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加賀紫水の『土の香』へ合同後も継続した『郷土趣味』別冊「白水荘だより」

 以前に以下の記事で山下俊男が発行していた『郷土趣味』(繰り返しになるが、田中緑紅の『郷土趣味』とは別の雑誌)が加賀紫水『土の香』に合同したことを紹介した。『郷土趣味』は『土の香』との合同をもって3輯で廃刊となったが、別冊として発行されていた「白水荘だより」も同じく廃刊したのだろうか。

私は廃刊したと考えていたが、『郷土趣味』廃刊後も実は「白水荘だより」は継続していたことがわかった。合同が報告された『土の香』第19巻第1号から加賀の主催していた土俗趣味社の事業のひとつに「「白水荘だより」の発行」が追加されている。『土の香』に合同後の「白水荘だより」については、1冊だけ確認することができたので以下に詳細を紹介したい。

冊子名:土俗研究パンフレット 白水荘だより 一月号
発行:1937年1月15日
編集発行人:山下俊男
印刷人:石曽根廣作
印刷所:石曽根印刷所 
発行 :白水荘
 
目次
盆正月に娘を掠奪  鷲見桃逸
白水荘から

「白水荘から」には、『土の香』と合同後、山下が「発行その他原務関係方面はこちらが一切お引受けすることになっている」と述べており、山下が『土の香』の編集にはあまり関わっていなかったことがわかる。しかしながら、「白水荘だより」については、印刷人、印刷所は『郷土趣味』時代から変更になった(注1)が、山下が編集発行人となっているので、引き続き編集主体は山下であったようだ。「白水荘だより」は、上記の「山下俊男の『郷土趣味』別冊「白水荘だより」」で紹介したように小冊子であったが、山下にとっては、雑誌づくりに直接かかわることのできる貴重な場であったように思われる。

 ところで、今回紹介した号には鷲見桃逸が投稿しているが、彼は拙noteで小伝を投稿したことのある鷲見東一である。小伝でも紹介したように、鷲見は『郷土趣味』、『土の香』の両誌に投稿している。鷲見は「白水荘だより」のような小冊子にも投稿しているので、書誌を作成するのが非常に難しい。他の号には鷲見が投稿していたかどうかは気になるところだ。

(注1)『土の香』と同様になったとも言える。この時期の『土の香』の印刷については以下の記事を参照。


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