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空想漫才 シャーペンとボールペン

シャーペン 
「どうもーダブルペンシルですお願いします」

ボールペン
「今コロナウィルスが流行ってますから我々も気を付けなきゃいけませんね」

シャーペン
「俺ら関係ねぇよ。あれ人間の間で流行ってるだけだから」

ボールペン
「でもトラも感染したらしいから俺らも感染するかもしれないよ」

シャーペン
「無差別が過ぎるだろ。動物と物の境界線は超えてくんな」

ボールペン
「そういえばこの間契約書にサインしてきてさ」

シャーペン
「あ、そうなの」

ボールペン
「緊張してバリ震えたわ」

シャーペン
「いや震えるの人間の方だから」

ボールペン
「お前契約書にサインとかしたことある?」

シャーペン
「いやないけど」

ボールペン
「あーそっか」

シャーペン
「まぁ契約書じゃなくても俺ら使われる機会は沢山あるし」

ボールペン
「ふーん。じゃあ履歴書は?あ、せいぜい下書きくらいか」

シャーペン
「言ってくれたなお前」

ボールペン
「は?何が?」

シャーペン
「完全に喧嘩売ったな?」

ボールペン
「売ってないし。履歴書書いたことあるのか聞いただけじゃん。じゃああるんですか?」

シャーペン
「いやだから…」

ボールペン
「じゃあ改めまして、履歴書を書いたことがあるのかないのかどうぞ!」

シャーペン
「…ないけど」

ボールペン
「………(笑)。字うっすいもんな(笑)」

シャーペン
「腹立つな。分かってるくせに聞いてくんな」

ボールペン
「いやいや知らないから聞いただけだし。それにそれだけでキレるってことは自分が俺らに劣等感抱いてるんじゃないの?まぁ契約書のサインとか緊張感ある場面味わったことないんじゃ無理ないか。ボールペンがサインしてるのを指くわえて見てるしかないもんな。あ、シャー芯か(笑)」

シャーペン
「お前の攻撃のターン長すぎだろ。それじゃあ言わしてもらうけどな、お前ら書いた文字消せないの不便すぎるんだよ」

ボールペン
「は?お前らみたいにやり直しのきく甘い人生歩んでないんだよ」

シャーペン
「お前の主人履歴書の最後の方でミスって地獄みたいな空気になってたじゃねぇかよ」

ボールペン
「関係ねぇだろ。それ以上言うとお前の頭の消しゴム使いまくって取れなくすんぞ」

シャーペン
「やめろよ。一生芯入らなくなるだろ」

ボールペン
「それにお前文字消せるフリクションボールのこと知らないのかよ」

シャーペン
「知ってるよ。ただ1番クソだろあんなの。ボールペン面してるくせに文字消せるっていうあんな中途半端な奴いるか?アイドルグループ卒業したあとの仕事がほぼステマな奴くらい中途半端なんだよ」

ボールペン
「そこまで言わなくていいだろ」

シャーペン
「お前らってずっと使ってるとインク出にくくなるのか所々ボール転がしてるだけの時あるだろ」

ボールペン
「日によって調子がいい時と悪い時があるんだよ」

シャーペン
「なんだ?便秘か?」

ボールペン
「インクをうんこみたいに言うな。お前らだってずっと使ってると括約筋緩んですぐ芯出てくる時あるだろ」

シャーペン
「あれのこと括約筋って言うな」

ボールペン
「てかお前ら別売りの芯買わないと使えないよな」

シャーペン
「何が言いたいんだよ」

ボールペン
「いや自立できなくて情けなくないのかなって。社会人になっても親から仕送りもらってる奴と同じだよな」

シャーペン
「いや最初から芯入ってるからな」

ボールペン
「あのうっすいやつな(笑)しかもあんなんすぐなくなるし」

シャーペン
「それ言ったら俺ら芯買ったら半永久的に使えるけどお前らインク切れたら大体捨てられるよな」

ボールペン
「それは絶対言うな」

シャーペン
「めちゃくちゃ痛いとこ突かれただろ」

ボールペン
「お前らはずっと使われるから新しいのなかなか買われないけど俺らはすぐ新しいの買われるから回転率よくて利益出やすいんだよ」

シャーペン
「何急に企業側立ってんだよ」

ボールペン
「お前これ以上変なこと言うと赤色の芯に入れ替えるぞ」

シャーペン
「やめろよ。あれまじで需要ないんだから」

ボールペン
「お前らにカラフルな色求められてないもんな。 円グラフ書けないのはまじで不憫だわ」

シャーペン
「別にそれくらいシャーペンでも書けるだろ」

ボールペン
「円グラフは色分けして初めて完成だから」

シャーペン
「聞いたことねぇぞそんなルール」

ボールペン
「色分けしてないと何がどれくらい占めてるかパッと見てわかんないだろ。色分けしてない円グラフなんて円グラフと呼べるか!」

シャーペン
「円グラフにかける思いがすごいなお前」

ボールペン
「だから俺らじゃないと円グラフは書けないわけ。お前らが書けるの3%くらいの"その他"だけだろ」

シャーペン
「確かにその他大体黒いけど。そんなとこでムキになるなよ」

ボールペン
「ムキになってねぇよ。お前"シャーペンの嫌な所は?"ってアンケートで円グラフ作るぞ」

シャーペン
「質問がずりぃよ。てかお前ただの黒いボールペンじゃねぇかよ」

ボールペン
「仲間たちと協力して1つの円グラフ作ってんだよ。悔しかったらマークシートでも塗っとけよ」

シャーペン
「子ども人気皆無なくせに」

ボールペン
「はぁ?」

シャーペン
「お前中高生に使われることなんかほぼほぼないだろ」

ボールペン
「だからなんだよ」

シャーペン
「中学生とかに使われるのほんといいぞ。成長を近くで見守れてほんとに嬉しいわ」

ボールペン
「あいつらトイレ行ったあと手洗わなくて汚いから別にいいよ」

シャーペン
「なんてこと言うんだよ」

ボールペン
「しかも中高生なんか危なくてしょうがないわ」

シャーペン
「何が危ないんだよ」

ボールペン
「お前ペン回し下手な奴に当たったら全身打撲じゃ済まねぇぞ」

シャーペン
「…それはこっちも重心ずらしたり上手くやるんだよ」

ボールペン
「あと同じ奴が俺とお前使ったら絶対俺の方が字綺麗に見えるからな」

シャーペン
「それ言ったら万年筆の方が綺麗に見えるだろ」

ボールペン
「おい万年筆の名前は出さないって約束だろ?」

シャーペン
「してねぇよそんな約束」

ボールペン
「俺万年筆のあの偉そうな感じが腹立つんだよ」

シャーペン
「わかるけど」

ボールペン
「わかるだろ!?機能で言ったら俺らと変わんねぇのに5000円とか平気でするからな?」

シャーペン
「確かに」

ボールペン
「バスで都内から名古屋まで行けるからな。俺が5000円持ってたら万年筆なんか買わずに名古屋行くわ」

シャーペン
「それ行って終わりだけどな。お前帰ってこれないから」

ボールペン
「ムカつくよな一丁前にガラスケースの中でふんぞり返りやがって」

シャーペン
「ガラスケースなんて本来文房具がいていい場所じゃねんだよな」

ボールペン
「ほんとだよな時計に場所譲れバカ!でもそれを買う奴も買う奴よな」

シャーペン
「そうだな詐欺と同じだな」

ボールペン
「結局金持て余した奴がイキるために買ってるだけだろ」

シャーペン
「万年筆もただのステータスのために利用されてるだけなの気付かねぇのかな」

ボールペン
「気付くわけねぇだろ。アイツら脳みそまでインク詰まってるんだから」

2人
「ガハハハハハハ…………。虚しいな」

シャーペン
「もういいよ」

2人
「どうもありがとうございました」




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