寺子 玲

こんにちは!元損保会社の損害部門で自動車事故の保険金(賠償金)を支払う仕事をしていた「…

寺子 玲

こんにちは!元損保会社の損害部門で自動車事故の保険金(賠償金)を支払う仕事をしていた「寺子玲(てらこれい)」です。一般には知られていない世界の正しい情報で、万が一事故に遭ってしまったときに、役に立てればいいなと思い、あれこれ書き連ねていきたいです。よろしくお願いします。

最近の記事

  • 固定された記事

noteに投稿しようと思った理由

はじめまして。寺子玲と申します。 私は以前、損害保険会社で保険金の支払いをしていました。具体的には、 自動車事故でケガをした方に保険金(賠償金)を支払う仕事です。 損保会社によって部門の言い方は様々ですが、損害サービス部門とか保険金サービスセンターなどと呼ばれています。交通事故に遭わないとお付き合いは無い部門なので知らない方も多いので、少し説明します。 保険金(賠償金)を支払うというのは、相手の方とのコミュニケーションや医師の診断書、交通事故の状況・物損状況などから「適

    • 自分がひき逃げ犯?事例から学ぶ注意すべき点

      交通事故の保険金支払いの仕事をしていると、いろいろな事例がありました。中には「自分は気をつけなければ」と思う事例もたくさんあります。 今回は保険金・賠償金の話ではありませんが、思いがけず「轢き逃げ犯人」となってしまわないための注意すべき点です。 私たちが持つ「ひき逃げ」のイメージひき逃げとは「人を車で轢いてしまったのに、その場から逃げてしまう」ことですよね。 Wikipediaによると『第72条第1項前段では、「交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他

      • 骨折より捻挫の方が多く慰謝料をもらえるという自賠責基準の不合理

        保険金の支払いの仕事をして一番「不合理」だなと思ったのは「骨折をした人より、捻挫・打撲の人の方が慰謝料を多くもらえてしまう」という自賠責基準でした。なかなか当事者にならないと知らない現実を今回はお話ししていきます。 自賠責保険の基準をザックリと車の事故で相手にケガをさせてしまった場合、自分の任意保険の対人賠償保険を使って賠償をするわけですが、この保険は全ての車についている「自賠責保険」の上に乗っている保険なのです。ケガの賠償に関して言えば、2階建て構造になっているわけです。

        • 治療は何カ月ぐらい受けることができるか?

          交通事故のケガの賠償(対人賠償)は主に「治療期間」や「実治療日数」で算定がされます。長く治療すればたくさん賠償金がもらえるという理屈になりますが、実際に治療を受けられる期間というのが決まっているのでしょうか? 期間や日数で決められてはいない当然なのですが、期間や日数では決めれれてはいません。 これは、どこの保険会社でも同じだと思います。 事故によって、そして人によってもケガの状態は違います。どの保険会社の担当者も期間を決めて一律で対応することは無いはずです。 よく「いつま

        • 固定された記事

        noteに投稿しようと思った理由

          「保険会社は金を多く払いたくないから治療を早く打ち切る」というのは間違い

          交通事故に遭うと何もわからないので、情報をネット検索をする方が大半です。交通事故に限りませんが、ネットの情報は必ずしも正しいとは限りません。特に「保険会社は金を多く払いたくないから治療を早く終わらせようとするから気を付けろ」「騙されるな」系の情報が多いですが、それは必ずしも真実ではありません。その理由と事実をお教えします。 ネットにあふれる情報とは交通事故は何度も遭うものではありません。よって、事故に遭っても何をしていいのかわからない。最近はネットで検索をして情報収集をする

          「保険会社は金を多く払いたくないから治療を早く打ち切る」というのは間違い

          相手の保険会社がケガ対応するのは、当たり前ではない

          自動車事故の加害者側の任意保険会社が、被害者のケガの対応をする。 これは「当たり前」のことと思ってはいませんか? もちろん賠償をするのは当たり前なのですが、ケガの対応(治療費の立替など)をするのは他の国を見ても当たり前ではありません。 日本の自動車保険の仕組みを見ながら、保険会社のサービスを見ていきます。 自賠責保険と任意保険こちらの記事でも説明しましたが、被害者保護の立場で自賠責保険があります。車を保有するには必ずはいらなければいけない保険です。 任意保険はケガ以外の賠償

          相手の保険会社がケガ対応するのは、当たり前ではない

          自分のケガ対応をする人身傷害保険とは何?

          交通事故でケガをさせたら任意保険と自賠責保険で賠償をします。 では自分がケガをした場合はどうするのでしょう? 自分はまだしも同乗者もケガをしたらどうするのでしょうか? 今回は意外に知らない「人身傷害保険」について説明します。 自分側のケガに対応できる人身傷害保険交通事故の賠償は相手にしてもらうものだけではありません。 責任割合にもよりますが、相手が対応してくれなかったり、自分もケガをしているのに自分が一方的に悪いケースの場合は「自分の保険」で治療することになります。 「自分

          自分のケガ対応をする人身傷害保険とは何?

          交通事故のケガの治療で関係の無い場所の治療もできるのか?

          このタイトルを見て「こんなの無理でしょう」と思うのは極めて常識的な方です。しかし世の中には「事故のせいにして一緒に治してもらおう」と考える方もいるわけです。今回は「生活の中での通常の痛み」と「事故による痛み」を一緒にできるか?そのデメリットなどをご紹介します。 賠償での治療の範囲はどこまでか?交通事故に限りませんが、損害賠償は因果関係の無いものは対象になりません。交通事故では事故とケガに因果関係がある場合が賠償の範囲になります。要するに「ケガは確かに事故によるものだ」と認定

          交通事故のケガの治療で関係の無い場所の治療もできるのか?

          交通事故のケガで賠償してもらえるものは?

          交通事故でケガをすると「相手の自動車保険」で賠償してもらう、または「自分の自動車保険」で対応する方法があります。 治療費の他にどのような項目があるのか見ていきましょう。 損害賠償とは?停車中に追突される(被追突)など100:0の事故でケガをした場合には、相手に賠償してもらうのが当然と言えます。100:0だけでなく70:30ぐらいまでなら相手の保険会社が対応してくれると思われます。 交通事故の損害賠償は、事故でケガをされた方の気持ちの問題が絡むので、保険会社の担当も状況を総

          交通事故のケガで賠償してもらえるものは?

          ケガの賠償は人身事故にしなくても問題なく受けられる

          交通事故で判断が迷う質問の一つに「人身事故にしますか?物件事故にしますか?」というものがあります。 どういう意味で、自分または相手にどういう影響がでるのか?今回は書いていきます。 ケガをしたら人身事故として届け出るのがルール物件事故というのは、ケガ人がでなかった事故のことです。 車同士の事故でもケガしないケースは多いです。 保険会社には、毎日たくさんの事故報告があります。 全てがケガ人がいる事故ではありません。車の安全性能が格段に上がったことからも、ケガ人がいる事故は年々減

          ケガの賠償は人身事故にしなくても問題なく受けられる

          交通事故で「謝ってしまうと加害者にされてしまう」というのは本当か?

          「事故をおこしたとき、事故に遭ったとき、絶対に謝ってはいけない。謝ったら自分が悪いと認めることだから、悪くなくても加害者になる」 交通事故は経験も無いし正確な情報も少ないので、「中の人」からすると「どうしてこんなことが信じられているの?」という都市伝説のような話があります。 これもその一つ。正確な情報をお話しします。 交通事故で100:0になるのは3パターンだけ自動車同士による交通事故で完全に100:0(どちらかが一方的に悪い)の責任割合となるのは、基本的に次の3つだけで

          交通事故で「謝ってしまうと加害者にされてしまう」というのは本当か?

          保険会社のケガ担当者には強硬姿勢で対応したほうがいいのか?

          相手の保険会社があなたのケガの賠償をすることになりました。 あなたの周りの人は「保険会社には最初からガツンと言ったほうがいい」などとアドバイスする人もいます。 このアドバイスは最終的にあなたの為になるのでしょうか? 今回は内部の状況もお話ししながら、何が正解か見ていきます。 賠償額は保険会社によって違いは無い交通事故のケガの賠償は「自賠責保険」が1階、任意保険(対人賠償)はその上に載っている2階建て構造です。任意保険は各社賠償の規定が異なるのですが、任意保険と自賠責保険を比

          保険会社のケガ担当者には強硬姿勢で対応したほうがいいのか?

          被害者のケガの治療は無料でできるって本当?

          交通事故に遭うなんて一生に何度もあることではありません。 知らないことがたくさんありますが、一番心配なケガの治療費の支払いについて書いてみます。 加害者と被害者の区別交通事故に遭うと事故状況にもよりますが、大抵誰もが「自分は悪くない、自分が被害者だ」と思ってしまいます。 自動車同士による交通事故で完全に100:0の責任割合となるのは、大きく分けて次の3つだけだということを覚えておいてください。 1. 停車車両への追突、逆突 2. 交差点内の信号無視による衝突 3. 明ら

          被害者のケガの治療は無料でできるって本当?

          交通事故のケガの治療費は通常より高い

          病気やケガで治療を受けるときは、健康保険証を提示して窓口で支払います。 交通事故の被害者の場合、窓口で支払いをせず、相手の保険会社から直接支払われることが多いです。 よって治療費がいくらなのか実感が湧きませんが、これが通常より高いって知っていましたか? 今回は賠償における治療費について書いていきたいと思います。 健康保険料金と自賠責料金 健康保険証を提示して病院の窓口で支払う金額は、基本的に治療費の3割~1割です。 よって窓口で3,000円支払えば、本来の治療費は10,00

          交通事故のケガの治療費は通常より高い

          交通事故の大半のケガでは、保険会社は賠償金を低く提示できないという真実

          「保険会社は被害者への賠償金を抑えれば儲かる」 「被害者を騙して、安い金額で示談させるのが保険会社の仕事だ」 保険会社(損害保険会社)に、こんなイメージをもっている人は多いのではないでしょうか?一般的なビジネスでは、経費を抑えれば利益が生まれるので同じ理屈で考えると、確かに正解のようにも思えます。 しかし、一般的なビジネスと保険による賠償は違います。 どんなケースでも一括りで「違います」と言えないのですが、一般的な交通事故でケガをした場合を想定し、真実をお伝えします。

          交通事故の大半のケガでは、保険会社は賠償金を低く提示できないという真実