ミソ吉

お笑い、高校野球、エモいものが好きです。noteでは僕の好きなもの、短編小説、体験談、…

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お笑い、高校野球、エモいものが好きです。noteでは僕の好きなもの、短編小説、体験談、思っている事などを書いていこうかと思います。

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最近の記事

16年一緒にいた飼い犬のこと

先日、うちで飼っていた犬が亡くなった。 16才だった。 白くてふわふわの毛並みが特徴のメスのマルチーズ。名前はバニラ。 妹と母親が飼おうと言い出したからどっちかがつけたんだと思う。 どうして犬は見た目の特徴をそのまま名前にされてしまうんだろう。似合うからいいのか。 バニラがうちに来たのは生後3ヶ月で俺が12才の頃。 当時は本当にやんちゃで「こんな狭い家で暮らすのはごめんだ」と言わんばかりにうちの中を駆け回ってた。 それでも段々とトイレの場所も覚えて母親にも懐いて、ゆっくり家

    • 青い自転車

      夏の日の昼下がり。 遅めの昼食を済ませた僕は1日中働いているクーラーが用意した、少し寒いくらいの部屋の真ん中で横になった。 別に見たいわけでもないTwitterのタイムラインを流し見る。 フォロワーの"今"が次々と更新されていく。書かれた文章なんてほとんど読まず作業のように流れて来た投稿にいいねを付ける。 こんな事を毎日無意識に行う僕はスマホに毒された典型だと思う。 そんな無為な時間を過ごしていると祖父が1階から僕の名前を呼んでいるのに気が付いた。 めんどくさいなと思いつつ

      • しがない男のR-1グランプリ挑戦の記録

        年明けと新型コロナウィルスの蔓延により世間が慌ただしくなる中、僕は今までの人生で1番大きな挑戦をしてきた。 ひとり芸日本一決定戦R-1グランプリへの出場だ。 キングオブコント、M-1グランプリに並ぶピン芸人にとって1番大きく、権威ある賞レースだ。 僕はそのR-1グランプリの1回戦の舞台にアマチュアとして立ってきた。 去年の12月、今回も大会が開催される旨が耳に入った。 7月にキングオブコント2020の1回戦に出場し、お笑いの舞台を経験していたこともあってか不安を押しのけエ

        • 劣等感トーナメント

          "劣等感トーナメント!君の自慢の劣等感で勝ち上がれ!優勝者には豪華賞品をプレゼント" 僕は手元の招待状に目を落とした。 どうやらここで自前の劣等感を戦わせて優勝を争う大会が開かれるらしい。 選りすぐりの劣等感持ちの人間にしか届かないという招待状を握りしめ1人でやってきた。 会場は一見ロックフェスのようだが、イベントとは思えないほど閑散としていて重苦しい雰囲気だった。 僕が抱えた劣等感はもう既に手に負えないほど肥大化していた。 いつからだろうか。 自分という人間に期待しなく

        16年一緒にいた飼い犬のこと

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          コント台本「キャバクラ」

          客  ここ初めてなんですけどいけますか?え?今なら良い娘2人付けてくれるんですか!?お願いします! 客 (席に着く) 客  いやーキャバクラ久しぶりだなあ No.1キャバ嬢 (歩いてくる) 客  え、モデルみたいな人来た No.1キャバ嬢  初めまして。No.1のゆうかです 客  めっちゃ綺麗!うわ流石No.1。これはラッキーだなあ。お願いします (太ったキャバ嬢が歩いてくる) 客  え、でかっ。どういうこと?え…? No.2キャバ嬢  初めまして。No.2

          コント台本「キャバクラ」

          この生きづらさがいつか

          自らの意思で自分を殺す生き物なんて人間くらいに思う。 動物の中で1番高い知能を持つ人間に限って自分を殺してしまうなんて皮肉がききすぎている。 多分人間は頭が良すぎるんだと思う。 本当は動物なんて今自分が生きることしか考えられないくらいの知能がちょうどいいのかもしれない。 社会が複雑であればあるほど生き方も複雑になって、それに対応できず取り残されてしまったり、自分の作り上げた根拠のない妄想のような不安に溺れてしまったりする。 それらの生きづらさが肥大化してやがて自分の心を蝕

          この生きづらさがいつか

          15の時、世界の理不尽に刃向かった話

          高校最初の夏休みが終わり、憂鬱な学校生活が始まった9月21日。 僕は楽しみな気持ちと少しの緊張を引っさげ、すぐさま学校の最寄駅から電車に飛び乗った。 僕は中学生の頃に「爆笑レッドシアター」というコント番組に釘付けになった。自分の人生の中で初めて生き甲斐と呼べるものを見つけられて、それを観ている時が何よりも幸せだった。 番組が終わってもその熱が冷めることはなく、番組に出演していたメンバーの追っかけをしていた。 そのメンバーは僕にとって神様のような存在で、今風にいうと"推し"に

          15の時、世界の理不尽に刃向かった話

          【短編小説】 夢で待つ君へ

          僕は毎晩布団に潜り、胸を踊らせながら目を閉じる。 窮屈な現実世界から逃れるうちに、"これは夢の中だ"と自覚する夢、いわゆる明晰夢を見ることが得意になっていた。 空を自由に飛び回ったり、魔王から世界を救ったりするような夢ではなく、野球部に入って甲子園を目指したり、昔の友達と旅行に行ったりと現実に近い夢が多かったけどまた別の自分になれた気がして楽しかった。 そんなリアルシミュレーションゲームのような夢の中が、僕の唯一主役でいられる場所だったかもしれない。 夏休み明けのテストが散

          【短編小説】 夢で待つ君へ

          【短編小説】  秒針

          朝がいちばん死にたくなる。 さっきまで意識を置き去りにしていたはずなのに、目を開けた瞬間に今日も1日人間をやらなきゃいけない絶望感に包まれた。 スマホを確認するとまだ11時を過ぎたばかりで、今日は割と早くに目が覚めたと思う。 俺はSNSを開き、他人に見せびらかすような投稿で溢れたタイムラインを眺めながら眠気を覚ます。そして鉛のように重い身体を無理やり起こし、タバコに火をつけた。 カーテンの隙間から差し込んだ陽だまりが、この部屋に存在するものの中でいちばん綺麗で少し

          【短編小説】  秒針

          【コメディ小説】相席居酒屋大作戦

          新宿駅前の待ち合わせ場所に早めに着いた僕は目の前の雑踏を傍観して佇んでいた。 待ち合わせ相手のタカシは高校時代の同級生だ。去年の4月に別々の大学へ進学したけど僕らの仲は健在だった。 元々高校時代によく遊んだという事もあるだろうけど、1番の理由はお互い未だに彼女いない歴=年齢のバキバキウルトラ童貞という事だろう。 高校時代までカメムシくらいモテなかった僕らが大学に入ってから急にモテるようになるはずもなく、二十歳を迎えた今でも女の子のラインは片手で足りるほどだった。 僕が今こ

          【コメディ小説】相席居酒屋大作戦

          黄昏時の空は

          少しだけ緊張していた。 夕方の新木場行きの埼京線に揺られながら、車窓に目をやった。いつも降りる駅を過ぎたそこには見慣れない景色が広がっていた。 どんな子なんだろう。 17時にお台場の東京テレポート駅で待ち合わせした相手は半年前にSNSで知り合った1つ下の高校2年生だ。 彼女と僕は繋がってからすぐに意気投合し、コメントを送り合ったり朝までお互いに好きな音楽や動画の事を語り合ったりして、インターネット上で完結した関係とは思えないくらいには仲良くしていた。 彼女は遠方の九州に住ん

          黄昏時の空は

          空想漫才 シャーペンとボールペン

          シャーペン  「どうもーダブルペンシルですお願いします」 ボールペン 「今コロナウィルスが流行ってますから我々も気を付けなきゃいけませんね」 シャーペン 「俺ら関係ねぇよ。あれ人間の間で流行ってるだけだから」 ボールペン 「でもトラも感染したらしいから俺らも感染するかもしれないよ」 シャーペン 「無差別が過ぎるだろ。動物と物の境界線は超えてくんな」 ボールペン 「そういえばこの間契約書にサインしてきてさ」 シャーペン 「あ、そうなの」 ボールペン 「緊張

          空想漫才 シャーペンとボールペン

          網の中の魚

          普通幼い頃のことなんて印象に残った場面を断片的にしか覚えてないものだ。でも誰しもなぜ覚えているのか分からないけど頭の片隅に今でもずっと残っている記憶があると思う。 あれは確か僕が小学校3年生くらいのことだったと思う。 その頃生き物が大好きでよく外でバッタやザリガニなんかを捕まえて遊んでいた。捕まえて家に持ち帰って飼ったりするわけではなく、自分の手でその場で捕まえて手の内に収めることで自己満足に浸っていた。 近所に田んぼがあるおかげでザリガニが獲れる用水路がたくさんあった。僕

          網の中の魚

          僕が写真を撮る理由

          人生は一瞬一瞬の「今」の積み重ねだ。 それを続けていくといつか最後には絶対に息を引き取る瞬間を迎える。 最近何かと「死」を意識するようになった。 別に余命宣告をされているわけでもなければ自殺願望があるわけでもない。 ただ、自分はいつか必ず死ぬのに今死ぬことが怖くないのはなぜだろうとふと思った。 もし仮に自分が3ヶ月の余命宣告を受けたら怖いと思う。 得体の知れない「死」という黒い影がたった3ヵ月先に待ち構えていたら不安で夜も眠れないだろう。 今自分が死ぬことが怖くな

          僕が写真を撮る理由

          合コンにおけるフィルダースチョイス

          突然だが「フィルダースチョイス」をご存知だろうか。 野球が好きな人ならなんとなく意味も知っているだろう。 「フィルダースチョイス」というのは野球用語で、元々ランナーがいる状態でゴロを取った野手が元々いたランナーをアウトにするため一塁以外の塁に送球する行為である。 しかし一般的には、守備側がバッターランナーではなく先の塁のランナーをアウトにするために一塁より先の塁に送球したがタイミング的にセーフになり、一塁に送球していればバッターランナーは確実にアウトにできたのに結果的に1つも

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          M-1グランプリ2019の感想

          昨日、M-1グランプリ2019が閉幕し栄えある第15代チャンピオンが決定した。 M-1グランプリは例年お笑い番組とは思えない盛り上がりを見せているが、今年は特に印象的な大会になった。 GYAO!で配信されたM-1の3回戦、準々決勝のネタ動画すべてに目を通し準決勝のライブビューイングにも足を運び、当日の敗者復活戦、決勝をテレビでリアルタイムで視聴し、M-1グランプリをたっぷり楽しんでいたお笑い好きの僕はM-1グランプリが終わってしまって少し寂しい気持ちでいる。 そんな僕がn

          M-1グランプリ2019の感想