見出し画像

交通事故の大半のケガでは、保険会社は賠償金を低く提示できないという真実

「保険会社は被害者への賠償金を抑えれば儲かる」
「被害者を騙して、安い金額で示談させるのが保険会社の仕事だ」

保険会社(損害保険会社)に、こんなイメージをもっている人は多いのではないでしょうか?一般的なビジネスでは、経費を抑えれば利益が生まれるので同じ理屈で考えると、確かに正解のようにも思えます。
しかし、一般的なビジネスと保険による賠償は違います。

どんなケースでも一括りで「違います」と言えないのですが、一般的な交通事故でケガをした場合を想定し、真実をお伝えします。

自賠責保険と任意保険

日本で車を所有するには「自賠責保険」に入らなければなりません。
自賠責保険?そんな保険に入った記憶は無いよ。
という方も多いと思います。
自賠責保険は、新車を購入した時や車検を受けたときに自動的に入る保険。なので「強制保険」と呼ばれた時期もあります。
基本的に巷を走っている車は、必ず自賠責保険に入っているのです。

それに対して「任意保険」というのがあります。
自分で〇〇損害保険とか、▢▢海上火災保険などという損害保険会社と契約をしていると思います。これは任意なので、必ず入らなければならないというわけではありません。なので「任意」なのですね。

では、任意保険はいらないのではないか?
と思われるかもしれませんが、自賠責保険は「ケガの保険」なのです。
被害者保護のためにある「相手にケガをさせたことに対する賠償」をする
保険です。

任意保険は相手にケガをさせたことに対する賠償の「対人賠償」だけでなく、自分のケガ「人身傷害保険」も対応します。
さらに、相手に物的損害を与えたことに対する「対物賠償」や自分の車のための「車両保険」などもあります。

任意保険は自賠責保険で対応できないところをカバーする保険です。

ん?ちょっとまてよ?
自賠責保険で相手のケガの賠償ができるなら、任意保険の「対人賠償」はいらないのではないの?と思いますよね?

任意保険を契約するときに内容まで詳しく見ていないかもしれませんが、「賠償限度金額」は記憶あるのではないでしょうか?
「対人賠償無制限」とか「対人賠償〇〇万円」というものです。
そう。自賠責保険には限度があるのです。
金額で言うと「120万円」です。
ここには治療費・慰謝料の他、相手への休業損害などの賠償が含まれます。

「金額で言うと」
と前置きをしましたが、自賠責保険では相手へのケガの賠償でも払えないものがあるのですが、説明が複雑になるので、ここでは「上限120万円」ということで進めます。

画像1

自賠責保険の賠償上限金額は120万円

任意保険は自賠責保険を包括するものと説明しました。
つまりケガの賠償に関していうと、2階建て構造になっています。
「1階が自賠責保険、2階が任意保険(対人賠償保険)」
という意味です。
120万円を超えるときに任意保険が使用されます。

つまり、単純な言い方をすると
「総額120万円以内で収まるなら、任意保険は使う必要が無い」
ということです。

120万円というのは治療費まで含めた総額です。
大まかには「治療費」「通院交通費」「休業損害」「慰謝料」の総額です。
120万円以内であれば、保険会社は任意保険を使用しなくて済みます。

仮に被害者への賠償が自賠責保険内(120万円以内)で収まると、契約者(ケガをさせた側)は自分の任意保険を使用しなくて済むわけです。
これは契約者にとってラッキーで、任意保険を使うと等級ダウンにより次回更新時からの保険料金がアップするわけですが、任意保険を使用しなければそれもありません。
 [注] 対人賠償に限った話で、相手の車を修理する賠償
   (対物賠償)をしていれば任意保険を使用しているということです。

自賠責保険の賠償額より
安い金額を支払って示談をすることはできない

では任意保険会社は、自賠責保険の算定額より安く提示して示談することができれば、保険会社の利益になるのでしょうか?

そんなことはありませんし、やることはできない仕組みになっています。
自賠責保険は被害者保護のための保険です。
仮に任意保険会社が安く算定して示談を結んだとすると、自賠責保険より
「下回りなので再示談をてください」
と言われます。

仕組みとして、できないようになっているわけです。

交通事故のケガのほとんどが「ムチウチ」であり、
自賠責保険内で収まるレベル

交通事故によるケガで一番多いのは「頚椎捻挫(けいついねんざ)」です。
これは一般的には「ムチウチ」と呼ばれるものです。
その他「腰椎捻挫(ようついねんざ)」や「打撲」が大半です。

私自身、追突されてケガをしたことが何度かあるのですが、ムチウチは通常の手首や足首の捻挫に比べると、自覚症状が無くなるまで時間がかかります。しかし、3ヶ月もすると治ってしまいました。

これは私だけでなく、大半の方も同じで事故から3ヶ月もすると治ってしまいます。手首や足首の捻挫が1ヶ月ぐらいですから、長い感じはしますが、でもそんな程度の時間で治る方が大半です。

では、仮に3ヶ月で治ったとすると賠償総額はどのくらいになると思いますか?
通院した病院や休業損害が発生したか?など条件は違うので金額を出すことはできませんが、120万円を超えることはありません。

つまり重症でない限り、自賠責保険金額の範囲内で賠償額は収まるのです。
保険会社は自賠責より低い金額では示談を結べないし、
保険会社は任意保険を使用することは無い。
よって「騙す」とか「騙される」なんてことは無いのです。

これが真実です

では、ネットで調べると「騙されるな」とか書かれているかというと、いろいろな人がいるからなのですが、そんな話も体験・経験から少しずつお伝えしていこうと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?