『侍タイムトリッパー(邦画)&トークイベント』〜低予算映画の概念を覆す!シネマロサ発の大ヒット時代劇
視聴環境:シネマロサ(スクリーン2F)
【内容】
幕末の会津の下級武士が、現代日本のにタイムスリップして、京都撮影所で時代劇の斬られ役として活躍する。
【感想】
低予算ながらシネマロサをきっかけで『カメラを止めるな!』以来の大ヒット作品として注目された作品なので観に行くことにしました。さらに上映後には監督のトークイベントがあるとのこと。その影響もあってか、公開から3か月が経過しているにもかかわらず、客席はほぼ満席の状態でした。
映画の冒頭からしばらくは、タイムスリップものの「お決まりの展開」や「あるあるネタ」が続き、カメラワークや照明も安っぽく、正直「よくある低予算映画」といった印象でした。こういった作品では、冒頭はなんとか映画らしさを保っていても、演技が稚拙だったり、中盤以降は学芸会のようにグダグダになったり、効果の薄い長回しを延々と見せられたりして、観るのが苦行になるケースも少なくなく、多少の不安感がつのりました。
しかし、この映画は後半に進むにつれてどんどん良くなり、終盤では「あっと驚く仕掛け」も用意されていて、最後の最後まで飽きさせない作りになっていました。それを支えていたのは、主演の山口馬木也の好演と、脇役たちの絶妙な受けの演技。ありふれたストーリーをここまでの作品に仕上げた監督とキャスト陣には感心させられました。また、時代劇というジャンルが、日本の強力なコンテンツとして世界にアピールできることを改めて実感しました。
上映が終わると、劇場内では自然と拍手が起きました。上映中も、場内には笑い声や息を呑む音が響き渡り、観客の反応が暖かい雰囲気だったのが印象的でした。
その後のトークイベントでは、監督の安田淳一さんと、次回作で主演を務める加藤雅也さんが登壇。関西出身の二人ならではの軽快な掛け合いが楽しく、映画の制作秘話がちらりと垣間見える内容でした。監督によれば、現場はかなり混乱していたとのこと。また、この作品のヒットについて、「監督も主演もずっと浮き足立っている」と語る姿が印象的でした。
帰り際には、映画館の出口で監督自らが観客に挨拶をしていました。その際、「また明日来ます」「昨日も来ました。明日のイベント上映も行きます」と声をかける観客の姿があり、インディーズ映画ならではの温かな雰囲気を感じました。この映画を観るまでは、監督のことを全く知らなかったのですが、素直に感動したこともあり、勢いに任せて私も監督と握手をしてもらいました。
(大ヒット監督ということで、神社なんかにある縁起物に触らせてもらってるみたいな感覚もあったことは内緒です。)
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