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#66 アナログへの『回帰と退化』

2024年6月某日

早いもので、今年も約半分が過ぎようとしている。年度末の忙しさをすり抜けたと思ったら、年度はじめはそれはそれで忙しい。ワーカホリックにとっては、大変喜ばしいことである。楽しんでいきましょう。

さて、筆者は地域活性化に関わる事業企画を主な仕事としてる。やることは、「地域のリサーチをして、企画書を書いて、説明して、プロジェクトを立ち上げていく」、この繰り返しである。これまでに10年以上、「地域活性化業界(そんな業界があるのかどうか知らないが)」に身を置き、さまざまなプロジェクトに関わってきた。

さまざまなプロジェクトに関わるということは、さまざまな「クライアント」や「担当者」ともまた関わるということである。そして、さまざまな「仕事の流儀」の中で、プロジェクトを進めていくこととなる。仕事の流儀、すなわちスタイルや制約は、実は、地域によってずいぶんカラーが異なる。少し紹介したい。

例えば、自治体による公共事業について考えてみると、会議やプレゼンのスタイルが異なる。コロナ禍では、リモート・オンライン中心で実施されていた会議等の多くは、2024年時点で跡形もなくなくなっている地域もある。「対面」「リアル」での実施に限定している例も少なくない。

また、会議における「資料」の扱い方についても、コロナ禍には、会議室の画面に投影したり、ZOOMで画面共有するしくみが多数導入されていたが、足元ではやっぱり「紙の資料を次第とともに配布するスタイル」で運営されていることが多いように思う。先日訪れた会議においては、ほぼ全員がノートパソコンを持っていたが、ふたが閉じられパソコンのうえに紙の資料とノートを置いて会議が進んでおり、少し笑ってしまった。ずいぶん高価な下敷きである。DXどこいってん。

思うに、一部の会議で生じている「アナログ・対面回帰」の現象は、GAFAMのような企業が「リアル出社」を推奨しているような事情とは異なるのではないだろうか。つまり、対面・リアルのコミュニケーションを通じた「セレンディピティ」の創出という積極的態度というより、「なんか、もう、めんどくさいよ」という消極的態度に起因するものと考えられる。つまり、「一周回って、積極的価値の創出に向けた『アナログ回帰』」なのか、「数歩下がって、消極的理由による『アナログ退化』」なのか、という違いである。

個人的には、「リアル・対面」の会議に出席するのは好きだ。いろんな地域に行けるし、「大きさ」「におい」「気温」などが情報として肉付けされるからだ。さらに、「せっかく来たから、爪痕残そう」という下心も増す。

今度、わざわざ遠方から来たのに、一言も話さず帰っていく、はじっこの席のあの人にも、意見を聞いてみたい。
ほなら。

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