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上司の距離感、部下の距離感

いわゆる中間管理職の立場にある私にとって、部下との“距離感”、“距離の取り方“について戸惑うことがよくあります。
物理的な距離感、たとえば日常的な接し方だけでなく、心理的な距離感、たとえば見守り方、雰囲気の作り方に何かコツはあるのでしょうか。
会社や職場でご活躍の皆さんは、上司や部下との距離感の件で時に息苦しく思ったり、時に寂しく感じたりすることはありませんか?

たとえば皆さんは、このような上司と部下のコミュニケーションのギャップの事例に遭遇することはありませんでしょうか。

①ある日、部下が一生懸命に残業をしている。上司は、部下を置いて早く帰るのは申し訳ない気がして残業に付き合っている。部下は、上司が残っていて無言のプレッシャーを感じるので上がれない。上司も部下もなんとなく固まったまま帰れずにいる。(会話、コミュニケーション、心理的な束縛の問題)

②部下が、上司にその日の営業報告を口頭で行なっている。上司は、その報告に対して熱心に質問をしたり、正確な記憶力をもって営業先のことを尋ねている。
その会話を聞いている周りの部下たちは、その上司の示す熱意が自分たちへの関心だと肯定的に思ったり、反対に、その上司の記憶力をひけらかすかのような質問が鬱陶しく、詰問されているかのようなプレッシャーとして感じている。(関心の示し方、コミュニケーションの問題)

③ある上司は、自分の個室を使わずに、部下と同じ執務室でずっと仕事をしている。あるいは外に出るのを極力控え、部下と過ごしている。
ある部下は、その上司を「相談しやすいし、親しみやすい」と感じる一方で、別の部下は「常にチェックされているようでちょっと窮屈」と感じている。(物理的な距離感の問題、物理的な距離感がもたらすストレスの問題)

上の3つの事例は、上司にしても部下にしても、「個人による感じ方の差、受け止め方の差」というのはあると思うのです。
同じ上司の態度であっても、ある部下は「淡白な態度に関心の低さを感じる」、「もっとかまってほしい」と受け止めたり、ある部下は「鬱陶しい」、「窮屈」、「放ってほいてほしい」と受け止めたりすると思うのです。
この感じ方の差に加え、上司部下の心の根底にある好き嫌いの感情、コミュニケーションの良し悪しの問題、職場の雰囲気といった問題もあるかもしれません。さらには、高コンテクストの文化の組織か、低コンテクストの文化の組織かといった企業文化が影響する場合も。

上の3つの事例の解決方法やコツというわけではありませんが、上司の態度として共通して求められるのは、常に相手(部下)への関心の示し方を意識すること、日頃から仕事以外の話も含めて会話を絶やさないことかもしれません。
無関心な態度でなく、さりげない関心を示すこと。そして、仕事“周辺”の会話をすることによって適度に「見ていますよ」という安心メッセージを送ること。

①の場合は、状況にもよるのでしょうが「まだ(残業)やっていくの?」と優しく声をかけてみる。
②の場合は、最後まで遮らずに話を聞き、自己顕示欲は捨て、さり気ない質問や最低限の確認にとどめてみる。(労いの言葉をかけ、追求は別の機会に)
③の場合は、上司に個室がある場合は個室に入る時間を作ってみる。ない場合でも、外に出かけたり、テレワークをしてみたり、席を外す時間を設けて敢えて「不在の時間帯」を作ってみる。

経験から言って、部下にとって、部下のできる工夫の範囲は限られていると思うのですね。
ですので、そこは上司の皆さまが意図して工夫して、心理的安全性の高い職場を作っていきたいですね。

「目をつぶるようにして、職場を見ること。」
「ぼんやり関心を示していくこと。」
「手離して見守ること。見守りつつ手離していくこと。」

これらは私が今の職場で気づいた部下とのコミュニケーションの秘訣なのですが、上司と部下の距離感は、永遠の課題ですね。とても奥深いと思います。

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