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ネガティブ思考、8つの原因

同じ出来事を前にしても、人によって感じる気分やその後に取る行動は異なります。
なぜかというと、
行動のきっかけを作る「認知」のメガネが人それぞれ違うからです。

厄介なのは、この認知メガネは自分でかけている自覚がない点です。
ネガテイブな認知メガネは、こと対人関係において様々な問題を引き起こします。

考え方の癖、自動思考とも呼ばれる認知メガネについて今回は解説していきます。


8つの自動思考について理解する

自動思考によって、知らず知らずのうちにネガティブな考え方や極端な思い込みに走ってしまう…
すると対人関係で軋轢が生じたり自己嫌悪に陥ることで、どんどんネガティブが強まって悪循環にはまり込んでしまいます。

認知行動療法でアプローチする対象となる8つの自動思考について、
リハビリ場面で考えられる事例を交えて解説していきます。

①白黒思考


一つでもミスがあると全てが失敗、というように物事を白と黒の二極で捉える思考。

「今日の治療は何一つ上手くいかなかった。自分はセラピスト失格だ」

みたいな感じです。完璧主義とも言えますね。
他には、

・治療効果について、完全に回復したか完全に回復していないかで判断する。小さな進歩でも評価できない。

・治療法について、100%効果がある治療法しかないと考え、他の選択肢を認めない。

・治療法について、正解を押しつけるか間違っているかの二択で判断する。個人差を考慮できない。

・患者の努力度について、最善を尽くしているか全く努力していないかで判断する。継続的な努力を評価できない。

・治療結果について、完全回復したか失敗したかで評価する。部分的進歩を認めない。

白黒思考を排除してある程度のグレーゾーンを認めることで、
患者個人の事情や環境、継続的な努力などを考慮した多面的な評価が可能になります。

②すべき思考

「〜すべき」「〜であるべき」といった考え方の癖。他人、自分問わず現れる。

「理学療法士である以上、患者を歩けるようにして当然」

みたいな感じです。
他のセラピストを馬鹿にしたり、矛先が自分に向かうと自己卑下する方向へと繋がっていきます。

「患者を歩かせないセラピストはクソだ」
「患者は自分の身体を良くすることに対して、自己努力すべき」
「自主トレをしないあの患者はダメだ」

みたいな例もありますね。

③ 色メガネ思考

何事もネガティブな色メガネで見て、ポジティブな面を無視する傾向のこと。
特定の視点や枠組みに囚われて物事を評価する傾向のこと。

「会議で一言も発言しない最近の若手はみんなやる気ないな」

他の例では、

・患者の訴えを過度に重視し、病態からはどう考えられるかなど、他の観点を無視する
・特定の治療法にこだわりすぎて他の選択肢を考慮しなくなる
・患者の希望やニーズを無視して自分の考えに基づいて治療を行う
・臨床経験やエビデンスに基づいて患者の症状を判断し、客観的な評価を怠る

〜法などの治療手技に傾倒しやすい理学療法士にとって、頭の痛い問題ですね。
また、施設や病院といった組織全体が偏った方針を持っている場合もあります。

④自責思考

自分に責任がないことでも、自分のせいにしてしまう思考のこと。

「同僚のAさん、表情が険しかったな。自分が何か悪いことしちゃったからだ」
といった感じ。

他の例として、

・患者の治療結果に対して過度の責任を感じる
・痛みが出ることを恐れて新しい治療法を試さない
・患者さんとのコミュニケーションがうまくいかなかった際に自分を責める

真面目で経験年数が浅いセラピストに多い印象があります。
セラピストの場合、成功体験を積まずに知識だけ蓄えていくと陥りすくなってしまいます。

⑤過度の一般化

ささいな失敗(成功)でも、全てのことに当てはめてしまう傾向のこと。

「以前担当していた患者を自宅退院させることができなかった。きっと次もそうなる」
みたいな感じ。

他の例として、

・特定の患者に対して効果があった治療法を他の全ての患者にも適用しようとする

自分で考えることを放棄してしまうとこの罠にハマります。
失敗自体は悪いことではないので、なぜ失敗したのか?を考える習慣をつけたいですね。
成功した場合も同様です。

⑥結論の飛躍

ネガティブな思いつきを真実として思い込む傾向のこと。
例えば、
「あの病室の患者さんたち、私が入っていったら話やめた・・・きっと悪口言われてたんだ」

また、根拠や論理的な展開を欠いているにも関わらず結論を導くこと。

他の例では、

・特定の治療法を受けることで必ず特定の結果が得られると判断する
・ある治療法が効果的だった患者の事例を元に、全ての患者に対してその治療法が効果的だと結論付ける
・科学的な根拠や統計データに基づかずに、個々の事例から一般的な結論を導く

結論の飛躍は誤った結論を導く原因となり得ます。

⑦拡大解釈と過小評価

ネガティブな出来事を過大に捉える反面、ポジティブな出来事を過小評価する傾向のこと。
失敗したことに「もう取り返しがつかない」と絶望し、成功したことを「こんなこと誰でもできる」と成功体験にしない。

他の例としては、

●拡大解釈
・ある治療法の効果を過大評価しすぎて、それを全ての患者に適用しようとする
・患者が自分の症状を過大評価し、それが治療の妨げになる
●過小評価
・自分の能力を過小評価して新しい治療法に挑戦しない
・患者が自分の症状を軽視して適切な治療を受けようとしない

⑧レッテル貼り

他者や自分に対して否定的なレッテルや特定の判断を決め付ける傾向のこと。

「あの患者の訴えは大袈裟すぎる。きっとメンタル疾患持ちだな」

みたいな感じです。感情的決め付けとも言います。

他の例では、

・患者が自分自身に対して「不良姿勢を持つ人間」というレッテルを貼り、それが運動療法へのモチベーション低下につながる

・理学療法士が特定の患者に対して「難治症例」というレッテルを貼り、それが適切なアプローチを見落とす原因となる

レッテル貼りは誤った認識や偏見を生み出し、適切な治療やアプローチを妨げる可能性があります。


以上が8つの自動思考です。

ネガティブ思考ではないですが、
足関節の講習会に参加した後は、足関節疾患がなくても足の治療から入るようになる…
みたいなこと、ありませんでしたか?

僕はありました(汗)

過度の一般化と拡大解釈、結論の飛躍の罠にハマってます。
意識していないと知っていても陥るのが、自動思考の怖いところです。定期的に自己チェックした方がいいかもしれませんね。

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