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#32 『肩たたき券』とふるさと納税

2024年1月某日

年末年始、親戚同士の集まりに顔を出した。「お年玉」という名目で、未来への教育的投資も行なったりした。「将来は落語家になりたい」というA銘柄(息子)と、「大人になったら割烹屋さんになりたい」というB銘柄(甥)。どちらも魅力的だが、センスが渋い点が少々気になる。

さて、皆が集まる場でテーブルは、昨年の「ふるさと納税」による返礼品が埋め尽くしていた。カニ、ホタテ、牛タン、馬刺し など、満漢全席と見紛う絵面である(なお、筆者は地域経営を専門とする人間として、ふるさと納税のしくみについては一定のアップデートが必要であるとは感じている)。

その際、ひとりが問題提起した。「ふるさと納税の返礼品は”食べ物”にかぎる。体験チケットなどを買おうとは思えない」とのことである。筆者のように、地方創生に関わることを仕事にしている者にとって、このようなユーザーの率直な意見は真摯に受け止めるべきだと思う。

一方、供給側、すなわち自治体・地域側からみると、ふるさと納税の返礼品を「モノ」として届け、ユーザーに機能的(わかりやすい効果・効能)な価値提供で説得する施策は、コスパの関係でそろそろ厳しくなっている現実もある。そこで、「役務・無形」といった視点で「体験チケット」のようなものでユーザーを説得していくこと、すなわち無形の返礼品を買ってもらい、自分たちの地域を訪れてもらう方法を考えることが重要になってきている。

筆者自身、これらの問いに対する答えを現状持ち合わせている訳ではないが、「かならず解が存在する(≒なんか、うまくやれる)」ことだけは確信している。なぜなら、甥が親戚に売り歩く「肩たたき券」は、なぜだか飛ぶように売れていたからだ。将来、履行されるかもわからない体験チケットが売り切れる現実を目の当たりにし、「稼ぐ地域」の伸び代を確信した次第である。

ほなら。

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