」の名がついている。

お散歩する時は妙に大人しく、外では決して吠えることもせずに上品に振る舞うので、近所では人気者。しかし家の中ではやたらうるさい、外面ばかりいい

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「聖夜の別れ」

「聖夜の別れ」

ピノとお散歩シリーズ その2
そう、あれはジングルベルが聞こえてくる頃のお話。今回は「聖夜のお別れ」という物語。

「おいくつになるんですか?」ボクは、目の前の女性に尋ねた。
「もう15歳にもなるんですよ」
「へーそうですか。とても見えませね。まだまだ元気そうだし」
「昔は毛がもっと濃い茶色だったんですが、これでもかなり白髪が増えたんですよ」
その「コタロウ」という名の中型の柴犬は、いつも穏やかで

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「ジーザスという名の犬」

「ジーザスという名の犬」

ピノとお散歩シリーズ 第一話

ピノとジーザスは、たった一年しか遊べなかった。

 ボクの家で犬を飼い始めたのは、志望の高校に受かった娘から、せがまれたのが始まりだった。娘は、インターネットでパピヨン専門のブリーダーを探しだし、生後三ヶ月のメスの子犬の予約までしている。毎日散歩して世話をするんだよというのが、娘との初めの約束。あれほど熱心だったので、当分の間は世話をするだろうと思っていたのだが、そ

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