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顧客の成功に伴走する

いきなりですが、個人的に"カスタマーサクセス"という職種の表現があまり好きではありません。

直訳すると「顧客の成功」ですが、そもそも顧客の成功は特定職種が担うことではなく、会社で一丸となって取り組むべきものです。

顧客の成功を言い換えれば、エンジニアリングでもあり、デザインでもあり、ビジネスであるとも言えます。

カスタマーサクセスと表現してしまうことで、どこかその部署だけが担えば良い内容であると誤解されてしまったり、自分の領域を狭めてしまう懸念があると感じています。

僕たちは創業から本当に多くのお客様に支えられてきました。その中で培ってきた、"顧客の成功に伴走する"ことについて考えを深めてきました。

その結果、現在はどのような価値観を持っているのか、何を自らに課して日々取り組んでいるのか、そして将来的にはどうありたいのか、といった内容に今回は触れてみたいと思います。

真にコミットすべきことは何か

僕たちは美容室向けの店舗管理SaaSを提供しており、機能として電子カルテであったり売上管理、予約管理などが揃っています。

この機能群を十分に利用してもらうことを僕たちは追い求めているのではありません。顧客の抱えている課題を解決するひとつの手段として、機能群を提供しています。

つまり、コミットすべきは顧客の課題を真に特定してそれが解消することです。

これは当たり前のことを書いているようですが、実はそんなに軽く流していいものでも無いような話だと今は理解するようになりました。

例えば、プロダクト開発を進めていく中で何度もチームで自問自答していた問いがあります。

  • 果たして僕たちのサービスはどれくらい意義あるものなのだろうか?

  • 業務の効率化に月額利用料金だけの価値はあるのだろうか?

  • DXを錦の御旗にしているが、実際は顧客に対して不必要な出費を強いてしまい成功から遠ざからせてはいないだろうか?

  • そもそもカルテの記入にどれほどの意味があるのか?カルテの電子化ではなく、カルテの廃止が正しかったりしないだろうか?

時代背景としてもペーパーレスが声高に叫ばれ、ソフトウェアを活用することで間違いなく業務の効率化は実現できます。業務の効率化は確かに必要です。しかしその要求に"素直に"回答して行くことが、顧客の成功につながるのでしょうか?

例えば、本人が満足しているからという理由だけで、友達が100万円のなんでも願いが叶う壺⚱️を購入しようとしているときに、快く見守れるでしょうか?

顧客の成功に伴走するということはこのような側面があると思います。相手の要求に応えるだけではなく、もう一歩踏み込む必要があると考えています。

顧客の時間や財布は自分の時間、財布と同じであるとも考えていきたいですし、顧客の課題を顧客以上に理解しようとしているからこそ、本当に解決すべき問題が見えてきます。
※余談ですが僕たちのサービスは業務効率化だけを目指していません。真の課題である店舗の収益改善を目指しています。

すでに設計されたオンボーディングプログラムや各種KPIが存在していると、どうしてもその達成度合いに目がいってしまいます。

しかしどのような状況下でも、僕たちがこだわるべきは設計された指標の前段にある"顧客の課題解決"です。

サービスの利用率が改善した!部署の売上が上がった!というのは顧客からすれば何も関係がないことです

顧客の課題を深く理解するためにも、顧客の声には耳を傾け、主体的に顧客の現場に足を運んで理解を進めるしかありません。

思考を停止させず、顧客の声のさらにその先を捉えながら、顧客の成功に伴走したいと考えています。

顧客の成功があってから自社の成功がある

これも当たり前に感じられる内容ではありますが、徹底してコミットできている環境は実はそう多くないのかな?と感じています。

僕たちは顧客の成功を優先し、その上で初めて自社の成功が追従すると考えてきました。

この順序は決して覆りません

これを実現するためにもサブスクリプション型のSaaSは非常に相性が良いと感じています。

例えばビジネスモデルからも、この価値観を徹底できているかうっすらと覗くことができます。

サブスクリプション型のSaaSでは複数年契約、年間契約、毎月の契約更新など多数の契約形態がありますが、なぜその契約期間を選択しているでしょうか?

顧客が不要と感じた際に、即時解約ができ、以降請求を止められることは顧客にとって重要です。不必要な支払いは顧客の成功に反しています。

その契約期間を設定している理由に「一度契約してしまえば、自社の収益が確定できる」といった内容は含まれていませんでしょうか?契約解除に違約金等は含まれていませんでしょうか?

徹底して顧客の成功を優先するということは、このような些細なことまで徹底させる必要があると思います。

有名な事例ですが、ネットフリックスではこの価値観を実践していることが2020年の発表からわかります。
https://about.netflix.com/en/news/helping-members-who-havent-been-watching-cancel

僕たちは誠実で高い倫理観を持った組織でありたいと掲げています。

常に自分たちの前に顧客を優先し、そして自分たちが堕落しそうな要因を排除し続けることで、誠実であり続けざるを得ない環境を作り込んでいきます

顧客の成功には全社で取り組む

冒頭に全社一丸となって取り組むと書きましたが、顧客の成功は1人または特定の部門だけではとても実現できないと考えています。

高い倫理観と誠実さを持ち、顧客の成功に強く貢献することを願っている、多様で才能豊かなメンバーが集まって初めて実現の糸口が見えます。

僕たちはチームなのです。お互いが足を引っ張り合うライバルではありません。役割の違いを理解し、相互にチームメンバーを尊敬しながら前に進む必要があります。

ビジネスチームとプロダクトチームの間に壁があってはいけませんし、経営と従業員にも壁があってはいけません(そもそもこの表現の仕方が好きではないですが…)

個人的にとても好きなエピソードが1つあります。まさにチームとして壮大なミッションを掲げて一致団結しながら、個々人が目の前の課題に取り組んでいることを見事に表現しているものです。

1962年、ジョン F. ケネディがNASAで出会った清掃員に関する印象深いエピソードがある。大統領が清掃員に、どんな仕事をしているのか尋ねたところ、清掃員は「月に人類を送り込む手助けをしています」と答えたという。

https://dhbr.diamond.jp/articles/-/4992?page=2

カスタマーサクセスも、エンジニアも、デザイナーも、バックオフィスも、全員がチームです。チーム一丸となって顧客の成功に伴走する必要があります。自分に関係がない、と考えて良い人はひとりもいません

真に信頼されるパートナーとして

顧客の成功に伴走するにあたって、大切にしている価値観を一部共有させていただきました。この価値観も、自社が顧客とどのような関係を構築していきたいと考えているかから生まれていると感じています。

僕たちは顧客と対等な関係を築いていくパートナーとしてありたいと願っています。この関係に上も下もなく、日々信頼を得ながら前に進みたいと願っています。

信頼を積み重ねることは非常に大変ですが、それを失うのは一瞬です。最初から信頼を得ることはできませんし、一発逆転ホームランはありません。

組織のあらゆる側面から「本当に自社の成功に伴走してもらえてるな」と感じてもらい、それが日々積み重なることで真に信頼されるパートナーとしての関係が作れると信じています。

この関係を顧客と構築し続けていく取り組み、そして真に顧客の成功に伴走できていると実感できることで、大きな充実感を得られながら毎日を過ごせるのだと考えています

この内容も未来の仲間になるかもしれないあなたに、どこか響くところがあればとても嬉しいです…!

もう少し掘り下げた話を聞いてみたいな…と感じられた方は、ご遠慮なくじゃっきーのtwitterまでDMください!大歓迎です!


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