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技術史

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物作りの歴史・様々な身の回りの製品の歴史を簡潔に紹介します。
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2023年6月の記事一覧

【技術史】火攻法

【技術史】火攻法

原始的な採鉱作業は、私たちの祖先が道具作りのために地面から火打石を拾い出した頃から始まったと考えられています。石器時代の採掘者たちはまず、試しに縦穴を掘り下げ、そこで火打石が見つかれば、壁を斜めに掘り進んで採掘場を広げていった。金属製の工具のない時代、ピックの代わりに鹿の角を、シャベルの代わりに動物の肩甲骨を使っていました。採掘作業はかなりの重労働だったに違いありません。
採掘者たちにとって、目当

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【技術史】金属と精錬の発展

【技術史】金属と精錬の発展

文明の発展に金属が果たした役割は、大きい。最初に用いられた金属は、銅、銀、金でした。これらは、金属(天然)状態で見つけることができるものでした。銅は、純粋な粒状のものとして見つかることもありますが、通常は、その他の金属と同様、岩石性の鉱石の中に他の物質と混ざった形で発見されます。そこで、鉱石から銅とその他の物質を分ける、精錬と呼ばれる技術が必要になります。

銅を鉱石から抽出する方法が知られるよ

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【技術史】車輪の発明

【技術史】車輪の発明

人類が生み出した物の起源をたどると、自然から発想を得ているものが多い。しかし、車輪の発明は違います。これまでに明らかになっている、車輪が最初に使われたのは5000年以上前のメソポタミアで、陶工の仕事を補助する目的で使われていたと考えられています。(現代のろくろ)車輪が輸送手段に使えそうだという、すばらしいアイデアを思いついたのは誰だったのかはわかっていません。

車輪と車軸の発明は至難のわざだった

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【技術史】道の舗装

【技術史】道の舗装

定住生活が浸透する以前の人類に、道路は必要ありませんでした。農業革命によって町や村につながりが生まれるようになると、共同体の間で人々や物資の行き来がしやすくなり、路面を整える必要が出てきました。

最古の道は、紀元前4000年頃のメソポタミアで繁栄していた都市で、石を使った道路が敷設された記録が残っている。現在も形を残す舗装道路は、クレタ島のミノア人によってつくられた道路です。ミノア文明最盛期の

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[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史5

[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史5

ジョン・フォン・ノイマンは、1940年代に衝撃波と爆撃波の研究の第一人者とされていた人物の一人です。彼は、自身の研究にコンピュータが使えるのではないかと考え、1944年に初のプログラム制御式デジタル電子計算機「エニアック」を製作していた技術者のミーティングに参加しました。約1万8000本の真空管、7万個の抵抗器、1万個のコンデンサー、6000個のスイッチ、1500個のリレーが使われ、当時作られた電

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[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史4

[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史4

1904年、イギリスの科学者ジョン・アンブローズ・フレミングは、電子技術における重要な発明をします。トマス・エジソンが発見した、白熱電球の中のフィラメントから別の電極へ電子が流れる現象を研究していたフレミングは、真空管内で弱い無線信号を増幅させることに成功しました。後にトランジスタ・ダイオードの原型となる技術、フレミング管として知られるようになります。

1907年、アメリカのリー・ド・フォレス

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[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史3

[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史3

最終的に、バベッジの解析エンジンが実際に製作されることはなかったものの、パンチカードに打ち込まれた命令を処理するプログラム制御式計算機の構想は生き続けました。1889年、アメリカの技術者ハーマン・ホレリスは、電車で車掌が切符に穴を開ける様子を見てひらめき、アメリカ国勢調査局のために、パンチカードをもとにしたタビュレーティング・マシン(作表機)を作り上げます。1880年に行われた国勢調査では、集計を

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[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史2

[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史2

1822年、イギリスのチャールズ・バベッジは、部屋を占有するほど大きな蒸気駆動式の計算機「階差エンジン」を作ろうとしていました。この計算機により、航海表に誤りがなくなることが期待されたため、政府も資金を提供していました。しかし、10年経っても完成のめどが立たず、莫大な費用がかかることから、政府も支援を打ち切ります。しかし、バベッジはこれにくじけることなく、さらに野心を燃やします。新たに作られた「解

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[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史1

[技術史]織機から始まったコンピューターの歴史1

スマートフォンを使って、膨大な量の情報にいつでもアクセスできる現代のコンピュータ技術、その起源は、意外にもシルク織工にあるという。

1801年、ジョセフ・マリー・ジャカールが、繰り返しの多いシルクの織物工程を自動化する方法を考案した。ジャカール織機の操作には、穴を開けた木製のパンチカードが使われ、カードの穴の開き方で、織糸を通す杼が横切るときに持ち上げる糸を指定するしくみでした。このパンチカー

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『技術史』ロケットの発展5

『技術史』ロケットの発展5

ドイツの物理学者ヘルマン・オーベルトは、「もし大型ロケットの上に小型ロケットがあり、その大型ロケットが投棄され、小型ロケットが点火されれば、両方の速度が加算される。」と書き記し、多段式ロケットのアイデアを生み出した。1923年オーベルトは「惑星間空間へのロケット」という著書でロケットが地球の重力から逃れる仕組みを解説し、世界中で組織されつつあったロケット学会に大きな影響を与えた。

『参考資料』

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