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テニス上達メモ102.打ったあとに「ヨイショ」する人。「取ってつけたような」スイングの正体とは?


▶意識する=力み

 
たとえばリストワークを使うなどある身体動作を意識すると、そこに「力」が発生します。
 
つまり「力み」につながる危険性が、一気に高まりかねません。
 
 現実問題として、力を抜きすぎてしまうということは、皆無とは言えませんけれども、なかなかないでしょう。
 
昔から「肩の力を抜いて」などと言うように、上手くいかないときには、力を入れるよりも抜くように促されます
 
力は抜けると出るからスイングが高速化するため(自適スイングスピードへ調整されるため)、打球タイミングさえ合えばボールスピードはアップ、スピン量もそれに伴い増量します。
 
また腕の力が抜けるほど、否が応にも足腰のアクションがダイナミックにもスタティックにもスイングに動員されますから、全身を使った打ち方が現れます。
 

▶抜けるほど出る力

 
ちなみに私のお伝えする「抜けるほど出る力」というのは、強さのみならず、「効果」です。
 
たとえばこちらで例に出した「歯ブラシ」などは、力を入れるよりもむしろ抜くと、毛先が隅々まで届いて磨き残しがなくなる「効果」について、歯ブラシの「強み」と例えます。
 
歯と歯や、歯と歯茎の間、歯周ポケットなどにも、力が抜けるほどアプローチしやすくなります。
 
ゴシゴシ磨くのに比べて、出力される力は「小さい」けれど、効果は「強い」のです。
 
力を入れてゴシゴシすると、毛先が寝てしまって、むしろブラッシングの効果は弱まるのです。

▶通したい要望は「取り下げる」と通る

 
押してダメなら引いてみる

グイグイと力を出してもダメなら、スッと抜いてみるのです。

怖いから逃げるのではなく、逃げるから怖くなるのが「アズイフの法則」です。

要望を通したければ、いったん要望を取り下げる。

テニスのスイングでいうとデンデン太鼓で、腕は振るのではなく、振られるイメージ。
 
ビュンと振り抜く軌道の中に、打点が入り込んでくる感覚です。

▶そのスイングは「わざとらしい」

 
インパクトの瞬間には、押したり、ボールに力を加えたりする意識は不要
 
そうした意図的な入力が、スイングをわざとらしくします。
 
「取ってつけたような」という慣用句がありますね。
 
辞書を紐解くと「言動・態度・かっこうなどが不自然でわざとらしいさま、不調和でおさまりがつかないさまのたとえ」とあります。
 
いわゆる「自然体」ではないと言い換えられます。

▶打ったあとに「ヨイショ」する人

 
「取ってつける」と聞いてよくありがちなのがフォロースルーで、「スイングを途中で止めてはいけない!」「最後まで振り切ることが大事!」とばかりに、打ったあとに、ヨイショとラケットを改めて振り抜くようなプレーヤーがいます。
 
しかしこちらで述べたとおり、ラケットに風を送る芭蕉扇のような機能でもついていない限り、インパクトして面を離れたあとのボールには、どんなフォロースルーをしても力は加えられません

▶「振り抜けばスピンがかかる」は嘘か誠か?

 
振り抜けばスピンがかかるという、常識的なテニス指導によくある説明は、半分は本当で、半分は嘘
 
インパクトでラケットを止めると、スピンをかけるエネルギーをボールへ上手く伝えられないから本当。
 
しかしボールがラケット面を離れたあとには、どれだけ鋭く振り抜いても、スピンをかける力をボールへ伝えられないから嘘。
 
ラケット面とボールとが接触するインパクトの瞬間は1000分の4秒と言われますので、打ったと思ったらもう、ボールはラケット面から離れています。
 
その瞬間に、押したり運んだりする意図的な操作は不可能。
 
ただ打点をスイングが通過するのみです。
 

▶フォロースルーは「制動距離」


つまりフォロースルーというのは、スイングを「止められない」から現れる「惰性」であり、止めても差し障りなければむしろ振り抜かないほうが、対戦相手からの返球に素早く備えられるとさえ言えます。
 
しかし現実的には、ある程度のスピードと勢いの伴ったスイングを急には止められないから、最後まで振り抜かれてしまうというのが、フォロースルーの正体でしょう。
 
自動車でいう「制動距離」にたとえられます。
 
すぐに止まれるなら止まればいいけれど、スピードによってはそれは無理だし、それだとドライバーに負担がかかりすぎるから「惰性」が生じます。
 

▶もしかして「自分」?

 
ご自身の周りにも、「取ってつけたような」になっている人はいませんか?
 
もしかすると私たち自身かもしれません。
 
何しろ「言動・態度・かっこうなどが不自然でわざとらしいさま」にいちばん気づけないのは、周りの人たちではなくて、取ってつけている「張本人」ですからね。
  
スイングがギクシャクする場合、フォロースルーに限らず、どこかに取ってつけた意図的な入力があるのです。
 
「手首を固めよう」
「ヒザを曲げよう」
「左手をボールへ向けよう」
「ワキを閉めよう」
「目線を一定に保とう」
 
意識すると、部分的に筋肉を収縮(緊張)させる「力」が発生します。
 
手首を固めようとすると前腕部に、ヒザを曲げようとすると大腿四頭筋に、左手をボールへ向けようとすると三角筋、および伸ばそうとすると上腕三頭筋に、目線を一定に保とうととすると脊柱起立筋に、力が入ります。
 
言い換えると、手首を、ヒザを、左手を、ワキを、目線を、「取ってつけて」います
 

▶プレーは環境の力に「お任せ」する

 
辞書の定義にならうと、「取ってつける」は「不自然でわざとらしいさま」とあるから、その対義語は「自然体」と言えます。

自然体でいるとき、私たちは最もパフォーマンスを発揮できます
 
意識して入れている力だとすると、それらは自然体ではない「力み」。
 
テニスを上手くプレーするには、ボールに対して体を操り人形化させます。
 
糸で操られる人形が自ら力を出してしまうと、操れなくなってしまいます。
 
寄せては返す波のリズムに乗って、流れるように生きるのです。
 
自力は不要。
 
プレーは環境の力にお任せすると全体との調和が図れて、あたかも自然に溶け込むがごとく、淀みなく循環します

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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