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「在宅テレワーク」のインサイト ①分かれた心理~抵抗派と歓迎派

SNSインサイト解析の次のテーマは、在宅テレワーク(リモートワーク)です。

新型コロナウイルスと緊急事態宣言は社会全体を大きく揺るがし、「ステイホーム」の呼びかけは一斉に大量の在宅勤務者を生み出しました。
「家で仕事」でTwitterを検索すると、1ヶ月間で10万7,793件のツイート※がありました。SNSインサイト解析は、その10万余のツイートからインサイト、キーインサイトを見つけていくわけですが、その前に社会や市場の動きを少しだけ確認しておきましょう。インサイト、キーインサイトを選別するための事前作業の意味もあります。
※2020/3/28~4/28

在宅テレワークをめぐる動き

全国、一般の20~59歳男女のうち、57.7%、6割近い人が在宅テレワーク(リモートワーク)を経験しました。(株式会社ネオマーケティング 調べ)
このうち、「勤め先が初めて導入した」という人は39.9%、社会人の4割が在宅テレワークを初経験したことになります。
全体で6割、初めてが4割ですから、いかに大きな社会事象、エポックメイキングな出来事だったか、この数字からも分かります。

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日経電子版のNKKEI STYLEでは、在宅テレワークに関してこれまで掲載した記事ひとまとめにしています。
「仕事の効率化のノウハウ」「役立つグッズ」「在宅勤務のスタイル」という区分から、在宅テレワークでの仕事の効率の問題、サポート商品、環境づくりというテーマが浮かび上がってきます。

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また、政府は働き方改革の実施方針を6月19日に決定し、「緊急事態宣言下で進んだテレワークの取り組みを「コロナ後」も定着させ、新しい働き方に変えていく」としました。withコロナを契機に広まったテレワークを、逆戻りさせないでafterコロナに定着させるという宣言です。働き方改革は、組織や人事を含めた企業総体の変革を求めています。

SNSで在宅テレワークのインサイト群を見る意味

さて、在宅テレワークのインサイトを見て行きます。ここまで顕在化した大きな事象、在宅テレワークをコンシューマーインサイトでとらえる意味は何でしょう?

それは、生活者、消費者を軸に市場を見て新たな価値提供を考える、マーケティング発想をするためです。

例えば、「これからはサテライトオフィスが求められる→サテライトオフィス事業を起こす、関連商品やサービスを開発する」としたときに、競争相手がやっていることをベンチマークして他社よりも競争力のあるもの、もしくは自社の技術や強みから考えるのはプロダクトアウト発想

ターゲットとなる消費者の理解から出発するのはマーケットイン発想。マーケットイン発想だと、なぜそれを提供するか、どのような価値だから支持されるかが頭の中で明確になり、的に当たるアイデアが出やすくなります。
WEBサイト構築やSNSマーケティングのプランニングで活用されているペルソナ・アプローチもマーケットイン発想の一つです。

在宅テレワーク経験がもたらした心理のインサイト

10万7,793件のツイートから抽出されたインサイト群を見て行きましょう。

最初は「オンオフ分離派なのでつらい」です。

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これまでオンオフをはっきりさせてきた人たち。仕事=会社=オン、家庭=オフですね。だから家で仕事は嫌と思っています。
・退社は自由モードへの重要なスイッチだった
・家が会社になってしまって、気持ちの切り替えが難しい


それと同時に「在宅テレワークに対応できないとまずい」というインサイト

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・家で仕事ができない人は切られるんだろう、という危機感
・だから、家で仕事ができる環境にしないとまずい

テレワーク時代だからと、家での仕事環境づくりについていきなりビジネスを考えるのと、このような消費者の切迫感を理解して発想するのとでは大きな違いが出ることをイメージしてもらえたでしょうか?

これらは、いわば在宅テレワーク抵抗派の心理です。


次はそんな困った気持ちとは逆の「楽になった。これからも」は、在宅テレワーク歓迎派の心理です。

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・通勤時間がなくなって、時間に余裕ができた
出勤にかかる時間よりも、帰宅にかかる時間が効いていそうです。暗くなる前に洗濯物が取り込めるという言葉が象徴しています。
これまで、帰宅のための通勤時間が潜在不満として積み重なっていたのでしょう。潜在不満は解決策とともに顕在不満になります。

そして、時間に余裕ができたことで生まれる「癒し、ゆとり時間」。

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自宅で仕事をしながらも、音楽の癒し、紅茶で優雅な気分、お昼休みの散歩。オンである仕事に癒しやゆとりを織り込む経験は、在宅テレワークであれ会社であれ、今後の仕事のあり方に影響を与えると予測される要素です。


今回はまず、在宅テレワーク経験で生じた心理についてのインサイトを見ました。次回は在宅テレワークの環境づくりなど欲求のインサイトを見て行きます。
(金)

前回のテーマ「マスクとメイクのインサイト」は解析の手法紹介にも触れましたので全6回の連載でした。今回は全4回の予定です。

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