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酒好きになり店を出したら人に騙され人に救われた話⑪

福岡での生活も長くなり3年位が経とうとしていた

火曜から日曜までの野球6連戦がある日は
試合が終わって清掃までやった後に必ずと言ってよいほど
社員さんから声がかかった。
”今日飲み行く?”ではなく
”今日はどこに飲みに行く?”だった。
もう飲みに行くことは大前提で
六本松で飲みまくって帰っていた。
そうやって飲み歩いていることが徐々に
バイトの中で話題となっていたようだ。

それからというもの仕事終わりには
決まってこのような言葉を
かけてもらえるようになっていた。

「嘉松、飲み行くか!」

すっかり周りの方々から”お酒が好きな嘉松”という認識をもたれていた。


そんな飲み好きと認識された私には
ありがたいことに、いろんな飲みの誘いが来た。

試合中に違う配置の先輩から無線が入る
「嘉松12通路来て!」

通路に向かうと特に仕事でのトラブルの様子もない。
何だろうと不思議に思っているとあたりまえのように
こんな声がかかった。

「嘉松ボウリング得意?」

「…!?」

「今度来る?”焼酎ボウリング”」

仕事の話かと思ったらボウリングの話をされたので
意表を突かれた。

”何だ?焼酎ボウリングって?”


話を聞くとバイトのメンバーで
ボウリングをしながら考案されたゲームらしい。
ボウリングをしながら”スペア”と”ストライク”や”ガター”を出すと
焼酎を罰ゲームとして飲みながら6ゲームやるという
相当ハードなボウリングのようだ。
これが西日本シミズでは伝統に近いオフ会のようなものだった。

せっかくのお誘いと思い
快く参加の返事をさせてもらった。

イベント当日
少し恐怖を感じていた。
スコアが良くても焼酎
悪くても焼酎
スコアが無難だと罰ゲーム

全て最悪の選択肢だった
しかもチーム戦らしいので
足を引っ張るわけにもいかない
ましてや、ボウリングのスコアも110点くらいが
平均スコアの自分が果たしてどうなるのか不安でいっぱいだった。

そうこう考えているうちに
天神のラウンドワンに着く。
そこには先輩や友達が集合していた。

「よし行くか!」

ここから恐怖のボウリング大会の始まりである。

1ゲーム目
無難に110点程度のスコアで終わった
数杯、焼酎を飲まされたがなんとか正気を保っていた。

そうやって焼酎が体内をまわってきた
6ゲーム目だった。

周りが酔いの影響で点数が悪くなる中
私だけ妙に冷静だった。

焼酎を飲んだ身体が研ぎ澄まされるのを感じる

”ここに投げたらストライク…”
思った通りの投球が続いた。
全部のピンが倒れていく

それと同時に焼酎も体内に入っていく
なんともカオスなボウリングだった。

一投目9ピンだけ倒しても
残りの1ピンも無難に倒して
スコアを取っていく。

今までの自分にはない
神がかったスコアだった
”231点”
これが今でも人生最高スコアだ。

そうやってチームを勝利に導き
先輩からも称賛された。

そこからよりバイトの中で
仲良くなり、今まで以上に
飲みに誘われたり、誘う機会が増えることとなった。

飲みに誘う場所は
”ぴょんきち”か”灯楼”が圧倒的に多かった。


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