質問105:オーバーヒートと診断されけど、練習しないと気が済まない。勘が鈍るのが心配
回答
▶痛みが「守ってくれている」
まずはお休みになって、ヒジの違和感を癒やすことです。
体は精緻です。
「痛くなってしまう」のではなく、「痛くなってくれている」のです。
もし体が痛みを感じてくれなければ、そのままいくらでもプレーし続けられてしまいます。
違和感も覚えないでしょう。
すると、たとえばヒジを支える腱が切れてしまいます。
体に生じる「症状」は、痛みであろうと発熱であろうと、くしゃみ鼻水であろうと、皮膚炎であろうと、どんなに酷いと思えても、私たちを守ってくれています。
「症状」は、体が炎症反応やウイルス、あるいは精神的ストレスなどと戦ってくれているシグナルです。
▶テニスエルボーが疑われるとき
テニスエルボーの前触れであるとするならば、こぶしを握り込むような動作も極力避けて。
ストレッチも、やりすぎは禁物です。
テニスエルボーは、ヒジの骨に付着する腱が、何度も繰り返し引っぱられて伸ばされるストレスにより炎症が起きている症状。
こぶしを握ると、筋肉(前腕)が収縮して、腱が引っぱられます。
ほぐしたくてストレッチしたくなる気持ちも分かりますけれども、強いストレッチも腱を引っ張るストレスです。
これらの動作が症状を悪化させたり、長引かせたりしかねません。
違和感は、いじりたくなるけれど、いじらないのが賢明です。
▶練習で「満足してしまう」
とはいえ練習したくなる気持ちも分かります。
まだ症状が違和感程度であれば、練習以外のときは極力使わず、とにかく安静にするのがよいと思います。
ただ、ご自身のような練習好きなプレーヤーにとって懸念されるのはもうひとつ、練習を頑張って努力する過程で満足感を得てしまう心理的側面を指摘できそうです。
「練習しないと気が済まない」とありますが、練習で満足したい気持ちの表れ。
「練習すれば気が済む」からです。
練習で気持ちを満たすと、本番の粘り強さにもろさが生じる懸念もあるのです。
▶「休む勇気」
「練習の満足感と試合の満足感は違う!」というふうにお考えになるかもしれません。
しかし、ご飯であろうとパンであろうとパスタであろうと、満腹感は満腹感。
それと同じです。
アスリートは「休むのも練習」と言われます。
言い換えれば、休まないのはサボりです。
この際、試合の前にはあえて練習を休んで、「テニスをしたくなる気持ち」を高めるのも手かもしれません。
テニスができる境遇に「何てありがたいんだ」と、感謝の気持ちにもなるでしょう。
するとプレーできる喜びを感じ、勝ち負けが「意識」されにくくなるから、パフォーマンスの高まりも伴います。
▶怪我や病気も「必然」
私はよく、怪我や病気も必然だと顧みます。
「あのときの怪我があって今がある」
「あのときの病気があって学べた」
精緻な体がシグナルを送って、教えてくれたのだと。
なので私がかつて患ったイップスも、後悔はしていません。
イップスも現れた「症状」であり、「そのままの生き方では生きづらいですよ」と体が教えてくれたのでした。
完璧主義、考えすぎ、頑張りすぎ……。
これらは自己肯定感の低さに由来するのですけれども、そのままでは病んでしまいます。
体に現れる症状は、それがどんなに酷く思えても、私たちをプロテクトしてくれる間違いのない反応です。
もちろん、イップスを発病しない人生もあったかもしれないけれど、そちらは経験していない以上、幸せに気づけたかどうかは分かりません。
ですから、「絶対後悔しない方法」なのです。
▶「自己肯定感」が低いと、休めない、辞められない
そう、自己肯定感が低いと、練習も仕事も会社も、休めません。
それは責任感が強いからではなくて、自分で自分の価値を認められないから「せめて出席くらいはしておかないと」という感じ方になるからです。
そういう人は、最も大事な自分の体調や気持ちよりも、会社の都合を優先します。
心を病んだり、志半ばに過労死するのはそういうケース。
退職を言い出せずに、今、若者が「退職代行」に助けを求めるのは、周りに迷惑がかかる思いからではなくて、「せめて在籍する最低限は死守しないと自分の価値が脅かされる」怖れがあるため、そうせざるを得ないというのが実情です。
▶「考えるプレー」が不安を煽る
休むと「勘が鈍る」と心配されていますが、これは、あれこれと頭で考えながらプレーしているから生じる不安です。
このような不安感で苦しまないためには、「感覚でプレーするテニス」にシフト。
自転車にしばらく乗らないからといって、乗れなくなる不安はないでしょう。
しかし頭で考えながらプレーしていると、まさに「考えるからこそ、不安になる」のです。
▶懐かしい「感覚」がよみがえる
感覚でプレーするテニスにシフトすれば、長く休んでも、勘が鈍る心配をせずに済みます。
久しぶりに自転車に乗るときに、乗り方について考えないのと同じです。
もちろん再開する当初は多少緊張するかもしれませんけれども、むしろ懐かしい「感覚」がよみがえる喜びを覚えます。
▶自分にもっと、甘く甘く!
とはいえ、痛みも病気もイップスも精神的な病も、渦中にあっては苦しいですからね。
体が送ってきてくれるシグナルを無視して、頑張りすぎてしまわないように。
それは「信号無視」です。
私たちはどうも、自分に厳しすぎるきらいがある。
少し気を抜くと、頑張りすぎてしまいます。
ですから自分にもっと、甘く甘く!
早い回復を心より願っています。
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