自分がひき逃げ犯?事例から学ぶ注意すべき点

交通事故の保険金支払いの仕事をしていると、いろいろな事例がありました。中には「自分は気をつけなければ」と思う事例もたくさんあります。
今回は保険金・賠償金の話ではありませんが、思いがけず「轢き逃げ犯人」となってしまわないための注意すべき点です。

私たちが持つ「ひき逃げ」のイメージ

ひき逃げとは「人を車で轢いてしまったのに、その場から逃げてしまう」ことですよね。
Wikipediaによると『第72条第1項前段では、「交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員 (中略) は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定されている。』とあります。

法律の条文上は「逃げる」事は要件には含まれていません。どういうことかというと「事故の当事者が運転を直ちに停止しない」とか「救護をしない」「危険防止措置をしない」ことで犯罪となるという意味です。
特に「〇〇m離れたらひき逃げになる」ということも無いようですが、あまり離れてしまうと「救護」できませんね。

また「ひき逃げ」と聞くとテレビや新聞に載るような重大事件として、滅多にないことというイメージもあります。

意外と多い「ひき逃げ」事故

報道されるのは、本当に重大事故の場合のみです。大けが・死亡事故などは報道されますが、そうではない「ひき逃げ」となってしまった例はたくさんあります。
私は大手損保会社4社の某企業に在籍していましたが、某地域のセンターのたくさんいる担当者の中の一人でした。
統計を取ったことはありませんが、それでも自分が担当した事故で「またひき逃げか・・・」というものは1~2%ぐらいありました。意外と件数としては多いと思います。
その中でも多い事故パターンがあるので、ご紹介します。

実例から見る「ひき逃げ事故パターン」

事故形態としては「自動車または単車 vs 自転車」というのが多かったです。ひき逃げというと被害者が「歩行者」のイメージがありますが、自転車が圧倒的です。

年齢にも傾向があります。被害者は「子供」か「お年寄り」です。
つまり自転車に乗っている「子供」「お年寄り」と接触した場合は特に注意が必要です。

歩行者を轢いてしまう(接触含む)事故が少ないわけではありません。しかし、さすがに歩行者と接触して「救護しない」選択をする人は少ないからだと思います。

しかし自転車と接触した運転者が「救護をしない」選択をする人ばかりかというと、そうではありません。私の担当した事故は大半は「車から降りて『大丈夫ですか?ケガはありませんか?』とか救護活動をしていました。

ではなぜ「ひき逃げ」になってしまうかというのが、今回ご案内したい教訓なのです。

どうして「ひき逃げ」になってしまったのか?

被害者は「自転車に乗った」「子供」と「お年寄り」が多いと言いました。
「子供」でも「幼児(6歳未満)」の場合は少ないです。
多いのは「小学生~中学生ぐらい」です。

自転車と接触したら、車から降りて「大丈夫?ケガはない?」と声をかけますよね。救護活動です。
このぐらいの子供の場合、ぶつかり方にもよりますが、大して痛く感じないようです。いつも遊んでいて、打撲ぐらいの痛みはよくあることなので「大丈夫?ケガは無い?」なんて聞かれても「大丈夫です」と答える子が多いはずです。

「高校生」の場合、痛みはあっても「痛い」とは言わないことが多く、それより車と接触したことで「車に傷がついていたらどうしよう」という気持ちもあるようです。自転車も責任を問われるというのは高校生ぐらいになると学校や親から聞いているわけですから「車の傷を弁償しろなんて言われたら親に怒られる」と思い逃げるように現場を立ち去るケースもあります。

「お年寄り」の場合も同じように「大丈夫です」といって現場から立ち去るケースがあります。もちろん逆に大騒ぎをする人の方が多いですが、バツが悪いのか立ち去る人もいます。

さて、ここで何が問題かというと「警察へ届出をしていない」ことです。
「救護活動」をして「大丈夫」と言われているのだから問題ないと思いますよね?被害者が家に帰って「車とぶつかった」と親や家人に話をするわけですが、ここで「そのまま帰ってきたのか?」ということで警察へ連絡をすることになります。警察に届け出がされていれば、相手(運転手)もわかるので「探していたんですよ」となりますが、されていないと該当する運転者を探すことになります。

運転者は、警察から連絡を受けるなり、自宅に警察官がくるなりして「事件」になったことを知るわけです。
救護はしているかもしれないけど、救急や警察に通報をしているわけでもなく、現場から立ち去っているわけですから、故意かどうかは関係なく「ひき逃げ」ということになります。

相手の親や家人は細かい事情までは知りませんので「ひき逃げされた」と思うし騒ぎ立てるという展開になります。
こうなると「円満示談」というわけには、なかなか行きません。

ひき逃げにならないために必要なこと

反面教師の例をあげましたが、いかがでしょう?
自分も同じ状況であれば、同じことをしてしまいそうですよね?
では、どうすればいいかです。

・ 接触したら「車から降りて」「大丈夫?」「ケガは無い?」と声を掛けましょう。
・大丈夫と言われても「身体を点検」してもらい「状況により救急へ連絡」しましょう。
・相手が立ち去ろうとした場合には、連絡先を聞きましょう。子供の場合は、氏名や学校名・自宅の場所を聞くなり特定できるようにしましょう。
・相手が立ち去っても自分は立ち去らず、警察へ連絡をして指示に従いましょう。

状況や相手のケガの状況によって罰則は違いますが、ひき逃げは犯罪です。
相手が大丈夫といっても、決して現場からは離れず、警察の指示に従うようにすることが、自分が犯罪者にしない方法です。

注意しましょう。

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