保険会社のケガ担当者には強硬姿勢で対応したほうがいいのか?

相手の保険会社があなたのケガの賠償をすることになりました。
あなたの周りの人は「保険会社には最初からガツンと言ったほうがいい」などとアドバイスする人もいます。
このアドバイスは最終的にあなたの為になるのでしょうか?
今回は内部の状況もお話ししながら、何が正解か見ていきます。

賠償額は保険会社によって違いは無い

交通事故のケガの賠償は「自賠責保険」が1階、任意保険(対人賠償)はその上に載っている2階建て構造です。任意保険は各社賠償の規定が異なるのですが、任意保険と自賠責保険を比べると自賠責保険の方が賠償額が高くなります。よって、自賠責保険の上限金額を超えるまでは、自賠責保険の規定で算定することになります。

ケガのほとんどは「捻挫」「打撲」であり、普通に治療をすれば自賠責保険の上限額を超えることは稀です。私自身、損害サービス担当の仕事をする前に何度か「ムチウチ」を伴うケガを数回経験したことがありますが、3ヶ月程度で自覚症状は無くなりました。

交通事故に遭ったことがなくても、捻挫したことぐらいあるはずです。寝違えて首が回らなくなったこともあるでしょう。ギックリ腰になった人もいるかもしれません。どうでしたか?治るのに3ヶ月もかかりましたか?
交通事故、特に後ろからぶつけられた「追突」は不意に衝撃がくるため、ムチウチ(頚椎捻挫)になりやすいですし、通常の捻挫よりは治るのに時間がかかります。でも3ヶ月もすれば治る方がほとんどです。

この3ヶ月ですが、人によって違いはあるものの、私の経験からも、保険会社の統計からも言えますが、ほとんどの方が治ります。

賠償額は被害者の状況によって違いますが、3ヶ月毎日整形外科に通っても普通は自賠責保険の120万円を超えることはありません。つまり、どこの任意保険会社が賠償することになっても、どんな担当者が担当になっても賠償額は自賠責保険の規定に従って算定される(自賠責保険金額を下回ることはゆるされない)ため、同じになります。

実際には保険会社のケガ担当によって変わってくる

ここまで違いは無いと言っておいて、人によって変わるという話です。
算定の仕方は、自賠責保険で決められているので変わらないのですが、一番担当によって左右されるのは「治療の内容をどこまでOKとするか」なのです。

治療の内容とは病院への通院期間や整骨院の利用、自賠責では認められない整骨院の施術内容などです。もちろん通院期間と言っても、画一的に「3ヶ月だからこれ以上ダメ」というわけでなく、車の損傷状況から治療期間は想定してもいます。

担当者には、なりたての新人さんもいれば、百戦錬磨のベテランもいれば、ソフトな人もハードな人もいます。

しかし、どんな担当者も人間です。
契約者の代わりに「しっかり賠償してあげよう」と思っているのに、強硬な姿勢で応対されたり、疑義がある応対をされたりすると「対応を変えざるをえないな」と思ってしまうものです。

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担当者が意識しているのは「適正な賠償」

2020年4月から自賠責保険金額が値下げされたのはご存知でしょうか?
自動ブレーキやケガを軽減するための車の性能が向上したため、自賠責保険による賠償金の支払いが減少しているためです。

自賠責保険も任意保険も同じですが、支払った人全ての金額を財源に損害を受けた人に賠償を行います。よって、公平性が求められます。
声の大きい人やゴネた人がたくさん賠償を受けたり、何も言わなかった人の賠償が少なかったりすることは許されません。

そんなことを知ってか知らずか、いまだに変なアドバイスをする人はいるのです。例えば、
  ・ いつまでも「痛い・痛い」って言っていれば金がたくさんもらえる
  ・ ぶつけられたらラッキーだよ、賠償金で車が買えるぜ
  ・ 保険会社には強硬姿勢で行け、ビビらせればいつまでも通院できるぜ
  ・ 保険会社からの電話にはでるな、連絡が取れなければ何もできない

こういうアドバイスは昔は有効だったのかもしれませんが、今こんなことをすれば逆効果です。公正な賠償をしようとしているのに、不正なことをしようとしているとみられます。
中には整骨院と共謀して、通院日数を水増しするような人もいますが、これは立派な犯罪です。

保険会社も自賠責保険も「不正請求」には目を光らせています。また事故状況とケガの程度が合致しない申告や、何度も自賠責保険への請求歴がある人もチェックされています。

保険は「適正な賠償」で公平性を保ために、疑義のある申告をする方には厳正に対応されます。「必要以上に賠償金を取ろうとしに来ているな」というのは担当者にはわかります。

担当者と馴れ合いになる必要はありませんが、言いたいことは伝えればいいと思います。強硬姿勢にならず冷静に伝えれば、車の損傷状態や医師の診断書を見ながら対処します。
しっかり受け答えする方だな、正直にお答えいただいているなと思えば「もう少し治療を続けてもらおう」と対応してくれる場合もあります。

逆に「担当者の対応が耐えられない」という場合もあります。
そんなときには担当替えを要求するのも手です。
保険会社によって違いますが、本人に言うのもいやでしょうから全国受付のフリーダイヤルで伝えると、担当者の部署に要求が伝達されます。

通院する整骨院は選んだほうがいい

担当者とは問題なくコミュニケーションしているのに、自分以外の要因でトラブルに巻き込まれることがあります。通院する整骨院が原因です。

整骨院とは柔道整復師という免許で施術を行います。
保険で治療費は支払えるのですが、柔道整復師は医師ではないので、治療はできず「痛みをやわらげる施術」を行います。原因を取り除く「治療」ではなく「対処療法」を行います。

この整骨院、昔は請求内容に問題があるところが多かったので、保険会社で利用を認めないケースもあったのですが、現在は「適正な施術」を行うところが多くなり、整骨院を条件付きで認めるケースが多いです。

しかし問題がある整骨院は、地域に数件あるものです。
ここに当たってしまうと、被害者がトラブルに巻き込まれるケースがあるのです。
交通事故の治療費は自由診療なのですが、法外な施術費用を請求したり、治療対象になっていない部位を施術して請求したりするため、治療費が高額になります。すると自賠責保険を整骨院の施術費で食いつぶす状況になりかねません。

この問題ある整骨院に関しては、いくつもネタがあるので、またお伝えしていきますが、そういう整骨院は被害者にはわかりません。
しかし、私なりに傾向を見つけているのでお教えします。

絶対ではありませんが、以下の条件に合ったら行かないことです。
  ・ インターネットで検索すると最上位にでてくる
  ・ 健康保険を使えない(交通事故専門)
  ・ ホームページを見ると作り笑顔がわかる院長の写真がある
  ・ ネットで広告を出している
  ・ 口コミには、☆5個の書き込みばかり
  ・ 口コミ件数が多いのに、口コミ件数が少ない人ばかりの書き込み

行った後でも、以下の雰囲気があれば転院しましょう。
  ・ 院長以外の整復師が大勢いて「毎回施術部位を聞かれる」
  ・ 保険会社の悪口が多く、毎日通院するように強制される
  ・ 保険会社への応対方法指南がある

まとめ

自分以外の要素もありますが、基本的に担当者に言いたいことは冷静に伝え、適正な治療を受けさせてもらう姿勢であれば、適正な賠償を受けれらます。別に相手と喧嘩してもいい方向にはなりません。
周りにはアドバイスをする人もいますが一つとして同じケガはありません。
保険会社に治療を打ち切られたという人は、応対方法を間違えた人ともいえます。もし、担当者の対応が気に入らないなら、担当替えを希望してみるといいでしょう。

整骨院については、いろいろお伝えしてみようと思います。


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