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被害者のケガの治療は無料でできるって本当?

交通事故に遭うなんて一生に何度もあることではありません。
知らないことがたくさんありますが、一番心配なケガの治療費の支払いについて書いてみます。

加害者と被害者の区別

交通事故に遭うと事故状況にもよりますが、大抵誰もが「自分は悪くない、自分が被害者だ」と思ってしまいます。

自動車同士による交通事故で完全に100:0の責任割合となるのは、大きく分けて次の3つだけだということを覚えておいてください。

1. 停車車両への追突、逆突
2. 交差点内の信号無視による衝突
3. 明らかなセンターラインオーバーによる衝突

よくある交差点での出会い頭の事故では、100:0ということはありえません。どちらにも責任はあるのですが、ではどちらが加害者で、どちらが被害者となるのでしょうか?

それは責任割合が大きいほうが加害者小さいほうが被害者となります。

基本的に加害者側の保険会社が、被害者のケガの賠償をする

これは当然なのですが、「基本的に」と書きました。意味があります。

100:0や90:10であれば、責任が大きいのは明確ですが、60:40だったらどうでしょうか?実際には、60:40の事故形態の場合は加害者の保険会社が被害者のケガ対応をすることは無いといっていいでしょう。

これは、事故状況を調査していったら責任割合が逆転する可能性もあるからです。

私の経験から言うと、事故形態や状況から判断して70:30であれば、加害者の保険会社が被害者のケガの賠償を行います。

では、60:40や50:50の場合はどうなるか?賠償されないのか?というと、そんなことはありません。その場合は、自分が契約している任意保険の「人身傷害保険」で対応できるのでご心配には及びません。

60:40でお互いにケガをしている場合には、この人身傷害保険を使っうことで治療費やその他の保険金が支払われます。自分のケガは自分でということになります。

100:0や70:30で加害者もケガをしている場合は、加害者のケガは当然自分の人身傷害保険で対応されます。任意保険には相手のケガを賠償する「対人賠償保険」と自分のケガに対応できる「人身傷害保険」が大抵セットになっていますので、相手の賠償もしながら、自分のケガ対応もしてもらうことができます。

※ ご契約の保険内容は、ご自分の保険会社に確認してください。

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無料で治療ができるというのは本当か?

これは間違った情報です。
無料ではなく、支払われる賠償金または保険金には治療費が含まれているのです。よって保険会社が直接医療機関へ支払っているため、窓口での支払いが無いことから生まれた誤解です。

これは任意保険会社の「一括払い」というサービスです。
本来は被害者が、自賠責保険と相手の任意保険にそれぞれ請求するのですが、高い治療費を立て替えてさらに自分で自賠責保険と任意保険会社に請求するのは被害者にとって負担は高くなります。

こちらでも書きましたが、交通事故の治療費は高いので、立替払いは負担になるはずです。

特に100:0の事故の場合には「完全に自分が悪くない事故なのに、なんで自分でやらなければいけないのか!」と感じるはずです。

そこで、加害者・被害者に代わって自賠責保険金を含めて支払うサービスを実施しており、このサービスを一括払と呼んでいます。

医療機関は直接任意保険会社へ請求して支払ってもらうので、交通事故のケガの場合、窓口で支払うことが無く無料に見えるのでしょう。

最終的には賠償金・保険金の算定内容が届くので、そこで治療費が含まれていることがわかると思います。

ただし、これは医療機関の協力がなければできません。被害者の治療については大抵一括払いが可能ですが、加害者の治療費については窓口支払いが必要なケースは多いです。自らの人身傷害保険で治療する場合は、窓口支払いもあると思っていたほうが良いと思います。

まとめ

交通事故のケガの治療費は、任意保険会社によるサービスによって、窓口で支払いが発生しないだけで、無料というわけではない。ということです。

加害者・被害者の区分は、事故状況による責任割合というものが大きく関係してくるので、このあたりは後日書きたいと思います。


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