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ポエマーだけで生きている人がいたら心から尊敬する夫婦の日常〜ショートショートVol.1

夫婦の日常の朝

夫、満面の笑みで妻に近づいてくる。
夫「おはよー!」
妻「お、おはよー。今日なんか機嫌いいね」
夫「うん、まあね」
妻「なんかあったの?」
夫「んー、なんか降りてきたっていうのかな」
妻「降りてきた?」
夫「ポエマーになろうと思って」
妻「ポエマー?」
夫「うん、ポエマー」
妻「ポエマーって、ポエムを書くってこと?」
夫「そうだね、ポエマーとして生きていこうと思う」
妻「そ、そう。いいんじゃない、それは別に」
夫、ソファーでくつろぎ始める。
妻「あれ? もう仕事行く時間でしょ?」
夫「えっと、ポエマーだから仕事は、ね」
妻「仕事は、ねっ、って何よ」
夫「仕事は辞める」
妻「は?」
夫「ポエマーって言うのはね、片手間でできるような、そんな生易しいものではないんだよ」
妻「何言ってんの?」
夫「ポエマーって言うのは、24時間365日ポエマーであらねばならないんだよ」
妻「仕事辞めたらお金どうすんのよ」
夫「お金はね、追いかけると逃げていく、手放すと追いかけてくるもの……」
言い終わる前に、妻の張り手が夫の頬に思いきりフルスイングされた刹那
夫「ポエム閃いた!」
妻「目を覚ませ!このヘタレ軟弱エセ詩人が!早く働け大バカ野郎!」
妻の拳がみぞおちに深く打ち込まれて、夫は気を失った。

ポエマーの道は遠い。。。

夫は薄れゆく意識の中で悟った。

夢から覚めた夫は満員電車に揺られながら
美しい一筋の涙を流した。

夫「あ、これってポエム?」

サラリーマン失格。


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天豆 てんまめ
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