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部下の意見を取り入れない上司は無能だが、取り入れるだけだと失敗する

こんにちは、【全国一位の元販売員】経営者のこうたです。

私は企業の下っ端から管理職、独立、個人事業主、代表と、様々な立場を経験してきました。

部下の立場も、間に挟まれる上司の立場も経験したことになります。

この経験は、代表となった時に非常に役に立ちました。

小さな企業の代表とは、先輩であり、上司であり、管理職でもあります。

部下の意見を取り入れるというのは私の経験則から必要だと思っていたため、常に意識しておりました。

しかしこれ、一部失敗していました。



1.なぜ部下の意見を取り入れる必要があるのか

ズバリ、部下の視点と上司の視点ではまるっきり異なるから

私も含め、上司とは部下の経験があるものです。
しかし、上司の人格や能力は一定ではありません。
企業だって日に日に変化していきます。

あらゆる視点で適宜修正していくのが上の役目です。


そして、部下の意見を聞かないとどうなるか。

不満が溜まり、辞めていきます。

実は私が正社員を辞めたのは、上に対する不満でした。

でも、辞めるだけならまだマシです。
上の人間は少数ですが、下の人間は多数。
数の暴力でコントロールがしづらくなるのです。

複数匹の子犬を人間1人でまとめるようなもの。
法律上はブラックでなくても、部下からはブラック認定されます。


一度崩れた社内環境を取り戻すのは至難です。



2.意見と文句を履き違えるな

そもそもとして、意見を言える人と言えない人というのはハッキリと分かれています。

そして意見が言える人は、もともと他者に対して意見や文句を堂々と言える性格をしています。


さて、意見を何度も主張し、その意見に対して上が適切な対応を繰り返していくとどうなるでしょうか。

だんだんとタガが外れていきます。

最初の段階では、やはり上司にあたるということで内容や言い方はセーブしています。

しかし何度か繰り返していくと、次第に意見を言う自分は正しいと正当化し始めます。

そして内容が、意見から文句へと変わっていくのです。

本人は気付きません。

個人が単に不満を抱いているのか、会社のために提言しているのか、そのどちらを優先しているのかが分からなくなっているのです。

こうなるとマズいです。
何を言っても、解決以外が不満に繋がってしまうからです。



3.主導権を握られないことが大事

小規模な企業で怖いのが、辞められないために相手の意見を呑んでいくしかないという状況に陥ることです。

実は私、この状況に陥ったことがあります。

当時経営難になりまして、1人でも辞められるとだいぶ困ることになっていたからです。

主張もあながち間違っているとは言えなかったものの、全面的な受け入れは主導権を握られることに繋がります。

これが悪化すると、今度は他スタッフにまで波及しかねません。

実は私、起業する前に似たようなことを自分で起こしました。

当初は別の人間を代表に立てて起業する予定だったのですが、謀反を起こして自分たちで経営することにしたのです。


では、どう対策すればいいのか?

正攻法と邪法と2つあります。

邪法は積極的使用を推奨できませんが、どの状況でも人類全てに使える心理的技法です。



4.辞めたいなら辞めな、は禁句

対処法を教える前に、大事なことを一つ。
辞めたいなら辞めていいよ、のスタンスは絶対にやめましょう。

これは相手に合理的思考を放棄させ、感情による判断を迫ることになるからです。

感情で辞める! と口にした時点で、それを取り消すのは難しくなります。

これは、どのような状況であっても絶対に言ってはいけません。
上司として最低の発言だと認識しましょう。

この発言は、言ってしまえば思考の放棄です。
話し合い、相互理解を上司が放棄していることと同義です。

辞めるという発言は、外部からの圧力なしに自分の意思で言ってこそ意味があります。
退職を誘導してはいけません。


ただし、例外が一つ。
相手も俺は辞めるぞと脅しをかけることがあります。

これは心理的優位に立とうとするためですが、上司に対して冗談でも辞めるなんて言ってはいけません。
脅しをかけるなんてもってのほか。

脅しに屈する必要はないですし、それで妥協したら相手がつけ上がるだけ。
その場合は、お好きにどうぞと言ってやりましょう。



5.正攻法

では注意点を踏まえた上で、正攻法の対処をお教えします。

現状、その人は自分がただ文句を言っているだけだと気づいていない状況にあります。

であれば、そのことを伝えてあげればいいだけです。

君が言っているのは意見じゃなくて文句だよ、と。

そして文句とは、合理性ではなく感情です。
そして感情は、合理で突き崩せます。

論理で会話を続ければ、どこかで瓦解して感情を飛ばしてきます。
そうなれば正当性など皆無なのは、誰の目にも明らかになりますよね。


2つ目は、自身の立場を理解させることです。
私は上司で、君は部下だと。

どの立場でものを言っているの? と。

社会とは、我慢しなければならないことが多い世界です。

気になったことを言わずにいられないという人は、この我慢の社会に耐えられないのです。

つまり、会社<自分 となるのは必然です。


自分の意見を会社が聞くのは当然。
意見が聞けないということは、会社に都合が悪いからだ。


本気でそう思っているんですね。
しかし大前提、上と下の立場があります。

気に食わなければ辞めればいいんです。

その人が辞めないために会社があるのではありません。
退職というのは、我慢ができない人の権利でもありますから。


社会の我慢とは、部下だけでなく上司も負っているもの。

しかし文句を言う部下からしたら、上司は我慢を知らない横暴な存在だと思いがちです。

上記2つの指摘をするのが、上司の義務です。

暴走しているだけであれば、これである程度目が覚めてくれます。
しかしそうでなければ、そこからは厳しくしなければなりません。
これがこの会社のやり方だと、突っぱねることも大切です。

つまるところ、その部下は会社の色に染まり切れていないわけですから。



6.要求と文句は違う

正攻法をお教えしましたけど、勘違いしてはならないのが、部下の要求と文句は違うものだということ。

そもそも上記のような対処は、理屈が通じない部下に対して行うものです。

基本的には、要求は一度受け止め、改めてイエスノーを回答する

これが上司と部下の基本的なコミュニケーションです。
迂闊に要求を飲み込むと、本件に挙げているモンスターが誕生します。

要求と文句を切り分け、要求を飲み込む際のリスクヘッジを行うことが大切です。

常に最悪の状況を想定し、取り返しがつかなくなる前に手を打つ。
今回で言えば、モンスターが誕生する前に手を打てばいいだけのこと。

この辺に関しては、別の機会にご紹介します。


本章は、事前に手を打てなかった場合の対処法です。

なんで後半にもなってそんなことを言うのかというと、この先は本当に最終手段にしてほしいからです。

というより、使い方を間違えてはなりません。



7.邪法

使うのは、同調圧力です。

少数派の意見を多数の意見で圧し潰すわけですね。

暴走している人の意見(文句)って、どこか行き過ぎていたりズレていたりして、万人に受け入れられるものではありません。


方法は簡単です。
みんなの前で、「こんな意見が出たんだけど」と発表するのです。

バイネームを出す必要はありませんが、本人には自分の意見だと認識できる言い方にしましょう。

そしてみんなに対して、この意見はこういうところに問題があるなど、あくまで論理的に突き崩しましょう。



8.実際に私に起きていたこと

ちょっと想像がしづらいと思うので、体験談を例にお話します。
小さな会社の中で起こったことだと想像してください。

派遣業で、部下は派遣先で勤務。
私は営業、人員確保が主でした。


部下「この会社は不透明です。仕事を任せてくれないし、代表たちが普段何をやっているのかも分かりません」
私「なら、どの辺を透明化してほしいの?」
部下「お金の使用の決裁権や、代表たちの普段の動きを教えてほしいです」

派遣業って、人=利益です。
利益を上げるには、人を増やすか案件単価を増やすかです。

案件単価は私一人でも充分上げられましたし、限界はあります。
でも人は増えれば増えるだけ利益になるので、まずはそれができて一人前の世界です。


さてこの子、人を一人も増やしていません。
そればかりか、派遣先での評価も良くありませんでした。

そんな子に他の仕事を任せたり、お金関係の権限を与えられたりするわけがありませんよね?

そんな人が、私の動きに不信感を持とうが知ったこっちゃありません。


代表は数年先の未来を見据えて動かなければなりません。

いちいち数年先のためにこう動いているなど、最も成果を生み出さない部下に教える必要なんてないです。

この部下はこんな要求をする前に、人を増やしたり現場で活躍したりするにはどうしたらいいですか? と私に相談をすることが最初なはず。

まあこれは私の心の中の声なので、これだけ読むと嫌なやつですね笑
しかしこれ、10回目くらいの意見(文句)なんです。

自分の今を棚に上げて、会社に対する意見ばかりを言っています。

いやいや、まずは自分のことをそれなりにやってくれよと。

私を含めた経営陣からのラインの既読スルーも多かったんですよね。
会議に意味を見出せないから参加をしたくないなんてのもありました。

別にいいのですが、その発言を私にする意味を理解しているのかなと。
ちゃんと覚悟があって言っているのかなと疑問でした。

小さな会社だったので、全員の顔合わせ、コミュニケーションとして大事にしていると伝えていたのにね……



9.邪法の使用

私は全体ミーティングで言いました。

「まずは人を引き抜かないことにはお金は動かない。お金のある程度の決裁権が欲しいと意見が出たんだけど、みんなはどんなことにお金を使いたい?」

もちろん、みんな何も言えるわけがありません。
だって大半が利益を生み出していないのだから。


「○○さんと○○さんは人を連れてきてくれてありがとう。本人の給与の交渉や面談・打ち合わせのためにある程度のお金に関する裁量を与えたけど、次はこうして欲しいなどの意見はある?」

この私の問いに対して、利益を生み出した人ですら、少し無駄なお金を使ってしまってすみませんと言うくらいでした。


「何人かは人を増やすために俺と頻繁に連絡のやり取りをしているけど、もっとこうして欲しいとかある?」

「いつでも連絡に出てくれるし、フォローやアドバイスをしてくれるから特にはないです」


なんか私の自慢みたいなやり取りを公開していますが、事実です。

この辺は部下に認められる動きを心掛けているからなので、また別の機会に紹介しますね。


さて、先ほどの問題のある部下の目線で、これらのやり取りを聞いてみてください。
他の部下の意見が私を正当化してくれています。

上の人間とは、多数の部下が認める意見を発する必要があるのです。

だから部下をまとめる上司というのは難しいのです。
少数派の意見は、たとえ上司であっても同調圧力で不利になります。

少数派になってしまったら、それを認めさせる合理的理由で納得させなければなりません。


例の部下を直接叱ることなく、君の意見は間違っていると伝えられました。

代表の私としては、こんなことになる前にその部下を指導する必要があったのですが、当時の私は力不足でこんな方法しか使えなかったのです。

しかし、非常に効果的です。

自分の意見が少数派だと判明し、かつ自分の意見が、他者からしたら全然そんなことを思ってもいない内容だったのだから。



10.その後

邪法は、リスクを伴います。
周囲は全く知らないのに、本人は酷い羞恥を受けたと認識させてしまいますからね。

文句を言わなくなったのはいいのですが、意見すら言わなくなりました。
これは会社にとってマイナスです。


一方で、その子はそこから利益を生み出して立場が変わりました。
部下ができて上司になると、当時の私が理解できたそうです。

あの頃の私(部下)は何も分かっていなかったなと、2年越しの謝罪をいただきました。


この子の場合は、たまたまその後活躍してさらなる躍進を遂げられました。
もしも私が諦めていたら、2年後に在籍してはいなかったでしょう。

しかし、活躍できずに埋もれていた未来もなかったわけではありません。
だから、こんな手を使うことになる前に対処する必要があるのです。


意見を取り入れるだけでは失敗するのだと。

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