文学作品を考察していくのに頼りになる一冊

最近は、よく『豊饒の海』や『夢十夜』、『悪霊』について触れることが多い。これらの作品を考察していく上で、個人的に頼りにしている本がある。それは大江健三郎『同時代としての戦後』である。

この本はいわゆる文学エッセイである。大江健三郎が、戦後に活躍した作家(たとえば、大岡昇平や武田泰淳、野間宏……)について、個別にエッセイを書いている。

特に参考になるのは、①椎名麟三について書いた章と、②原民喜と三島由紀夫とを比較した章である。『豊饒の海』や『悪霊』を考察していく上で、実に参考になる。

①では、「椎名麟三がドストエフスキー『悪霊』に対してどのような感銘を受けたか?」が大江の視点を通して書かれている。椎名麟三のエッセイを引用しつつ、さらに大江独自の考察を添えているのだ。

②では、原民喜の死と三島由紀夫の死とをそれぞれ比較している。大江が三島事件について感情的になっているきらいはあるが、原民喜の精神の強靭さに対する指摘はもっともだと感じた。

今日もまたメモ書きのような記事になってしまった。が、これが精一杯である。引き続き考察していきたい。

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