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技術史

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物作りの歴史・様々な身の回りの製品の歴史を簡潔に紹介します。
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2023年10月の記事一覧

【技術史】日本にもいた、ライト兄弟のように空に憧れた人物

【技術史】日本にもいた、ライト兄弟のように空に憧れた人物

1889年、愛媛県出身の日本陸軍に所属していた二宮忠八は、滑空するカラスを見て飛行機を考案し、翌年に模型を作ります。この模型は、実際の飛行に耐えうる先進的な模型でした。

それは、カラス型飛行機とよばれ、現在の小型飛行機の基本設計ともなる翼に上反角をもたせた構造になっており、水平尾翼と垂直安定板があり、機体の下には離着陸に必要な3つの車輪を備え、推進力として4枚羽のプロペラを巻きゴムで駆動させまし

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【技術史】ザビエルが持ち込んだ日本のメガネ

【技術史】ザビエルが持ち込んだ日本のメガネ

日本に初めてメガネを持ち込んだのは、宣教師フランシスコ・ザビエルです。
1549年に来日したザビエルは、1550年に周防(現在の山口県)の大名・大内正隆に、置き時計や小銃などとともにメガネを献上しました。
その後、舶来品を模倣し、各地でレンズやメガネが作られるようになりました。その中でも、メガネの鼻当てを考えたのは日本人だと言われています。西洋人と比べ顔の彫りが浅く鼻の低い日本人は、紐で耳にかける

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昔から考えられていた人口降雨

昔から考えられていた人口降雨

2008年の北京オリンピックでは開会式に雨が降らないように、北京に来る雨雲を消そうとしました。人口降雨物質(ヨウ化銀)を搭載した1104発の小型ロケットを打ち上げ、北京の手前で雨を降らせようとしたのです。その効果のほどはわかりませんが、実際に北京オリンピックの開会式の日は晴れました。
雨が降るには、雲を構成する微細な水滴がくっついて、ある程度の大きさになることが必要です。そのときに中心核となる微粒

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【技術史】ゴム

【技術史】ゴム

木、石、金属などの硬い素材と異なりゴムは自在に伸び縮みし、弾性にとんでいます。ゴムの存在を初めて知った人は、「なんどこれは!?」と驚いたに違いありません。
最初にゴムを使ったのは、ゴムの木が自生していた中南米の先住民でした。その証拠に6世紀のアステカ文明の壁画にゴム製品が描かれています。アメリカ大陸に到達したコロンブスは、1493年の2度目の航海のとき、中米の島で現地の住民がよく跳ねるゴムボールで

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【技術史】道路を造り過ぎて衰退したローマ帝国

【技術史】道路を造り過ぎて衰退したローマ帝国

「すべての道はローマに通ず」という格言のとおり、ローマ帝国は高い技術力で道路をたくさん造りました。現在の南西ヨーロッパのほぼ全土まで勢力を拡大し、イギリスから中東、アフリカの北岸一体までを支配していました。遠方の領土で反乱が起こるとローマから急いで軍を派遣して、制圧する必要があったのです。
ローマ街道は、ローマを中心に放射状に延び、各都市をつないでいきます。最終的には勢力範囲のすべてに網の目状に道

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【技術史】硬貨

【技術史】硬貨

古代、物々交換をスムーズに成立させる媒介手段は、どんなところでも高い価値のある金や銀であった。紀元前7世紀、取引のたびに金や銀の重さを量るのがめんどうになると、金を固めた硬貨(コイン)が誕生し、瞬く間に世界に普及した。
16世紀のイギリス国王財政顧問トーマス・グレシャムが、エリザベス1世に進言した法則がある。
「悪貨は良貨を駆逐する」
市場に実質的な価値の高い貨幣と、価値の低い貨幣が両方存在した場

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