芸術家にとっての衆愚制
神とパトロン。これらを失って以降の芸術には、完全性と健全性が欠けている。主義というより呪いというべきロマンティシズムの音楽は、ベートーベン以前の物質的自立性を超えて弾き手・聴き手の精神を浸食するし(バロック音楽を愛するパスカル・キニャールのことを思い出さずにはいられない)、絵画についてはその色彩、コントラスト、筆致をみれば図像学を追わなくとも明らかであろう(フォーヴィズムという魅惑的で恐ろしい言葉!)。モダニズム建築は健全性を欠いているし、彫刻については完全ですらない(例え