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1/29 【日銀 新共通担保オペ開始、米GDPは好調も個人消費は減速】

●日銀 5年物共通担保オペを初実施

日銀は1月23日、5年物の「共通担保資金供給オペ(通称:共通担保オペ)」を初めて実施した。初の5年物での実施ということもあり、市場からの注目が集まっていた。

共通担保オペとは、日銀が担保(国債や社債等)を差し入れた金融機関に資金を貸し付けるもので、1月の金融政策決定会合まではその期間が2週間といった短い期間であったが、会合にて、より長い期間で適用する運用へと変更された。

今回実施された1月23日の共通担保オペでは、貸し付ける金利を入札で決める金利入札方式をとり、予定額1兆円に対して約3.1兆円の応札があり、1兆3億円を落札。最低落札金利は0.110%、平均落札金利は0.145%だった。

この結果を受けて、貸し出し期間と同じ新発5年物国債の利回りは、0.17%台から一時0.160%まで低下し、約1カ月ぶりの低水準となった。日銀が平均金利0.145%で貸し出した資金が、約0.170%程度の5年物国債に流れるとの見方から買いが増えたためだ。

(出所:Investing.com)

また日銀は、1月27日に次回は31日に5年物で共通担保オペを実施すると発表しており、応札額に注目が集まる。

●米GDP予想を上振れも個人消費は下振れ

米商務省が1月26日に発表した22年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比の年率換算で2.9%増(予想:2.7%、前回:2.3%)で事前予想を上振れた。米経済の潜在成長率は2%程度といわれ、今回結果はその潜在成長率を上回る結果となった。

(米GDP 前四半期比推移、出所:Investing.com)

米GDPの約7割を占める個人消費について、10~12月期は前期比で2.1%増と7~9月期の2.3%増から低下した。

今回のGDP増加率の約半分は企業の在庫積み増しによるもので、設備投資は0.7%増(前回:6.2%)と急減速し、住宅投資は年率で26.7%減と7四半期連続でマイナスとなった。

今回の結果を受けて、米経済を支える個人消費が減速している状況から、今後の米経済の先行きを懸念する声もある。

●米12月個人消費支出物価指数 1年3カ月ぶりの低水準

米商務省が1月27日に発表した22年12月の個人消費支出物価指数は、前年同月比で5.0%(予想:5.3%、前回:5.5%)となり事前予想を下振れた。

(米個人消費支出物価指数推移、出所:Investing.com)

伸び率が低下するのは3カ月連続で、1年3カ月ぶりの低水準となった。また変動の激しいエネルギー及び食品を除くコア指数の前年同月比は、4.4%(予想:4.4%、前回:4.7%)でありこちらも前回から伸び幅は縮小。アメリカにおける高インフレはピークアウトしたとの見方が強まっている。

PRBのパウエル議長は、PCEコア価格指数についてインフレ動向を測る上でより正確な指標だとの考えを示している。

今回発表された12月の結果はコア・総合価格指数ともに、ほぼ全てがサービス分野の上昇によるものであり、財の価格はディスインフレが継続した。

●カナダ中銀 利上げの一時停止を表明

カナダの中央銀行であるカナダ銀行は1月25日、政策金利の利上げを一時停止すると表明した。

世界中の中銀(除く日本・中国)が一昨年から続く高インフレ環境下で利上げを行って来た中で、G7の中銀では初めて利上げの一時停止の表明となった。

(カナダ政策金利推移、出所:Investing.com)

ここ最近、カナダの金融政策はアメリカより早く動いてきた。例えば量的緩和の終了や量的引締めの開始はFRBに先行している。

また最近では22年9月に利上げ幅を縮小(FRBは22年12月)しており、カナダの金融政策はFRBの金融政策の行方を占う上で非常に参考になる。

(カナダ消費者物価指数総合推移、出所:Investing.com)

但し今回の利上げ停止示唆はあくまでも条件付きの前提だ。仮にインフレ率が再び上昇に転じた場合、再度の利上げ開始を余儀なくされるだろう。利上げを一時停止し、これまでの金融引締め効果を見極める段階に入る。

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