「保険会社は金を多く払いたくないから治療を早く打ち切る」というのは間違い

交通事故に遭うと何もわからないので、情報をネット検索をする方が大半です。交通事故に限りませんが、ネットの情報は必ずしも正しいとは限りません。特に「保険会社は金を多く払いたくないから治療を早く終わらせようとするから気を付けろ」「騙されるな」系の情報が多いですが、それは必ずしも真実ではありません。その理由と事実をお教えします。

ネットにあふれる情報とは

交通事故は何度も遭うものではありません。よって、事故に遭っても何をしていいのかわからない。最近はネットで検索をして情報収集をするケースが多いと思います。
そこで検索してみると「保険会社は金を多く払いたくないから治療を早く終わらせようとするから気を付けろ」「騙されるな」系の情報が多いわけです。

ネットの情報は真偽が不確かな情報であることがはわかっているものの、情報が多いと真実と思ってしまうものです。事実、被害者の方から「ネットで書かれていたから間違いない」という言う人がいました。
しかし、これを鵜呑みにして保険会社に対応すると不利に働くことがあります。特にケガ対応をしている担当者に噛みつくといいことはありません。

理由は後にするとして、ネット上の情報はいろいろな立場の方が書いていることを考えてください。内容とサイト運営者の経歴を見ると、数は多くは「弁護士」と「整骨院」であることがわかります。また過去に保険会社の提示に納得いかず怒りが収まらない人の記事もありますが、数は少ないです。

「弁護士」と「整骨院」仕事は違いますが、どちらも「保険会社に騙されるな」と焚き付けた方が自分の利益につながる立場です。ネット集客の手段としてBlog記事を書くことは知られた方法です。問い合わせを促すため記事を量産することで検索上位に同じような内容のものがリストされるため目立つことになります。

保険会社は公平性を維持することが重要

「保険会社は支払いを少なくすれば儲かるのだから、治療を早くやめさせる」「だから、騙されるな」

これはネットによく書かれている内容なのです。非常に理屈が通っているように思えますが、保険会社(損害保険会社)のことを良く知らず、自分が生きている世界だけの常識で言っているように思えます。

確かに慈善事業ではなくビジネスなのですから、儲けなくてはいけません。たくさんの従業員もいるし、代理店もいます。事故も毎日あります。
「支払うお金を少なくしないと儲からない」
一般的な認識では、そう考えますよね。
確かにそうなのですが、全体的にみると違うのです。

一般企業と保険会社は会計処理が違うので、単純に比較できないこともありますが、この誤解を説明するには
「保険会社は公平性を重視している」
ことをお話しするのがよいと思います。

決して慈善事業ではありませんが、保険は公共性と被害者救済が強いものです。会社や担当者によって若干の差はでてしまうことは仕方がありませんが、すべての人に公平に対応することが必要です。
「声の大きい人がたくさん保険金(賠償金)をもらえる」
こんなことは絶対あってはなりませんし、不正の温床になります。

実際にこんな人たちもいます
・ いつまでも「痛い痛い」といって賠償額を吊り上げようとする人
・ 高圧的に怒鳴り散らしたり、ヒステリックに攻撃してくる人
・ 担当者にウソの情報を伝えて長く通院しようとする人

またこんな病院・整骨院もあります
・ 被害者に保険会社を騙す指南をする整骨院
・ 軽傷なのに「毎日通院しなさい」と強制する病院、整骨院
・ 受傷するはずのないところを痛いと言わせ施術部位数を増やす整骨院

仮にご自分と同じ、もしくはそれ以上の賠償金が支払われるのだとしたら、これを公平だと思いますか?

公平性を維持するために保険会社は経費をかけている

保険会社は公平性を維持するために経費をかけています。
従業員の給与や賃料などではなく、その事案の経費です。
「その事案の被害者に支払われる賠償金を少なくして儲けよう」という理屈であれば、そんな経費はかけるはずが無いですよね?場合によっては、その被害者に支払う金額以上に経費がかかる場合もありますが、公平性を維持する目的であれば躊躇なく経費をかけます。

具体的には「事故調査」「医療確認」「刑事記録取得」が主になります。
事故調査は、車など事故によって損傷したものを調査して整合性を確認するものと、ケガをした事故そのものを現場や警察・当事者に話を聞いて事故の真の姿を明らかにする調査があります。
大手の場合は前者は自社内で行う体制をとっていますし、後者は公平性を維持するために第三者の専門調査会社に委託します。

医療確認は本人の同意の元、医師に診断書には書かれていない治療方針、事故とケガの因果関係や治療終了の見込みなど詳細に確認します。中には担当者にウソをついているケースも医師に直接確認することで明らかになるケースもあります。
もちろん治療を打ち切ることが目的ではなく、賠償範囲の適正な治療をしてもらうために、医師にも事故の共有をします。医師にウソをついている人もいて、治療している内容が事故とは関係ないことが明らかになるケースもあります。

刑事記録とは、警察が事故調査をした「実況見分調書」を取り寄せることです。先の専門会社による調査ではなく、警察の記録なので距離やスピード衝突位置など事細かに記録されています。

どれも金額は〇万円単位でかかります。
しかし、協力が得られず詳細がわからないケースや、疑義がある場合は躊躇なくこれらの経費をかけて「適正な賠償」を行います。

事件性のあるケースに対応する専門部隊もいる

単に疑義があるケースではでてきませんが、反社会的勢力が関係している場合や、保険金詐欺が疑われるケースでは、各社専門の部隊がいます。
これも公平性の観点からですし、本来の被害者救済という目的から逸脱するようなケースを防止するためです。

まとめ

「保険会社は金を多く払いたくないから治療を早く打ち切る」というのは、一般的なビジネスの観点からは、もっともそうな意見ですが、必ずしも正解でないことはお分かりいただけたと思います。

確かに保険会社と言えども利益は重要ですが、事案毎の収益を考えていたのでは公平性を保つことはできません。
決して声が大きい人が得をしたりしないように、全体的に不公平にならないように経費もかけているわけです。

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